乳房外 Paget 病30例を臨床病理学的に検索,光顕所見から Paget 細胞を A 型(ordinary large Paget's cell), B 型(ordinary small Paget's cell), C 型(degenerated Paget's cell)および D 型(spindle-shaped Paget's cell)の4型に分類した.これら Paget 細胞の表皮内・毛包・皮脂腺・汗器官および下床における分布から表皮内には A 型が多数を占め,表皮内腺様構造が30例中20例(67%)に認められ,この成績は表皮内 Paget 細胞が腺細胞的性格を示唆する重要な所見と考えた,いわゆる面鮑癌を含め汗器官に Paget 細胞は15例(50%)に認められ,B 型が多かった.次に下床に浸潤増殖する症例は10例(33%)あり,病理組織学的所見から腺癌型と腺癌に単純癌を合併した型の2型に分類, Paget 細胞は B ・ D 型が多く観察された,組織化学的に Paget 細胞にはムコ多糖および糖蛋白,特にシアロ粘液が存在すると考えられ,一般に表皮内Paget細胞は強陽性で,下床は僅徹ないし欠如していた.自験例におけるPaget細胞の発生部位と拡大から,3型に分類し得ると考えられた.すなわち I 型では表皮内および毛包内のみに Paget 細胞が限局する型, II 型では Page t細胞が汗器官といわゆる面嶮癌として認められる型,Ⅲ型では下床に Paget 細胞が浸潤増殖をきたした型である. 以上の成績より乳房外 Paget 病はアポクリン汗器官との密接な関連が窺われる.
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