2002年4月から2010年3月までの8年間に東京医科大学病院皮膚科を受診した原発性瘢痕性脱毛症(Primary cicatricial alopecia:以下PCA)の患者65例について,臨床的所見をまとめた.PCA患者数は,同期間に当科を初診で受診した外来患者総数(n=54,371)の0.1%,毛髪疾患と診断された患者総数(n=3,421)の1.9%の割合であった.男女比は1:1.7(男性24例,女性41例)と女性に多く,平均発症年齢は41.1±19.9歳(0~84歳),平均罹患期間は5.4±5.1年であった.瘙痒,疼痛などの自覚症状のあった症例は,37例(56.9%)であった.PCAの疾患別頻度はchronic cutaneous lupus erythematosus 14例(21.5%),lichen planopilaris 17例(26.2%),frontal fibrosing alopecia 7例(10.8%),classic pseudopelade of Brocq 5例(7.7%),folliculitis decalvans 10例(15.4%),dissecting cellulitis 1例(1.5%),folliculitis keloidalis 9例(13.8%),nonspecific 2例(3.1%)であった.治療はリンパ球浸潤疾患群には主にステロイドを使用し,好中球浸潤疾患群には抗生物質に加えステロイドを併用し,半数以上は局所の炎症が軽快し,脱毛斑の拡大を抑えることができた.
抄録全体を表示