Recklinghausen 母斑症に於ける色素斑と正常皮膚との間に於て,その両部のメラノサイトの形態に異同で)有無,又は,両部の単位面積内に分布するノラノサイトの数に差異があるかどうかを検討する目的にて,両部の水平切片を用いて,メチレン青染色及び Dopa 反応を行って,次の結果を得た.メラノサイトの形態的には,メチレン青染色に於て,色素斑,正常皮膚との間に特記すべき相異は認められなかったが,特に色素斑に多く表皮樹枝状細胞の周囲と樹枝状突起の尖端の部にメラニン顆粒様物質の増強が認められた.又 Dopa 反応に於いては,両部のメラノサイトの形態的変化,且つメラノサイト周囲のメラニン顆粒量に何等の変化も認められなかった.然し色素斑に於て一部の Dopa 陽性メラノサイト内に巨大色素穎粒(所謂 Giant melanosome ) が黒色円形の小体として認められた.メラノサイトの分布密度については,30症例に於て,1黴3 当りの計測を行い,色素斑と正常皮膚との間に於て,メチレン青染色表皮樹枝状細胞の計測値及び Dopa 陽性メラノサイトの計測値,且つメチレン青染色法でみる樹枝状細胞の計測値及び Dopa 反応法でみる Dopa 陽性メラノサイトの計測値との間に,推計学的検討を行い,その各々の計測値に有意の差は認められなかった.
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