日本皮膚科学会雑誌
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120 巻, 5 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第59回 皮膚のウイルス感染症
原著
  • 久保田 由美子, 桐生 美麿, 中山 樹一郎
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 5 号 p. 1015-1025
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    薬疹の場合,臨床像に合致する病理所見であると言えることは多いが,病理所見から薬疹であると確定することは難しい.しかし重症薬疹の場合,典型的病理所見を呈した時は症状の極期であり,治療開始が遅れ予後を悪くしかねない.そのため,早期診断,早期治療が必須となる.そこで,重症薬疹を中心に特徴的な病理所見を自験例を中心に検討してみた.その結果interface dermatitisは必須の所見であり,真皮内の血管周囲性に好酸球浸潤を認める例が多かった.病型別特徴としては,interface changeが強く,裂隙形成が著明でnecrotic keratinocyteが多数の場合はStevens-Johnson症候群(SJS)やToxic epidermal necrolysis(TEN)を考え,早期のステロイド大量投与が必要であり,interface changeが軽度でnecrotic keratinocyteも少数の場合は,多形紅斑型薬疹や多形紅斑様の皮疹から始まるdrug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)が考えられ,早期のステロイドの中等量投与で十分かと思われた.ただしnecrotic keratinocyteが多数の場合は,大量を要する.またDIHSの場合,表皮のspongiosisを伴う例が多かった.
  • 森下 綾子, 谷口 裕子, 滝野 長平, 大滝 倫子
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 5 号 p. 1027-1032
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    32名の疥癬患者に対し,輸入したペルメトリンクリームを用いて治療した(9名の予防投与を含む).19名の疥癬患者は,ペルメトリンクリーム単独で治療を行い,1週間間隔で2回,頸部より下の全身に塗布,乳幼児では頭頸部を含め全身に塗布したところ,全例で治癒した.高齢者,角化型疥癬,プレドニゾロン内服などの難治が予測される4名の疥癬患者に対し,ペルメトリンクリームをイベルメクチンと併用して用いた.このうち3名はペルメトリンクリーム2回塗布で治癒したが,角化型疥癬の1名は3回塗布にて治癒した.角化型疥癬患者と密な接触機会があるため予防的にペルメトリンクリーム塗布を行った患者9名は,1回塗布し,6カ月以上発症せず予防効果を得た.32例全例で接触皮膚炎などの副作用は認められなかった.血液学的検査では検査を行った5症例については,塗布前後で肝機能障害,腎機能障害などは認められなかった.ペルメトリンクリームは高い殺虫効果を持つばかりでなく,毒性が低いため,妊婦,授乳婦,生後2カ月以上の乳幼児にも使用できる外用薬であり,本邦でも早期に認可されることが望まれる.
  • 小林 憲, 澤田 美月, 石崎 純子, 上野 惠子, 田中 勝
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 5 号 p. 1033-1042
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    表面マイクロコイルを用いると,体表の限局領域を高分解能MRIで撮影できる.このコイルを用いたMRIのことをMRマイクロスコピーという.今回われわれは,結節性の皮膚病変60例に対し,40 mm口径の表面マイクロコイルを用いたMRマイクロスコピーを行い,病理組織診断をゴールドスタンダードとして臨床診断,超音波診断との比較検討を行った.手術あるいは生検を行った27例中17例で,MRマイクロスコピー診断は病理組織診断と一致し(正診率63%),臨床診断(正診率30%)と比べて有意に診断精度が向上した.MRマイクロスコピー診断は,超音波診断の正診率47%と比較しても高い正診率であったが,統計学的有意差はなかった.またMRマイクロスコピー診断と病理組織診断が一致しなかった症例についても,腫瘍内部性状,深達度,範囲,血流の有無などを評価することができ,術前検査として有用であった.MRIは組織間のコントラスト分解能が高く,3次元可視化にも優れる反面,浅いレベルの撮像は困難であるとされていたが,表面マイクロコイルを用いることで浅いレベルの腫瘍描出を可能にした.
速報的小論文
  • 渡辺 裕美子, 山田 裕道
    原稿種別: 速報的小論文
    2010 年 120 巻 5 号 p. 1043-1047
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    3人の男性(71歳男性2人,57歳男性)はいずれも直腸または結腸癌に肝転移を認め,術後種々の抗癌剤投与の後,2008年10月から11月にセツキシマブの投与を開始した.初回投与終了の7日後に2回目を投与したところ,その2日後に全例に顔面と一部体幹に膿疱性紅色小丘疹が出現した.症例1では組織学的に毛包内および毛包周囲における好中球の浸潤がみられた.いずれの症例もステロイド剤と抗生剤の外用にて治療した.症例2は難治であったため最終的にはトレチノインクリームを必要とした.
学会抄録
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