日本皮膚科学会雑誌
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99 巻, 8 号
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  • 衛藤 光, 塚本 宏太郎, 西山 茂夫
    1989 年 99 巻 8 号 p. 853-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    ヒト骨髄腫細胞株LICR-LON-HMy2と患者リンパ球とを用いて細胞融合法によりヒト―ヒトハイブリドーマを作製した.このうちのいくつかのハイブリドーマは,正常皮膚のコンポーネントと反応するヒト型モノクローナル抗体を産生していた.これらを反応パターンから分類すると,抗細胞質抗体,抗表皮細胞膜抗体,抗脂腺抗体,および抗外毛根鞘最内層細胞層抗体であった.得られた抗体の各疾患における役割は不明であり,疾患自体の発症には直接かかわりはないものとも考えられる,しかしながら一般に,ケラチンを除く正常皮膚構成成分に対する自己抗体の存在は,ある種の自己免疫疾患以外ではあまり知られていない.本研究の結果から,さまざまな皮膚成分に対する自己抗体がいままで知られている以上に,各種の疾患群およびあるいは健常人にも存在する可能性が示唆された.
  • 山田 裕道
    1989 年 99 巻 8 号 p. 861-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    S-S架橋酵素skin sulfhydryl oxidase(SSO)の皮膚内局在と活性化機構および反応機構につき検討した.①SSOは角層,顆粒層,有棘層~基底層,真皮のいずれの層にも存在したが,DNA及び蛋白当たりでは顆粒層に最も多い局在を示した.②本酵素はtrypsin,chymotrypsin,urokinaseのようなserine系proteaseにより活性化された.③本酵素は銅イオン添加により賦活化され,銅イオンキレーターであるDEDTC添加により失活した.④原子吸光分析では,SSO 1分子あたり0.5原子の銅を認め,銅がco-factorであることが示唆された.⑤銅イオンを添加することにより賦活化した状態ではSSO 1分子に2原子の銅を含んでいることが明らかにされた.⑥精製SSOのアミノ酸分析ではSSO 1分子中に1個のSH基と6個のS-S結合が含まれることが判明した.⑦SSOが触媒する酵素反応はR(SH)2+O2→(S-S-R)+H2O2で表される反応であることが明らかにされた.
  • 和泉 宏, 細川 宏
    1989 年 99 巻 8 号 p. 871-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    18例の水疱性類天疱瘡血清を用い,ヒト表皮蛋白抽出液をsubstrateとして,Western blot法にて類天疱瘡抗原を解析した.結果は以下の通りである.1)240,200,180KDの3種類の蛋白が検出され,それらの検出頻度は,それぞれ44%,22%,50%であった.2)2例(11%)では,特異的な蛋白を検出しなかった.3)コントロールとして用いた尋常性天疱瘡血清,健常人血清それぞれ10例では,上記3種類の蛋白は検出されなかった.4)各患者血清により検出される上記3種類の蛋白の組合せは,固有のパターンであり再現性があった.これらの結果は,類天疱瘡抗原及び症例間での抗体の多様性を示唆する.
  • 飯吉 英理子, 高橋 泰英, 佐々木 哲雄, 中嶋 弘
    1989 年 99 巻 8 号 p. 877-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    中等度~重症の皮膚症状を有するベーチェット病患者6名に低用量のCyclosporin A(CsA)を内服投与し,その治療効果を検討した.結節性紅斑様皮疹,口腔内アフタ,血栓性静脈炎等は,5mg/kg/日で,投与3日後より改善を示し,多くの症例で完全寛解が得られた.3mg/kgに減量したところ,口腔内アフタで3例に,結節性紅斑様皮疹で3例に再発が認められた.外陰部潰瘍は,他の皮膚症状より時間を要したが,最終的には消失した.リンパ球表面マーカーsingle color analysisでは,若干の変動を見たが,two color analysisではほとんど変化がみられなかった.重篤な副作用並びに検査異常を呈した例は見られなかった.
