日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
109 巻, 8 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 白方 裕司, 徳丸 晶, 橋本 公二
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1165-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    近年,細胞工学の進歩に伴い培養表皮シート移植は広く臨床応用可能となってきた.我々は,従来の培養表皮シート自家移植の発展系として三次元培養皮膚を作成し,基底膜構成成分,細胞接着分子,分化抗原について免疫組織学的ならびに電子顕微鏡的に検討した.従来の培養表皮シートと比較して,強固な角層の形成が認められ,細胞接着分子,分化のマーカーはvivo表皮と同様に十分に発現していた.基底膜構成成分については,ヘミデスモゾームの形成は良好で,類天疱瘡抗原,β4インテグリンは十分に発現していたが,基底板,係留線維の形成は認められるものの不連続で,不完全なものであった.難治性皮膚潰瘍患者2例に従来の培養表皮シート自家移植と三次元培養皮膚自家移植を組み合わせて使用し,明らかに生着性の向上を認めた.
  • 吉原 伸子, 檜垣 祐子, 有川 順子, 川島 眞
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1173-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    当科では,重症アトピー性皮膚炎(AD)患者に対してステロイド外用療法を中心に抗アレルギー薬,抗ヒスタミン剤の内服を併用する全くオーソドックスな入院治療を行っている.この入院治療への評価を患者にVisual Analogue Scale(VAS)を用いて行ってもらい,同時にステロイド外用剤への恐怖感についてアンケートにより調査した.対象は1997年3月から12月までに当科で入院治療したAD患者39例で,性別は男15例,女24例,年齢は6ヵ月から60歳,平均23.7歳で,入院期間は3日から34日で平均11.2日だった.VASによる評価項目は入院時は皮膚の症状,痒み,睡眠障害,現在の症状の満足度,ステロイド外用剤についての5項目についてとし,退院時には,上記5項目に治療に対する満足度を加えた6項目とした.その結果,入院前後で皮膚の症状は平均12mmから73mm,痒みは20mmから72mm,睡眠障害は42mmから78mm,現在の症状の満足度は17mmから78mmといずれも大きく改善し,入院治療に対する満足度は91mmと非常に高かった.一方,ステロイド外用剤については,入院時平均42mmから退院時73mm(0;大変怖い,100;怖くない)と恐怖感の軽滅がみられた.アンケートは自由記載形式で,『怖くない』とのみ答えた2例を除く37例が何らかの恐怖感を抱いており,その理由には内服と外用の混同を始めとする誤認,誤解が多くみられた.また,これらの情報源としてはテレビなどのマスメディアを挙げたものが21人と最も多かった.ステロイド外用療法を中心としたオーソドックスな入院治療は,短期的には症状の改善や満足度に患者自身も高い評価をしており,またステロイド外用剤に対する恐怖感を取り除くためにも十分とはいえないまでも有用であると考えた.
  • 有川 順子, 檜垣 祐子, 吉原 伸子, 川島 眞
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1179-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    当科ではアトピー性皮膚炎の増悪により入院した患者の全例に,ステロイド外用療法を中心として保湿剤や抗アレルギー薬,抗ヒスタミン剤内服を併用する,極めてオーソドックスな治療を行っている.1995年1月から1997年7月までに入院したアトピー性皮膚炎患者は119人であったが,そのうちステロイド外用剤を入院前には使用しておらず,皮疹の増悪を招き,入院に至った症例は70人,58.8%と半数以上を占めた.そのうちステロイド外用剤の使用を明確に拒否していたものは33人,全体の27.7%であった.これらの患者の退院6ヵ月後の治療状況とステロイド外用療法の受け入れ状況について調査した.その結果,119人中84人,71%とその多くが当科または関連医療機関に通院中であった.また退院後のステロイド外用剤の使用拒否は,不明の14人を除く105人中11人,10.5%へと減少し,94人,89.5%がステロイド外用療法を受け入れていると考えた.以上より,入院を要する程の高度の皮疹を有する患者のうち約10%はステロイド外用剤拒否の呪縛とも言うべき,かたくなな姿勢から解き放つことができないが,他の大部分は短期の入院による患者指導によって病状に応じた適切なステロイド外用療法を受容させうるものと考えた.
  • 金子 玲子, 古川 裕利, 佐藤 正隆, 岩月 啓氏, 金子 史男, 星 美智子, 片倉 賢, 上里 博, 野中 薫雄, 古谷 正人, 橋口 ...
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1185-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    17歳,男性.パラグアイで生まれ,9歳まで滞在した.3歳頃,右下腿内側に腫瘤がみられたが略治した.14歳頃から左鼻涙管狭窄,左鼻腔内に小結節が出現し,種々の治療に抵抗した.初診時,鼻翼,上口唇,軟口蓋,口蓋垂,咽頭後壁に肉芽腫性変化がみられた.病理組織学的検査では真皮全層にわたりリンパ球,組織球,形質細胞などの浸潤がみられ,臨床症状および組織所見などから粘膜皮膚リーシュマニア症(Mucocutaneous leishmaniasis)が考えられたが,虫体は認められず,培養も陰性であった.しかし,polymerase chain reaction(PCR)ではLeishmania(Viannia)braziliensis complexで増幅されるDNA断片に一致する70bpのbandを認め,また特異的probeを用いたSouthern blotting hybridization法でもPCR産物に一致してsignalがみられた.PCR産物はgene bankに登録されている)Leishmania(Vinnnia)braziliensisの塩基配列と一致するsequenceを得たので,本症例を粘膜皮膚リーシュマニア症と診断した.治療は厚生省「熱帯病治療薬の開発研究班」から供与された5価アンチモン剤(ペントスタム)を14mg/kg/day投与したところ,投与7日目から効果がみられ約2ヵ月で皮疹はほぼ消退した.本症例ではペントスタムの投与は約3カ月に及んだが重篤な副作用は認められなかった.残存する瘢痕は現在外来で経過観察中である.本症例の経験から,我々は,輸入感染症として粘膜皮膚リーシュマニア症に日々の外来診療で遭遇する可能性があることを強調した.
