尋常性痤瘡治療ガイドラインの初版は,2008年のアダパレン承認に合わせ策定され,その後過酸化ベンゾイルとその配合剤の登場で2016年と2017年に改訂された.最新のガイドラインに従って急性炎症期にはエビデンスが確立した推奨度の高い治療法を取り入れて,積極的に多剤を併用して早期の改善をはかり,炎症軽快後には,抗菌薬を中止してアダパレンや過酸化ベンゾイルを用いた維持療法に確実に移行して薬剤耐性菌の出現を阻止することが肝要である.
世界医療において大きな潮流が起こっている.1)EBM運動の進展に沿った診療ガイドライン作成の「GRADEシステム」への移行の問題,2)「利益相反」の問題,3)「患者や社会の医療への参加」を求める問題である.これらは「透明性」という言葉に収斂する.世界の医療思潮の革新運動である限り,好むと好まざるに関わらず,日本の医療もそれに巻き込まれていることを自覚しなければならない.以下,これらの動向に焦点を合わせて概説する.
両下腿伸側の結節,びらん,瘢痕を呈した前脛骨型栄養障害型表皮水疱症の2例について報告する.自験例は2例ともにいわゆる前脛骨型の臨床であるが,遺伝子検査で自験例1は日本人新規変異でイントロン87にヘテロ接合性c.6900+1G>A変異,自験例2はエクソン116にホモ接合性c.8569G>T(E2857X)変異を認めた.栄養障害型表皮水疱症の診断において,遺伝子型は必ずしも単一臨床型を呈しないと考えた.前脛骨型や痒疹型という臨床型による診断名は主観的ではあるものの,診断に結び付く手がかりとなった.