TNP 結合 epidermal cell (EC) および spleen cell(SC)によって TNCB 接触過敏症を誘導し,その際の TNP 結合細胞表面に存在する la 抗原の役割を donor とrecipient 間の genetic restriction,donor cell の抗血清処理および recipient の Cy 処理,抗血清処理によって検討した. 1) TNP-EC, TNP-SC の皮下注射によって接触過敏症が誘導される場合, TNP-SCで は 2×107個の細胞数を必要としたが, TNP-EC では 2×106個と TNP-SC の10分1以下の細胞数で接触過敏症が誘導された. 2) TNP-EC, TNP-SC の投与経路による感作の違いについて検討し,接触過敏症は TNP-SC の静注ないし腹腔注によって誘導されなかったが,これに反し TNPEC の静注ないし腹腔注によって誘導された. 3) TNP-EC の静注によって接触過敏症が誘導される場合 donor と recipient 間の genetic restriction はI領域ではI-A亜領域の一致が必要であった. 4) TNP-EC の静注による接触過敏症の誘導は, EC の抗 la 血清処理・抗 I-AB 血清処理によって阻止されたが,Ec の抗 I-BJEC, H-2SGD血清処理および recipient の抗 la 血清処理によっては阻止されなかった. 5) TNP-SC を静注した場合でも recipient を Cy, 抗 I-J 血清および抗 la 血清で処理することによって接触過敏症が誘導された.また recipient を抗 I・J 血清で処理することによって出現したこの接触過敏症も,TNP-EC の静注の場合と同様に SC を抗 la血清,抗 I-AB 血清で処理することによってその誘導が阻止された. 以上の成績より接触過敏症が誘導される際には, EC の la 抗原のうちの特に I-A 抗原に関連したハプテンによるシグナルが重要な役割を果していることが考えられた.また SCのI-A 抗原に関連したハプテンも同様に接触過敏症を誘導することが.出来るが,実際には,TNP-SC の静注によって同時に誘導されてくるより強力な suppressor T cell(Ts)系による抑制のもとで,接触過敏症が出現しないものと考えられた,
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