  • 千葉 万智子, 小林 勝, 塩原 哲夫, 長島 正治
    1989 年 99 巻 8 号 p. 883-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    3例の肉芽腫性口唇炎cheilitis granulomatosa(以下CGと略す)を経験し,そのうち2例においてchemical mediator遊離抑制剤(以下CM剤と略す)を用いたところ著明な軽快がみられた.本剤の作用機序としてmast cellからのCM遊離抑制が考えられたため,本症及び口唇の粘液嚢腫,扁平苔癬病変部のmast cell数,脱顆粒細胞率を比較検討した.CGでは真皮網状層でmast cell数が増加し,脱顆粒細胞率も他の疾患と比べ有意に高く,mast cellからのmediatorが本症の浮腫のみならず肉芽腫形成にも大きな役割を果たしている可能性が考えられた.
  • 岩井 雅彦
    1989 年 99 巻 8 号 p. 891-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    40症例42個の母斑細胞母斑を培養し,位相差顕微鏡所見,S-100タンパク染色所見を検討するとともに,微速度映画撮影により,動形態的検索も行なった.また神経線維腫の培養所見との比較検討も行なった.1)初代培養所見:培養3日目から7日目頃に,マクロファージ様ないし樹枝状突起をもつ細胞の遊出がみられ,S-100タンパク染色でこれらの細胞のほとんどが陽性所見を呈したが,個々の細胞により染色性に差がみられた.微速度映画撮影所見では,マクロファージ様形態の細胞と樹枝状突起をもつ細胞には相互に移行がみられ同一の細胞と考えた.またこれらの細胞は,神経線維腫の培養におけるSchwann細胞系細胞の動形態と酷似していて,運動性が活発で,dish底面との付着性に乏しく,ときどき足突起を出し入れする所見を呈した.以上の所見から,このマクロファージ様ないし樹枝状突起をもつ細胞のほとんどが母斑細胞と考えられた.2)長期間分離培養の試み:試みた5例中,1例だけが163日間,5回まで培養可能であったが,母斑細胞の数は徐々に減少し,良好な増殖状態はみられなかった.神経線維腫の培養に比べ継代培養は非常に困難であった.3)母斑細胞母斑42個の培養の総括:31個(73%)に母斑細胞の遊出がみられ,①組織型では真皮内型で脂肪変性を有するもの,②部位では顔面,③年齢では高年齢のものに遊出しやすい傾向がみられた.すなわち組織学的に,c型の成分の多い母斑細胞母斑ほど遊出しやすいと考えられた.4)発生母地として共通の神経櫛起源性である神経線維腫のSchwann細胞系細胞とc型を主体とする母斑細胞は,組織培養において形態学的所見,S-100タンパク染色所見とも酷似していることが判明した.
  • 朝比奈 昭彦, 松山 友彦, 池 亨仁, 土田 哲也, 中川 秀己, 関 利仁, 大塚 藤男, 石橋 康正
    1989 年 99 巻 8 号 p. 899-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    4歳女児と11ヵ月男児の,Hutchinson徴候を伴った爪甲下色素性母斑2例を経験した.文献的にも稀で爪甲下悪性黒色腫やその早期病変との鑑別が問題となったが,組織学的にはいずれのHutchinson部でも異型性のないメラノサイトが類円形の胞巣を形成しており,全体の構築から,女児例は境界型,男児例は混合型の色素性母斑と診断した.しかし爪母から爪床部にかけては基底層に沿い連続性にメラノサイトが増生し,特に男児例では樹枝状突起の発達が顕著な大型メラノサイトが密に増殖していた.顕微蛍光側光法により色素細胞の核DNA量を定量分析すると,女児例ではdiploid patternを示したが,男児例では比較的多数のpolyploid cellが出現し,またaneuploid cell populationの存在が示唆され,一部の増殖細胞が悪性化能を有するクローンである可能性が示唆された.Hutchinson徴候を伴う乳幼児の爪甲下色素性病変の中には,将来悪性黒色腫になりうる注意すべき症例が含まれていると考えた.
