アトピー性皮膚炎は,治療に長期間を要することが多く,社会生活に対して種々の制限を生じている.したがって,アトピー性皮膚炎に対する新治療法の患者に及ぼす影響は,経済的な観点からも極めて大きいものと考えられる.そこで今回は,新規治療薬タクロリムス軟膏のアトピー性皮膚炎治療における医療経済学的効果として自発的支払い意思額の推計を行った.調査対象は住民基本台帳より無作為抽出した首都圏在住の成人男女1,000人とし,回収数は431人であった.今回の分析結果からは,顔面・頸部のアトピー性皮膚炎の治療に対するタクロリムス軟膏の使用に対し,標準的には1カ月あたり11,540ないし11,710円程度の医療費負担をする意思があるものと解釈することができた.この結果は,償還の可否といった医療政策上の判断に際して有益な情報になりうるものと考えられる.
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