日本皮膚科学会雑誌
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118 巻, 11 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第42回 皮膚科の治療
原著
  • 加藤 裕史, 新谷 洋一, 渡辺 正一, 金子 夏美, 西田 絵美, 山口 裕史, 森田 明理
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 11 号 p. 2211-2217
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    我々の施設では,以前より尋常性乾癬に対してPUVA療法などの光線治療をおこなっており,また,1999年よりナローバンドUVBも取り入れて多くの患者に治療をおこなっている.最近では尋常性白斑に対してナローバンドUVB療法・吸引水疱蓋による表皮移植術などをおこなっており,尋常性白斑の初診患者が多くなっているが,一部の症例で光線療法に反応が悪く難治なものが存在する.今回我々は1ミリ生検トレパンを使用し,植皮を行う,所謂ミニグラフト療法を,分節型5例,汎発型4例,限局型1例の計10例の尋常性白斑患者へ行い,分節型では術後2カ月~7カ月のフォローで平均62%の色素発色を認め,汎発型では4カ月~10カ月のフォローで17.5%の色素発色を得た.この治療法は,術後安静もほとんど必要とせず,また瘢痕も残りにくいため,尋常性白斑に対する治療として非常に優れたものであると考えられる.
  • 大月 亜希子, 黛 暢恭, 池田 志斈, 橋本 隆
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 11 号 p. 2219-2225
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    抗BP230抗体のみ陽性を示した水疱性類天疱瘡(BP)の3例を報告した.症例1:73歳,男.3年前より下肢に紅斑と水疱が出現.他院にて加療されるも改善せず,当科を受診した.副腎皮質ホルモン薬の増量と血液浄化療法により症状は速やかに改善した.症例2:54歳,女.2年前より顔面に水疱が出現し,徐々に全身に広がった.近医でBPと診断され,投薬を受けていたが,症状が悪化したため当科を受診した.副腎皮質ホルモン薬と抗アレルギー薬の内服により症状は軽快した.症例3:59歳,女.7年前よりBPの診断で副腎皮質ホルモン薬を内服していた.症状が悪化し,当科を受診した.副腎皮質ホルモン薬増量,血液浄化療法により症状は改善した.以後,寛解状態を保っている.上記3例では免疫ブロット法で抗BP180抗体は陰性であり,抗BP230抗体のみが陽性を示していた.また,全例でBP230のC末端部リコンビナント蛋白に反応する抗体が検出された.
  • 黒川 晃夫, 森脇 真一, 清金 公裕
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 11 号 p. 2227-2232
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    66歳,女性.アトピー性皮膚炎の治療中,口唇,頬粘膜,手に色素斑が多発しているのに気付いた.病理組織学的には,表皮基底層におけるメラニンの増生および真皮上層でのメラノファージが認められた.家族内発生や消化管ポリポーシスはみられなかった.本症例の色素斑は,慢性刺激が広範囲に加わったために生じた,Laugier-Hunziker-Baran症候群類似の色素沈着と診断した.また,本症例での口唇の色素斑はアトピー性皮膚炎患者にみられるlabial melanosis,即ちatopic labial melanosisに相当するものと思われた.本症例はLaugier-Hunziker-Baran症候群,labial melanotic macule,labial melanosis,atopic labial melanosisとの位置づけを考察する上でも貴重な症例と考えられた.
  • 安齋 眞一, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 11 号 p. 2233-2241
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    2001年5月から2006年8月まで札幌皮膚病理研究所で病理診断した脂腺腫:Sebaceoma 161例を用いて臨床病理学的検討を行った.男性67例,女性94例と女性に多く,切除時年齢は,15から94歳で,平均62.7±16.5歳であった.男性は59.2±16.5歳,女性は65.2±16.2歳と,女性でやや高かったが,統計学的に有意差はなかった.発生部位は,全体では顔面が72例(44.7%)と最も多く,次いで頭部が51例(31.7%)であった.眼瞼の発生例は10例(6.2%)であった.性別では男性では頭部が37例(40.3%)と最も多く,次いで顔面が17例(25.4%)であった.女性では顔面に生じた例が55例(58.5%)であり,次いで頭部が24例(25.5%)であった.臨床診断では,脂腺腫瘍とされていたものは約10%であり,それ以外に記載された病名では,脂腺母斑や,脂漏性角化症あるいは疣贅,としていたものが多かった.脂腺母斑が19例(11.8%)で合併していた.切除時年齢は脂腺母斑合併例で48.3±23.0歳,非合併例で64.7±14.3歳であり,合併例で有意に低かった.脂腺母斑以外には,毛芽腫が13例(8.1%),基底細胞癌が5例(3.1%)合併していた.毛芽腫では13例中7例(53.8%),基底細胞癌では5例すべてが脂腺母斑にともなう例であった.脂腺母斑の非合併例のうちで脂漏性角化症が10例(脂腺母斑非合併例の7.0%),合併していた.今回の結果が,日本人における脂腺腫の臨床病理学的特徴を示しているものと考えている.
学会抄録
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