皮膚中のsuperoxide dismutase(SOD)の定量は,従来まで酵素活性測定法で行われていたが,検体として皮膚(ホモジネート)を用いる場合,活性酸素分子種のscavengerである他の酵素の影響,チトクロームCに対する酸化還元物質の影響等が考えられ,またSODにはCu,Zn-SODと,Mn-SODの2種類があり,その分別定量が酵素活性測定法では不十分なためenzyme immunoassay(EIA)を用いて,感度がよく,特異性も高く,2種類のSODをその酵素蛋白量として定量する方法を確立した.今回は,ヒト正常皮膚中のSOD及び過酸化脂質量を測定し,年齢,日光の影響,表皮,真皮中の分布について検討した.その結果,年齢との関係では,malondialdehyde(MDA)含量は20歳代を最低値として,以後加齢にともない漸増し,Mn-SOD含量は20歳代を最低値として他の年代とは有意差を示したが,Cu,Zn-SOD含量は年齢との間に何ら関係を認めなかった.日光の影響では,露光部全層皮膚中Cu,Zn-SOD,Mn-SOD,MDA含量はすべて非露光部全層皮膚中の含量に比べ,やや高値を示した.さらに表皮中のCu,Zn-SOD,Mn-SOD,MDA含量は,真皮中含量に比べ有意に高値を示した.
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