日本皮膚科学会雑誌
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91 巻, 11 号
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  • 土山 秀
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1165-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    表皮内癌(陰部ページェット病,ボーエン病,ケイラット紅色肥厚症)の outgrowth culture を行ない,形態的観察を,次いでオートラジオグラフィ-により 3H-チミジンの取り込みを検討した.さらに健常皮膚,有棘細胞癌との比較検討を行なった.その結果,以下の結論に至った.即ち,表皮内癌は in vitro において, 1)in vivo と同様の形態的特徴を示した. 2)正常表皮に比し,より強い増殖能力を有することが示唆された. 3)それらの腫瘍細胞の増殖には正常ケラチノサイトとの共生が必要である可能性も推測された.
  • 吉野 和廣, 松尾 聿朗, 大城戸 宗男
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1175-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    ヒト皮膚表面をおおう脂質中には過酸化物が存在する.この皮表脂質過酸化物に対する表皮の防御機構である抗酸化的作用を検討するため,皮表脂質に長波長紫外線 (UVA) の照射を行ない,生成された脂質過酸化物に対するα・ケラチンタンパクの効果をみた.また対照実験として,アルブミン,カゼイン,トコフェロール,ブチルハイドロキシトルエン (BHT) の皮表脂質過酸化物に対する抗酸化作用を調べた. 1 健康人背部に直接 UVA 照射を行ない,その後,皮表脂質を採取し脂質過酸化物を定量した.その量は,UVA を照射しない健康人より採取した皮表脂質中の脂質過酸化物量とほぼ同じであった. 2 健康人背部より皮表脂質を採取し,試験管内で UVA 照射を行ない,生成された脂質過酸化物を定量した.その量は UVA の照射量の増加にしたがって増加し60分間照射後では非照射皮表脂質に比べ約15倍量となった. 3 健康人より採取した皮表脂質に UVA を照射して生成させた脂質過酸化物の懸濁液に,α-ケラチソ,牛血清アルブミン,ミルクカゼイン,α-トコフェロール,BHT を添加し,37°C遮光下でインキュベートすると,脂質過酸化物量はそれぞれ添加30分後に減少が認められた. 4 これらの結果より,健康人の表皮または角質層内に含有する α-ケラチンならびにアルブミンなどが抗酸化的役割りをなしているのが判明した.そのためヒト表皮または角質層は脂質過酸化物に対し,脂質過酸化物の生成を抑制あるいは分解を促進する抗酸化的な役割りを有すると結論した.
  • 大山 勝郎
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1181-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    乳房外 Paget 病30例を臨床病理学的に検索,光顕所見から Paget 細胞を A 型(ordinary large Paget's cell), B 型(ordinary small Paget's cell), C 型(degenerated Paget's cell)および D 型(spindle-shaped Paget's cell)の4型に分類した.これら Paget 細胞の表皮内・毛包・皮脂腺・汗器官および下床における分布から表皮内には A 型が多数を占め,表皮内腺様構造が30例中20例(67%)に認められ,この成績は表皮内 Paget 細胞が腺細胞的性格を示唆する重要な所見と考えた,いわゆる面鮑癌を含め汗器官に Paget 細胞は15例(50%)に認められ,B 型が多かった.次に下床に浸潤増殖する症例は10例(33%)あり,病理組織学的所見から腺癌型と腺癌に単純癌を合併した型の2型に分類, Paget 細胞は B ・ D 型が多く観察された,組織化学的に Paget 細胞にはムコ多糖および糖蛋白,特にシアロ粘液が存在すると考えられ,一般に表皮内Paget細胞は強陽性で,下床は僅徹ないし欠如していた.自験例におけるPaget細胞の発生部位と拡大から,3型に分類し得ると考えられた.すなわち I 型では表皮内および毛包内のみに Paget 細胞が限局する型, II 型では Page t細胞が汗器官といわゆる面嶮癌として認められる型,Ⅲ型では下床に Paget 細胞が浸潤増殖をきたした型である. 以上の成績より乳房外 Paget 病はアポクリン汗器官との密接な関連が窺われる.
  • 大山 勝郎
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1193-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    乳房外 Paget 病20例を透過型電子顕微鏡で,うち2例を走査型電子顕微鏡で観察した.第1報に記載した乳房外 Paget 病 I・II・Ⅲ型における Paget 細胞の核を電顕的に観察し,I 型よりも II・Ⅲ型において,より高度の異型性を示す成績が得られた.次に微細構造から Paget 細胞を分泌型,空胞型および非分泌型の3型に分類し,病巣の表皮内には概して分泌型 Paget 細胞か多く,下床は空胞型および非分泌型 Paget 細胞が高頻度に認められた.これら Paget 細胞間に認められる接着斑は,正常エックリン・アポクリン汗器官上皮細胞のそれより,さらに小型・不完全で,癌細胞としての異型性を示す形態異常と考えられ,さらに表皮内 Paget 細胞は,しばしぼ微絨毛が突出し,細胞間腺腔を形成,分泌穎粒を有し,細胞内小器官の形態より,腺上皮細胞との密接な関連が示唆される.また1症例の下床にみられた Paget 細胞に細胞内小腺腔を認めた.これらの電顕的所見から, Paget 細胞は腺組織,特に汗器官との密接な関連が窺われるが,エックリン系かアポクリン系汗器官の何れに分化傾向を示すかについては,明確に立証することが出来なかった.
  • 大山 勝郎
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1207-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
  • 中川 秀己, 都留 紀子, 堀 嘉昭, 長谷川 吉康
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1221-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    IgA-λ型骨髄腫患老にみられた皮内から皮下にかけてのアミロイド結節を病理組織学的に検索した所,血管との密接な関連を認めた.更に本症例のアミロイドのアミノ酸分析と,前回,我々の経験した Bence-Jones κ 型骨髄腫患者の肩関節滑膜下アミロイド腫瘤のアミノ酸分析とを検討し,アミロイドの前駆体としての免疫グロブリン light chain の重要性を確認した
  • 吉永 花子, 松本 圭祐, 池端 千佳子, 蜂谷 勉
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1229-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    B-cell lymphoma は B-stem cell から plasma cell への成熟過程で何らかの成熟阻 IL がおこり腫瘍化したものであるといわれる. 皮膚腫瘍をともなった B cell lymphoma の腫瘍細胞を電顕的に観察したが,B stem cell に近い段階で腫瘍化したと考えられる腫瘍細胞が多くみとめられ,plasma cell に近い段階で腫瘍化したと考えられる細胞は約30%であった. 腫瘍細胞の免疫学的倹索では EAC ロゼット形成35%, S-Ig 30%で高くなく,血清γグロブリン値も低値を示した.このことは形態的にも EAC ロゼット形成をせず S-Ig を有さない,また lg も産生しない Stem cell に近ト段階の腫瘍細胞が多く認められ, plasma cell に近ト段階の腫瘍細胞が少いことと関連があると考えられた.
  • 手塚 正
    1981 年 91 巻 11 号 p. 1235-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    1) Hamster cheek pouch 上皮を電顕的および 7-(Ndimethylamino-4-methyl-couniarinyl)maleimide(DACM) 染色法と Paulv 反応を用いて倹素した. 2) HE 染色標本では角層下に2層の穎粒層がみとめられ,これらの穎粒の大きさは小さかった. 3)これらの穎粒は Pauly 反応陽性(綴赤色)を示し,且つ DACM 染色で SH 基および S-S 結合による蛍光を示したのでヒスチジンに富むばかりでなくシスチンにも富むことが明らかである.
  • 1981 年 91 巻 11 号 p. 1239-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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