  • 仲 弥, 畑 康樹, 石崎 純子, 福田 知雄, 塩原 哲夫, 原田 敬之, 西川 武二
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1193-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    趾爪白癬に対するイトラコナゾール間歇療法の至適サイクル数を設定する目的で比較試験を行った.4施設において趾爪白癖患者にイトラコナゾール200mg/日を1週間内服,3週間休薬―これを1サイクルとし,3サイクル群,4サイクル群,6サイクル群に無作為に割り付け投与した.サイクル終了6ヵ月後まで臨床効果,真菌学的効果および安全性を評価し,各部における本療法の有効性を比較検討した.その結果,総投与症例62例のうち,有効性評価の対象となった症例は36例,安全性評価の対象となった症例は57例であった.有効率は3サイクル群80.0%,4サイクル群77.8%,6サイクル群83.3%といずれも高く,各群間に有意差は認められなかった.また,治癒率は6サイクル群で75%と最も高かった.副作用・臨床検査値異常は3例(5.3%)に認められたが,いずれも軽く重篤なものはなかった.また爪甲内イトラコナゾール濃度を経時的に測定した結果,薬剤濃度はいずれのサイクル群においても投与終了後も6ヵ月間概ね高値(100ng/g以上)のまま維持されていた.しかし,無効例では薬剤濃度は早期に低下する傾向がみられ,臨床効果との相関が認められた.以上より趾爪白癖に対するイトラコナゾールの間歇投与は3サイクルでも十分有用と思われ,この治療法は患者のコンプライアンスの向上にも大いに役立つものと思われる.
  • 奥田 長三郎, 伊藤 雅章
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1201-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    イトラコナゾールによる爪白癬のパルス療法における,より有効な投与法を検討するため,済生会三条病院皮膚科を受診した爪白癬患者90例を無作為に2群に分けた.そして,43例に200mg/日を,47例に300mg/日を,週1回反復投与した.24週後,評価対象症例はそれぞれ17例と21例であった.その時点での「有効率」は,両群とも著効が約30%,有効以上が約55%で, 100 mg/日の連日投与に比してかなり低くなっていた.しかし,部位別に検討すると,有効以上の割合は,両群とも,指爪では100%, 2, 3趾爪では75%以上,1趾爪では約40%であった.無効例を除き,完治するまで最長1年間パルス療法を継続した結果,治癒率は,両群とも,指爪では100%, 2, 3趾爪では約70%で,1趾爪では40%以下であった.指爪に関しては200 mg/日を週に1回内服する方法で十分な効果が期待できるが,趾爪のうち少なくとも1趾爪に対しては週1回投与法の有用性は無いと言える.
  • 新山 史朗, 天野 隆文, 藤田 裕介, 浅井 俊弥, 勝岡 憲生
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1209-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
     13歳,男性.徐々に増大する後頭部腫瘤を主訴に受診した.ピンポン玉大,常色,非常に柔らかい皮下腫瘤で,下床の骨との可動性は不良であった.粉瘤を疑い切除を試みたところ,腫瘤は暗紅色で肝臓実質を思わせる外観を呈していた.病理組織学的には,組織球様細胞の増殖と多数の好酸球を混じる炎症細胞浸潤を認め,免疫組織化学染色で組織球様細胞はS 100 蛋白,CD 1,リゾチームが陽性であった.これらの所見より骨好酸球性肉芽腫と診断し,治療として総量9Gyの放射線照射を行い,腫瘤は縮小し再燃を認めていない.
  • 武田 裕美子, 喜多野 征夫, 赤澤 博美, 林 義明
    1999 年 109 巻 8 号 p. 1215-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    慢性腎不全で血液透析を受けている患者に発生したcalcifying panniculitisの1例を報告する.75歳,女性.慢性糸球体腎炎由来の慢性腎不全で7年前より血液透析を受けていた.左大腿部に出血斑様の皮疹を認め,疼痛を伴う.初診時,左大腿内側に15×15 cm大の紫斑あり,一部に血性の水庖とびらんが生じ,下床には硬結を触れた.右大腿内側には,赤紫色の網状皮斑を認めた.当初,静脈血栓を疑ったが,左大腿部の紫斑は急速に潰瘍化した.潰瘍部の生検を行い,脂肪組織内の石灰沈着を認め, calcifying panniculitisと診断した.血中の無機リンの高値と副甲状腺ホルモンの上昇を認め,副甲状腺摘出を薦めたが,承諾を得られなかったため,血液透析とカルシトリオール,リマプロストルファデクスの内服を行ったが,潰瘍は治癒することはなかった.初診4ヵ月半後に鬱血性心不全を来たし死亡した. 本症例は慢性腎不全,血液透析に続発した副甲状腺機能充進症を基礎に, calciphylaxisの機序により生じたcalcifying panniculitisの典型例である.
  • 1999 年 109 巻 8 号 p. 1221-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
feedback
Top