日本皮膚科学会雑誌
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70 巻, 5 号
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  • 野村 豊春
    1960 年 70 巻 5 号 p. 487-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    末梢循環は生体内部環境にのみでなく外部環境に複雑に反應するものである.これらの研究がはつきりとあげられるようになつたのはE.M.Landes(1940)の毛細血管透過性の研究以来で比較的新しいことに属する.Barcroftの血管の交感神経性支配の研究に続きFolkow,Burton,Burch,Hertzmanその他多くの業績があるが皮膚血流を連続的に微細に追求できるものは,Plethysmograph(以後PL)である.本装置としては單純PL,機械的電磁的PL,透過光電式PL及び反射光電式PLがある.その内反射光電式PLについてはHertzmanが1938年初めて発表し長谷川,沢田の考案改良を経て名大高木敎授の考案になる高木式直結式反射光電PL(以後R.P.PL)を見るに至つた.次に我々が日常外来で使用するビタミン類に関してその生理学的作用に就ては種々研究されているがその藥理作用に就ては余り多くの業績はない.それらビタミン中我々が使用する頻度の大きいV.B1,V.B2,ニコチン酸に就ての藥理作用の中でそれが末梢血流に及ぼす影響に就てはNocotin酸ではRalph,A.Murphy等(1950)のvenous occulsion plethysmography,その他の方法による人体下肢の皮膚血流の増加,M.Koethe,G.A.Schoger(1954)による前膊皮膚温の上昇の研究発表がある.B1に就てはGlick(1938),西沢(昭28)等によりAcetylcholinとの協力作用,Cholinesteraseの抑制作用があるとの研究がある.B2に就ては末梢血流に及ぼす明かな発表を見ていない.著者はこれ等ビタミンの末梢循環に及ぼす影響に就て前記高木式PLを使用して種々檢索し注目すべき結果を得たのでここに報告をする.
  • 浪方 晃長
    1960 年 70 巻 5 号 p. 504-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    ビタミンE,即ちTocopherolは既にMattill-Conklin(1920)により予知され,Mattill及びSure(1922)により別々に確認されたものでα,β,γ,δの4種があり,次の如き構造式を有し,α-Tocopherolに最も生理的作用が強いとされている.然してEvans-Bischop(1922)が抗不妊ビタミンなることを発見して以来,生殖機能亢進,更年期障碍調節,肝機能保護作用などが認められ,最近では間腦下垂体系機能の調節ないし下垂体副腎系機能亢進作用のあることが推測され(Heinsen,Heinsen-Scheffler,Pult),又生体内でパントテン酸の生物化学的媒介により,Cortisone又はCortisone様物質の生成にあづかる(Welsh)とされている.從つて臨床的には習慣性流産,更年期障碍,進行性筋ヂストロフィー,筋萎縮性側索硬化症,狭心症,間歇性跛行,糖尿病等に用いられ或程度の効果をあげており,皮膚科領域に於てもBurgess-Pritchard(1948)が,Tocopherolは膠様基礎物質に作用するというKlemperer et al.(1941)の論著に示唆されエリテマトーデスに有効なことを発表して以来,エリテマトーデスを初め皮膚筋炎,鞏皮症,凍瘡,紫斑,下腿潰瘍等諸種疾患に用いられ夫々臨床的効果のあることが報告されている.蓋しこれら疾患特に皮膚疾患に対する臨床的効果は前述の如きTocopherolの生理的ないしは藥理的作用に基けるのであろうが,多くは單なる臨床的効果を擧げているに止り,それを裏付ける基礎的研究は至つて乏しい.僅かにMiller-Dessert(1945)がHyaluronidase,安田(1957)が皮膚組織呼吸,神村(1954)が毛細血管抵抗,インヂゴカルミン皮内吸收試驗,皮内擴散因子,ホルマリン反應等に対する作用を検索しているに止るが之等の研究とて決して充分とはいえない.そこで著者は岩下敎授の命によりこのビタミンが一方では種々の皮膚機能,皮膚感受性,皮膚アレルギー反應に及ぼす影響を人体及び動物にて檢討すると共に,他方ではその際演ずる肝,副腎,下垂体等の役割を究明し,ここに聊か新しい知見を得たので記述しようと思う.
  • 広根 孝衛
    1960 年 70 巻 5 号 p. 530-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    表皮には2つの異なる系列の細胞が存することは,既にMassonが形態学的観点から指摘している.即ちそれらはマルピギー系列の細胞と樹枝状要素の2者であり,前者は表皮の主成分で多層をなし,深層では上皮線維によつて,表層では角化によつて特徴づけられる.後者は基底細胞層に在つてメラニン顆粒を含有し,従ってアムモニア銀で染まる表皮メラノサイト(表皮メラノブラスト)と,やや高い層に在ってメラニンを含有することなく鍍金によつて現われるLangerhans細胞とに区別される.近年の発生学的研究に據れば,マルピギー系列細胞と,樹枝状要素の代表者たるメラノサイトとは起原を異にし,発生の途中で合流して表皮を形成するものとされている.これらのことに関しては,川村敎授が詳細に文献的考察を論述しておられる.表皮基底層を検索するに,上述マルピギー系列に属する表皮基底細胞と,ドーパ反應やチロジナーゼ反應陽性の表皮メラノサイトとが其処に見出される.メラニン顆粒は兩者に含有されているが,これらの組織化学的知見は後者が正常皮膚の色素産生に関與するものであることを示している.他方兩棲類,鳥類並びに一部の哺乳類についての自家及び他家の実驗成績に基いて,Rawlesは表皮メラノサイトも真皮メラノサイトも,ともに一元的に神経櫛に由来するものであると述べ,今日ではメラノサイトの神経櫛起原説は一般に弘通するところとなつたが,人間に関する限り,神経櫛の移植や組織培養のような発生学的実驗は不可能であり,從つて種々の形態学的,並びに組織化学的知見に據つて,間接にその一元性の証明が試みられる理由がこゝに存する.更に皮膚の色素細胞の他の系統に属すると考えられているものに,真皮に位する所謂擔色細胞が存する.今日,それは主として組織化学的知見に基いて,色素産生能を有しない所の,それ故メラノサイトとは異る系統の細胞即ち色素を貪喰した組織球である(Miescher)との見解が支配的であるが,その由来に関しては多少の疑議もないではない.皮膚の色素,並びに色素細胞を中心にして,その微細構造を論じ,その異同を推論するためには,上述の諸細胞がその対象となるのは当然であるが,それらが表皮と真皮との兩方にわたるために,更に附帯的に他の2,3の点,例えば表皮マルピキー細胞の細胞境界,或は表皮真皮境界などに就ても,その微細構造が明かにされ考察が加えられた.本研究で著者は標題の主題に関して詳述するとともに,以上の理由から2,3の附帯的事項に関しても同様に取扱つた.
  • 1960 年 70 巻 5 号 p. 574-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 1960 年 70 巻 5 号 p. 73e-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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