日本皮膚科学会雑誌
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87 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 野中 薫雄, 下山 時夫, 本多 哲三, 広渡 徳治, 堀 真, 野北 通夫
    1977 年 87 巻 10 号 p. 585-
    発行日: 1977年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    リセオフルビン投与により実験的ポリフィリン症を生じ,かつ,これらの動物を用いて光線過敏を起こし,その標的細胞として内皮細胞が主体をなすことが Gschnait らにより報告されている.著者らは,このことを確かめるために,次の実験をおこなった.グリセオフルビン1% 含有飼料にて D-D 系マウスを飼育すると,対照群では体重 31.0g, 肝臓重量 1.8g .肝臓/体重比 5.93%, 肝コプロポルフィリン 0.11μg/g. 肝プロトポルフィリン0.38μg/g, 血中プロトポルフィリソ19.58μg/dl であるのに対し,グリセオフルビン投与群では,投与期間38日で,体重 28.9g, 肝重量 4.4g 肝臓/体重比 14.83%, 肝ウロポルフィリン 0.83μg/g. 肝コプロポルフィリン 4.60μg/g, 肝プロトポルフィリン 250.09μg/g,血中コプロポルフィリン 22.65μg/dl. 血中プロトポルフィリン 706.68μg/dl,であった.皮膚ポルフィリンは対照群でコプロポルフィリン 0.50μg/100g, プロトポルフィリン 1.42μg/100g であるのに対して,グリセオフルビン18日投与群ではコブロポルフィリン 6.69μg/100g. プロトポルフィリン 26.88μg/100gと増加していた.これらのグリセオフルビン投与マウスに日光照射すると,臨床的には紅斑,痴皮,壊死を生じ,病理組織学的的には,光顕では小血管拡張,充血,細胞浸潤などの真皮反応が強く,電顕的には内皮細胞の破壊,変性が著明であった.また,血管周囲細胞の障害も著明で,また小血管周囲のマスト細胞の数も増加し,マスト細胞の破壊,脱穎粒現象もみられ,内皮細胞のみならず,血管を中心とする細胞群に障害を及ぼすものと思われた.これらのことより,グリセオフルビン投与マウスにおける光線過敏性反応は Gschnait らが述べるごとく,内皮細胞の選択的破壊によるものと思われるが,多量の光線により,更に小血管を中心とする細胞群,ことにマスト細胞にも直接の攻撃がうかがわれ,これらのマスト細胞の態度について,さらに検討を加える必要があると思われた
  • 上田 説子, 倉員 正俊, 河野 剣治, 旭 正一
    1977 年 87 巻 10 号 p. 599-
    発行日: 1977年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    尋常性天疱瘡5例,紅斑性天疱瘡2例について金製剤の注射療法をおこなった.金単独で軽快2例,ステロイドとの併用で軽央2例,ステロイド無効の粘膜疹の軽快2例,無効1例で,良好な治療成績を示した. 投与総量 100mg 以下の比較的初期から効果があらわれた症例が多く,血中金濃度の変動を測定した結果とあわせて考察すると,血中濃度の上昇が重要な因子になると考えられた.有効血中濃度は 200μg/dl 前後と思われるが,血中濃度の上昇のぐあいや,有効濃度を維持するための投与量には個人差が大きく,血中濃度を測定しつつ注射する方法がよいと思われる.また,粘膜疹には特に有効性が高いという印象をうけた. 副作用としては紅斑の発生が1例あり,軽度の疲労感や BUN 上昇もみられた.さらに1例は間質性肺炎で死亡したが,金療法の副作用とみなすべきか否か不明である.
  • 二木 昇平, 平山 芳, 市沢 碩, 細木 律子, 皿井 靖長, 二木 昇瑞
    1977 年 87 巻 10 号 p. 609-
    発行日: 1977年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    Staphylococcal Toxic Epider mal Necrolysis (S.T.E.N.) および Impetigo などの原因が Exfoliatin (Ex) を産生する黄色ブドウ球菌(ブ菌)である事は広く知られている.また,この EX に血清学的に少なくとも2種の型が存在する事を Kondo らにより確認され Ex-A および B と命名された.著者らは,この EX の血清型別とファージ型別について有意の関連性がない事を認め,また EX 産生ブ菌が S.T.E.N. や Impetigo 以外の:疾患にも検出される事から S.T.E.N. の発症には生体側に重要な要因があるものと推定した.更にブ菌の保存中に見られたEx産生能の滅少ないし脱落がⅡ群ブ菌(1 R.T.D. で 6.5%)と非Ⅱ群ブ菌(1R.T.D. で 35%)との間に著明な差がある事が判明した.
  • 松尾 聿朗, 大城戸 宗男, 木崎 治俊, 桜田 知己
    1977 年 87 巻 10 号 p. 617-
    発行日: 1977年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    核酸の構成成分である purine nucleotide の分解と合成に関与する酵素活性を,乾癬病巣部の生検表皮を材料として定量的に測定した.乾癖表皮での purine nucleosidephosphorylase 活性は,正常表皮に比べ約4.6倍高値を示した. AMP deaminase 活性は,乾癬表皮,正常表皮とも変わらぬ値を示した. purine nucleotide 合成のための salvage 系路酵素 purine phosphoribosyltransefrase 活性は,乾癬表皮では正常表皮に.比べ, adenine phosphoribosyltransferase 活性が有意に増加し guanine phosphoribosyltransefrase, hypoxanthinephosphoribosyltransferase 活性も高値を呈するものが多かった, 以上の結果から,乾癬病巣部の cell cycle の短縮した表皮細胞では,核酸の構成成分である purine nucleotide を base まで分解していく酵素系が活性化されて存在すると同時に,これらの酵素系により分解をうけた base を再び利用して直接 purine nucleotide を合成する salvage 系路酵素活性も,正常表皮細胞に比べて充進していることが明らかとなった.
  • 藤井 隆
    1977 年 87 巻 10 号 p. 621-
    発行日: 1977年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    アミロイド症に対し,ライソゾーム不安定化物質であるビタミン A を投与して,以下の臨床的および実験的観察を行った. (1)皮膚アミロイド症患者にビタミン A を経口投与 (3~5万単位/日,4~8ヵ月,総量360~1,200万単位) した.色素沈着,癈捺感に改善をみた.光顕的にはアミロイドは消失しなかったが,電顕的にはアミロイド島に虫食い様変化や部分的断裂像およびアミロイド細線維の乱れが観察された. (2)マウスに実験的アミロイド症(5% ミルクカゼインを10週皮下注)を発生させ,同時に実験群にはビタミン A を皮下注(500単位/回,週2回,計18回:総量9,000単位)した.肝臓,脾臓へのアミロイドの沈着は阻止され得なかったが,電顕的にはアミロイド細線維の乱れや虫食い様変化が観察された.
  • 1977 年 87 巻 10 号 p. 633-
    発行日: 1977年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
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