日本皮膚科学会雑誌
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81 巻, 1 号
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  • 加藤 雍子, 大橋 勝, 植木 宏明
    1971 年 81 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    エリテマトーデス皮膚で表皮真皮接合部に一致してγ-グロブリンの沈着があり,この部はまたPAS反応陽性であるとの報告は数多く,本疾患に特異的であり診断的価値があるとの報告もされている.γ-グロブリンの種類についてはIgGはほとんど常に存在しIgM,IgA,β1cグロブリン,アルブミン,フィブリノーゲンもまた時にその存在が証明されている.これらの免疫グロブリンが表皮真皮接合部の基底膜と反応した抗体でないことは,エリテマトーデスの流血中には本抗体が存在しないことが蛍光抗体間接法で証明されている.従つて表皮真皮接合部とこの部に存在するγ-グロブリンとの関係は光学顕微鏡上での同一部位にある点以外判つていない.一方電子顕微鏡の観察によりそれまで光顕上でPAS可染性が目標とされた基底膜は単位膜でなくまた単一の構造のものではなく,細胞直下の200~300Åの電子密度の低い部(Lamina lucida)と,それに続く,中等度電子密度を有する等質性の300Åの帯(Lamina densa)とこれに接し真皮側に存在する線維性の結合織Zona diffusa(Basement Lamella)の3層からできている.これらの内で狭い意味で基底膜と電顕的に呼ばれているのはLamina densaである.電顕組織化学的にPAS反応が陽性となる部位は線維性結合織より成るZona diffusa(Basement Lamella)であり,これは鍍銀染色によつても同様であり,他の二層は陽性ではない.従つて電顕的な基底膜は光顕上に認められるPAS陽性,鍍銀染色陽性とは関係がない.電顕形態学的にほぼ等質性の構造を呈する基底膜がエリテマトーデスでどのような変化を示すかについては,基底膜より連続的に等質,中等度電子密度の物質が真皮のコラーゲンに波及し,ちょうど基底膜が表皮から剥離したように細胞間質へのびている.これは一見基底膜の肥厚に見え,われわれはこれをすだれ状の基底膜の肥厚と呼んだ.この状態は表皮真皮接合部基底膜のみならず血管基底膜にも認められ,このほか数層になつた基底膜もしばしば観察される.かかる本来の基底膜と病的に増加した基底膜との間に見られる連続的な変化は電顕上ではこの両者を区別できないことを示している.基底膜(Lamina densa)と病的に増加した基底膜,およびγ-グロブリンの沈着との関係を明らかにするためにパーオキシダーゼ抗体を用いた免疫電子顕微鏡法によりエリテマトーデス病変皮膚の基底膜を中心に観察を行なつた.
  • 早川 律子
    1971 年 81 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    従来脂質代謝異常と皮膚疾患との関連については,黄色腫に関するものを始めとして,尋常性乾癬,魚鱗癬等については数多くの研究発表が見られるが,顔面皮膚疾患に関しては尋常性痤瘡におけるもののほかは詳しい報告がなされていない.食餌として摂られる脂質の大部分は中性脂肪であるが,コレステロール,燐脂質等も少量含まれている.この水に不溶の脂肪が,血中に吸収されるまでには次の過程が解明されている.すなわち脂肪は腸管内において膵リパーゼの作用を受け,α位の2個の脂肪酸が遊離されて,β-monoglycerideと脂肪酸のかたちとなり,水に可溶となって腸壁より吸収される.吸収された脂肪酸およびβ-monoglycerideは腸上皮で再び脂肪に合成され,表面をリポプロテインによりおおわれて安定化する.この脂肪滴はリンパ管に入り胸管を介して血液中に運ばれ速かに肝,脂肪組織,筋肉その他の臓器組織に移行する.また腸管よりの非吸収時には,脂肪組織中の貯蔵脂肪から遊離脂肪酸が血中に放出されて各組織のエネルギー源となる.以上の如く血中の脂質は常にほぼ一定の平衡状態に保たれている.この脂質代謝に影響するものには食餌,年令,性別,種族,季節等のほかに身体内部の因子,ホルモン,ビタミン等が影響する.脂肪が組織内で酸化される過程は主としてKnoopが最初に提唱したβ酸化によるのであるが,この酸化過程において,パントテン酸,FAD,NAD等のビタミンB群が必要とされる.ACTHおよび副腎皮質ホルモンは肝のコレステロール代謝を促進させ,また副腎皮質ホルモンは腸粘膜における脂肪再合成にも関与する.エストロゲンには肝コレステロール生合成の抑制,分解,排泄の増加作用がある.インシュリン,成長ホルモン等は脂肪の水解に関与しているといわれる.
  • 山西 由二, 三島 豊
    1971 年 81 巻 1 号 p. 30-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    人体皮膚内のcollagenaseの存在は組織培養法により見出されている.オタマジャクシの皮膚およびモルモットの創傷部位においてcollagenase活性源は寧ろ表皮であると報告されている.一方lysosome起源と考えられるcollagenaseの活性が子宮およびラットの肝臓で見出されている.
  • 内田 絹江
    1971 年 81 巻 1 号 p. 33-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    Sutton氏遠心性後天性白斑と呼ばれるものは,元来結節状の母斑細胞母斑(中心母斑)があつて,これを中心として尋常性白斑様の白斑を生ずるものである.Weberはある種の母斑は白暈を形成する素因を持つと考えて,これをleucodermic naevusと呼んだ.この時始めてhaloという言葉を使つたことから,Feldman and LashinskyはSuttonによつて記載された疾患をhalo naevusと名付けた.その他のSynonymにleucopigmentary naevus,perinevic leucoderma,perinevic vitiligo(Narduccci),vitiligo with a central mole等があり,最近ではFrank ,Kopfらはhalo nevusという言葉を広く用いている.中心病変が悪性黒色腫であつたものに,malignant Sutton's nevusの名前がある(Champion).中心病変はほとんどは色素細胞母斑である.本邦例を見ると全て色素細胞母斑であるという(田中),外国では母斑性,非母斑性病変を中心として白暈の生じた報告が多い.本症は臨床的並びに組織学的に特異な経過をたどる.すなわち,色素細胞母斑のあるものは褪色し,扁平化と縮少があり遂には消失するとともに白暈も消失するという.中心母斑の組織像は母斑細胞と小円形細胞の混在することは諸家の記すところである.この小円形細胞は類上皮細胞,小リンパ球等といわれそれ以上追求されていなかつたが,川村,田中は組織学的に,この小円形細胞を母斑細胞の変性細胞とした.著者は東大外来の豊富な材料を用いてこの説に対し新たに検討を加え,さらにこれにつき詳かにしたのでここに報告したい.
  • 松本 忠彦
    1971 年 81 巻 1 号 p. 60-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    1872年にBaranetzkyが裸生子嚢菌科Gymnoascaceaeを設け,1890年にはSchroeterが現在われわれが用いているとほぼ同様の記載をしている.それ以来,多くの属がこの科に属するものとして新しく報告され,また他の科から移されている.逆にこの科から除外されたものもあり,この科の全体的把握は多少繁雑となつてきている.Benjamin,Apinis,Kuehn & Orrなどの論文はこの科の純菌学的綜説として価値の高いものである.
  • 1971 年 81 巻 1 号 p. 61-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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