薬疹の場合,臨床像に合致する病理所見であると言えることは多いが,病理所見から薬疹であると確定することは難しい.しかし重症薬疹の場合,典型的病理所見を呈した時は症状の極期であり,治療開始が遅れ予後を悪くしかねない.そのため,早期診断,早期治療が必須となる.そこで,重症薬疹を中心に特徴的な病理所見を自験例を中心に検討してみた.その結果interface dermatitisは必須の所見であり,真皮内の血管周囲性に好酸球浸潤を認める例が多かった.病型別特徴としては,interface changeが強く,裂隙形成が著明でnecrotic keratinocyteが多数の場合はStevens-Johnson症候群(SJS)やToxic epidermal necrolysis(TEN)を考え,早期のステロイド大量投与が必要であり,interface changeが軽度でnecrotic keratinocyteも少数の場合は,多形紅斑型薬疹や多形紅斑様の皮疹から始まるdrug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)が考えられ,早期のステロイドの中等量投与で十分かと思われた.ただしnecrotic keratinocyteが多数の場合は,大量を要する.またDIHSの場合,表皮のspongiosisを伴う例が多かった.
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