日本皮膚科学会雑誌
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111 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
生涯教育講座
  • 高田 実
    原稿種別: 生涯教育講座
    2001 年 111 巻 6 号 p. 925-930
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    母斑性基底細胞癌症候群の原因遺伝子としてpatched遺伝子がクローニングされて以来,基底細胞癌の分子発癌機序の解明は急速に進み,patched,smoothened,sonichedgehogなど複数の蛋白が関与するhedgehogシグナル伝達経路の恒常的活性化が発癌の必要条件であることが明らかとなった.さらに最近,このhedgehogシグナルを抑制する物質であるcyclopamineが発見され,基底細胞癌の薬物治療への応用が期待されている.毛包上皮腫もhedgehogシグナルの異常を示すが,毛芽腫やその他の附属器腫瘍ではその異常は証明されていない.一方,乳房外Paget病の遺伝子異常の解明も進み,それに基づいた新しい分子標的治療が提唱されている.悪性黒色腫に対しては,DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析が適用され,個性診断とオーダーメイド治療への道が開かれつつある.
原著
  • 宮島 進, 山本 隆之, 岡田 奈津子, 水野 清行, 松下 哲也
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 6 号 p. 931-937
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    閉塞性動脈硬化症による虚血性足趾潰瘍の3例に対し,血行再建術を施行し,奏効したので報告する.いずれも足趾に難治性潰瘍をみとめ,冷感,疼痛が著明であった.局所軟膏療法及び血管拡張剤等の保存的治療に抵抗した.これらの症例は脳梗塞や心不全等の既往があり,2例は糖尿病を合併していた.3例とも動脈造影にて下肢動脈に多発性の狭窄,或いは閉塞をみとめ,膝窩動脈以下の末梢血流は不良であったが,外科的血行再建術により冷感,疼痛は軽快し潰瘍は治癒に到り,肢切断を回避し得た.
  • 加藤 文美香, 岩井 昭樹, 室 慶直, 富田 靖
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 6 号 p. 939-945
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    間質性肺炎を合併したamyopathic dermatomyositisの経過中に縦隔気腫を発症し,ステロイドパルス療法で救命することができた1例を経験した.症例は51歳女性.amyopathic dermatomyositisにシェーグレン症候群と自己免疫性肝炎を合併していた.入院時より労作時呼吸困難が出現したため,ステロイドパルス療法を行ったところ間質性肺炎は良好な経過を示した.間質性肺炎が改善してきた頃,胸部CTにて縦隔気腫を認めた.安静にて経過観察したところ,縦隔気腫は消失した.皮膚筋炎における縦隔気腫の合併は極めて稀であり,予後不良であることが多いが,本症例は今日まで観察する限り良好な経過を示している.
  • 調 裕次, 日野 奈保子, 藤本 美穂, 高木 圭一, 川津 智是
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 6 号 p. 947-953
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    46歳男性.全身の蕁麻疹様紅斑,発熱,リンパ節腫脹を生じ,血液検査にてIgM-κ型M蛋白が確認された.骨髄穿刺,リンパ節生検,その他全身検索にて悪性所見はみられず,Schnitzler’s syndromeと診断.非ステロイド消炎薬,抗ヒスタミン薬にて症状の改善みられずステロイドパルス療法を行った.パルス療法終了後,皮疹,発熱,リンパ節腫脹は劇的に改善した.その後内服ステロイド減量にて症状の再燃がみられた.次に二重膜濾過血漿交換療法を施行した.血漿交換直後2,3日で皮疹は改善したが,治療間隔を週2回から1回に変えると再燃した.血清IgM値と皮疹の程度には相関がみられなかった.その後ステロイド減量にて発熱,皮疹の再燃がみられたため,化学療法(DMVM-IFNα療法)を3クール行った.皮疹は改善したが終了後に軽度再燃がみられた.血清IgM値は化学療法終了後5カ月の現在コントロールされ,ステロイド治量後,発熱もみられていない.Schnitzler’s syndromeに対し決定的な治療法はないが,ステロイドパルス療法と血漿交換療法,化学療法はそれぞれに有用性があると考えられる.
  • 磯村 巌, 森田 明理, 菅野 重, 辻 卓夫
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 6 号 p. 955-960
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    6歳,女児.生後3カ月に鼠径ヘルニアの手術を受けた.術後から肝障害,貧血,白血球減少,CRP高値が持続し,慢性EBウイルス感染症の疑いで近医小児科に通院していた.4歳頃から頸部,頭部,下腿に潰瘍を多発してきたため,平成11年10月27日名古屋市立大学病院皮膚科を受診.臨床像,生検による潰瘍化などから,壊疽性膿皮症と診断した.EBウイルスの再活性化を認めたが,リンパ腫,炎症性腸疾患などの明らかな基礎疾患を認めなかった.経過中の検索で著しい高亜鉛血症を認めた.近年,高亜鉛血症がある種の免疫不全を来す疾患概念として提唱されており,汎血球減少,好中球機能異常などの免疫系の異常や肝脾腫に加えて,壊疽性膿皮症や血管炎などの皮膚症状を呈した症例も報告されている.高亜鉛血症に壊疽性膿皮症を合併した症例と本症例を比較すると多くの類似点があり,本症例の壊疽性膿皮症の基礎疾患として,高亜鉛血症が示唆された.
  • 中瀬古 裕乃, 玉田 康彦, 松本 義也, 原 一夫
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 6 号 p. 961-964
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    再発を繰り返す線状病変部をともなった67歳男性について報告した.過去数年間にわたり,左下腿に丘疹および小水疱が認められ,組織学的には炎症細胞浸潤をともなった表皮の棘融解像が認められていた.診断としてはBlaschko線に線状に一致したtransient acantholytic dermatosis(TAD)と考えられた.TADの報告例のなかでHerpes zoster様の広い帯状の皮疹配列を呈した症例の報告は今までに2例あったが,自験例のような線状を呈した症例の報告例はなく,稀な症例と考え,若干の文献的考察を加え報告した.
  • 池田 俊也, 田村 誠, 八巻 心太郎, 中川 秀己
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 6 号 p. 965-970
    発行日: 2001/05/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎は,治療に長期間を要することが多く,社会生活に対して種々の制限を生じている.したがって,アトピー性皮膚炎に対する新治療法の患者に及ぼす影響は,経済的な観点からも極めて大きいものと考えられる.そこで今回は,新規治療薬タクロリムス軟膏のアトピー性皮膚炎治療における医療経済学的効果として自発的支払い意思額の推計を行った.調査対象は住民基本台帳より無作為抽出した首都圏在住の成人男女1,000人とし,回収数は431人であった.今回の分析結果からは,顔面・頸部のアトピー性皮膚炎の治療に対するタクロリムス軟膏の使用に対し,標準的には1カ月あたり11,540ないし11,710円程度の医療費負担をする意思があるものと解釈することができた.この結果は,償還の可否といった医療政策上の判断に際して有益な情報になりうるものと考えられる.
学会抄録
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