一般に線維化は過度の組織修復反応に基づくコラーゲンの過剰産生に基づく病態と理解されるが,創傷治癒と皮膚線維症の差異は量的な多寡あるいは時間的な長短のみで説明可能であろうか.I型コラーゲンα2鎖遺伝子のレポーターマウスやTGF-βのシグナル伝達阻害剤を用いた著者らの研究結果から,皮膚線維症は過度の組織修復反応を起点としつつも,創傷治癒とは異なる細胞分子基盤に立脚した質的に異なる病態であることが判明した.
ニボルマブ投与後に生じた,併用他剤による比較的重症な薬疹を6例経験した.多くの例でニボルマブ最終投与から2カ月以内に,38度以上の高熱を伴い,皮疹が出現した.DIHS様の眼囲を避ける顔面のびまん性紅斑,粘膜疹,肝障害なども比較的高率にみられた.被疑薬は多岐にわたったが,ニボルマブ投与後かつ上記の様な症状という共通点があり,治療への反応や経過も類似していた.ニボルマブによる薬疹ではなく,ニボルマブが他の薬剤による薬疹の頻度や重症度,臨床型などに何らかの影響を与えた可能性を強く疑い,検討した.