2017年6月に仙台で開催された第116回日本皮膚科学会総会において,キャリア支援委員会は教育講演「一歩高いところを目指すためのアドバイス」を企画した.DiHS及び食物アレルギーの分野で活躍する講師2名のキャリア形成の過程を聴講し,未来を担う若い皮膚科医にすべきアドバイスについて,会場の参加者全員が参加してパネルディスカッション形式で討議した.
顔面や手背などの日光曝露部に限局した皮疹を認めた場合,まず光線過敏症が疑われる.降圧薬などの薬剤を内服していないか,発症時期や家族歴などを問診することにより種々の疾患が鑑別される.病院における検査で非常に大切なのが,UVA,UVBや可視光による光線テストであり,遺伝子検査を含めた血液検査を参考にしながら診断につなげていく.治療としては遮光が大切であるが,皮膚科医が積極的に病態の作用波長を探していくことが,誤った遮光指導や,患者本人による過度な遮光を防ぎ,患者のQOL低下を防ぐことにつながる.
光線力学療法(PDT:photodynamic therapy)とは,意図的に人体に光線過敏状態を作り出し,光線過敏により惹き起こされる細胞へのダメージを利用して行う治療法である.現在皮膚科のみならず,外科,脳外科,産婦人科,泌尿器科など様々な領域で治療に広く応用されている.今回,本邦における皮膚科領域でのPDTの現状について,日光角化症およびボーエン病に対する治療および効果を中心に述べる.