  • 中山 樹一郎, 山田 朗, 堀 嘉昭
    1989 年 99 巻 8 号 p. 907-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    74歳男子の成人型T細胞リンパ腫患者の左側頭の腫瘤に対しては遺伝子組み換えインターフェロンガンマ(rIFN-γ)の静脈内投与と局所温熱,右の2個の腫瘤に対してはrIFN-γの静脈内投与のみで治療を試み,その効果を比較検討した.左腫瘤は治療10日目(rIFN-γ1,000万JRU,温熱30~50分×5回)には腫瘤三方向の縮小率44%,21日目(rIFN-γ3,400万JRU,温熱13回)にはほぼ扁平化,縮小率94%となった.再発予防のため放射線(デルモパン,stⅢ)を計3,000R照射した.右腫瘤はいずれもrIFN-γ投与17日目(2,600万JRU)より急速に縮小しはじめ,縮小率各79,75%,21日目(3,400万JRU)には縮小率各91,97%となった.30日目よりrIFN-γを筋肉内投与に変更したところ右腫瘤部位の再発傾向を認めたため,デルモパン3,000Rを照射した.治療終了後の皮膚生検にて腫瘍細胞は左・右とも消失したことを確認した.その後週1回のrIFN-γ(200万JRU)の筋肉内投与にて外来でfollow中であるが,4ヵ月後の現在再発をみとめない.rIFN-γと温熱療法の併用はrIFN-γ単独投与に比べ治療効果発現を早め,これは両者の相乗効果と考えられた.ATLを含む悪性リンパ腫に対し,IFN-γと温熱療法の併用療法は今後試みられるべき有効な治療法であることが示唆された.
  • 江川 清文, 稲葉 葉一, 小野 友道, 荒尾 龍喜
    1989 年 99 巻 8 号 p. 915-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    左手背,第4指間に角状に3枝に分岐した小腫瘤を認める11歳女児例を報告した.病理組織学的に多数の好酸性顆粒状細胞質内封入体を認めることより,ミルメシアと診断.In situ hybridization法によりhuman papillomavirus type-1(HPV-1)感染疣贅であることが確認された.組織像およびHPVの型の点ではいわゆるミルメシアに一致するものの,典型的ミルメシアの臨床像とはかなり異なっている.この様な非典型的臨床像を呈した理由としては,種々の因子が考えられるが,報告に見る非典型例も,自験例同様,手掌足底以外に発症している様であり,これらの部位ではむしろ蟻塚様の臨床像を呈さないことが普通である可能性がある.つまり,ミルメシアは手掌足底では特徴的蟻塚様臨床像を呈するがそれ以外の部位では解剖学的分布や,その部位の状況に応じて種々の臨床像を取りうることが考えられる.非典型例の存在は,ウイルス性疣贅の臨床像規定因子として,感染の解剖学的分布など宿主側因子の重要性を再認識させる.また,最近,ミルメシアの診断根拠となっている細胞質内封入体にも組織学的にheterogeneityがあることが分かって来つつあり,ミルメシアの概念については整理検討の必要がある.
  • 堀内 早苗, 馬場 徹, 上野 賢一, 白石 聡
    1989 年 99 巻 8 号 p. 921-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    33歳,女性,4歳頃より年7~8回顔面四肢にクインケ浮腫を思わせる皮疹の出現,消退を繰り返していた.また,原因不明の腹痛発作も経験しているが特別の治療をうけることなく軽快していた.家族歴として母は20歳から50歳までクインケ様浮腫があったとの事であるが現在は認められていない,妹は10歳よりクインケ様浮腫と原因不明の腹痛が時々出現している.検査所見としてCH50価,C1q,C4蛋白量,C2活性の低値を示し,C1-INH蛋白量は著明な低下を認めた.また,母,姉,妹についてもC1-INH蛋白量の顕著な低下を認めた.以上よりHANEと診断した.また20歳頃より日光過敏症に気づき,27歳頃より顔面の蝶形紅斑を指摘された.顔面の組織所見としては表皮は菲薄化し,基底細胞の液状変性を呈し,lupus band testは陽性であった.検査所見でもリンパ球の減少及び,抗核抗体の陽性を認めた.よってHANEでSLE症状を呈していることが示唆された.
  • 1989 年 99 巻 8 号 p. 927-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
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