日本皮膚科学会雑誌
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106 巻, 7 号
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  • 田上 八朗
    1996 年 106 巻 7 号 p. 955-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    サイトカインとは,生体の細胞により産生,分泌され,細胞聞の情報の伝達を司りつつ,免疫応答,炎症,細胞増殖,分化,造血など,さまざまな生体の機構を制御しているペプチドや糖蛋白からなる情報伝達分子を総称するものである.その特徴として,異なった作用を発揮する多様化と,一方いくつかのサイトカインが同じ機能を示す重複性が挙げられる.現在まで多数,それぞれ異なった名前で報告されている.本論文では,基礎的研究分野に日頃なじみの少ない皮膚科臨床医を対象にサイトカインについての基礎的知見を説明する.まずは,皮膚の炎症免疫に関係するINF,TNF-α,GMCSF,IL-1,IL-2,IL-4,IL-5,IL-6,IL-7,IL-8,IL-10,IL-12,IL-13,TGF-αに的を絞り説明を加える.ついで,現在行われつつある皮膚科分野のサイトカイン療法について述べる.具体的には炎症性疾患のアトピー性皮膚炎に対するINF-γ療法,乾癬に対するTNF-α療法,また良性ならびに悪性の皮膚腫瘍に対するINFを中心とした治療報告に触れ,現在の状況ではこの治療法は夢の薬とはいえず,単にサイトカインの量を上げ下げするだけで臨床効果が期待できるような単純な疾患はむしろ少なく,今後は個々の疾患の性状と患者の状況を正確に把握し解析した上で,より細心なアプローチをとることが期待される点を述べる.最後にサイトカイン療法中に生じた皮膚病変の発症,たとえばインターフェロン療法中の乾癬,扁平苔癬,骨髄抑制に対し用いられるGCSF,GMCSFの投与中に多発性の毛嚢炎,中毒疹様の皮疹,Sweet症候群など皮疹発生や増悪の報告について説明する.
  • 中島 美知子, 川並 汪一
    1996 年 106 巻 7 号 p. 965-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    表皮基底細胞ではサイトケラチン(CK)14に相当する中間径フィラメント(IF)がヘミデスモゾーム(HD)に集まり基底膜に付着する.基底膜にはⅦ型コラーゲン(Ⅶ)を主成分とするアンカリングファイブリル(AF)が付着し表皮―真皮結合を堅固にすることが知られている、この皮膚における特徴を対照に気道肺胞系上皮細胞における各種サイトケラチン(CK)10,13,14,17,19やⅦ型コう-ゲンの発現とその分布を免疫組織学的に検索した。その結果,気道肺胞系ではCK10,13の発現を見なかった.気道円柱上皮細胞,基底細胞,腺上皮細胞はCK19に反応した.また全ての基底細胞,導管上皮細胞,筋上皮細胞はCK17に陽性でこれらの細胞の基底膜に沿ってⅦ型コラーゲンが分布した.このコラーゲンの存在は終末細気管支まで確認できた.肺胞系上皮細胞は,今回検討した抗体のうちCK19にのみ反応した.また肺胞壁にⅦ型コラーゲンの反応を見いだすことは出来なかった.気道腺導管部の基底細胞とそれに連続する表層性基底細胞は孤立性で不規則にCK14に反応し,かつこれらの細胞は明瞭なHD-AFを形成する一群に相当した.残りの末梢までの基底細胞は全てCK14陰性でAFの発達に乏しい特徴を示した.特にAFの発達程度は多彩であり終末領域ではほぼ完全に欠如した。Ⅶ型コラーゲンの出現にもかかわらずAFを認め難い事実の意義について検討した
  • 玉田 康彦, 大河内 康行, 池谷 敏彦, 米田 雅彦, 木全 弘治
    1996 年 106 巻 7 号 p. 975-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    66歳,男性のScleromyxoedemaを報告し,病変部皮膚より線維芽細胞を培養してヒアルロン酸産生量を検討した.病変は顔面,頸部,背部,四肢伸側の硬化局面に光沢ある丘疹、小結節が集簇し,組織化学的に真皮にヒアルロン酸を主としたムチンの沈着を認めた.患者はparaproteinemiaを合併しているが,血清抗ヒアルロニダーゼ活性は正常であった.継代3代目の線維芽細胞の培養上清中のヒアルロン酸量をチオバルビツール酸の発色反応にて測定したところ,正常コントロールに比べ増殖した細胞数はほぼ同じであったが,ヒアルロン酸の産生量は約4倍に増加していた.本症では線維芽細胞自体にヒアルロン酸の産生および分解の制御機構の異常があるのではないかと考えた.
  • 村田 洋三, 熊野 公子, 荒木 典子, 中村 透子, 藤原 貴史
    1996 年 106 巻 7 号 p. 979-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    水疱性類天疱瘡18例にminocyclineおよびnicotinamide投与を行い,9例に有効性を認めた.無効例との比較から,重症例に比し中等症例により有効であり,minocycline単独投与よりもminocyclineとnicotinamideの併用がより有効であった.重篤な副作用は見られなかった。水疱性類天疱瘡は高齢者に好発し,合併症の既往も多く,副腎皮質ステロイド剤の全身投与には種々の副作用が予想される.水疱性類天疱瘡においてminocyclineおよびnicotinamide療法ははじめに試みてよい治療法と思われる.
  • 大砂 博之, 村上 麻里, 佐々木 哲雄, 中嶋 弘
    1996 年 106 巻 7 号 p. 985-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    Persistent actinic epidermolytic hyperkeratosis(PAEH;Suzuki,1995)の61歳男性例を報告した.7月の日中、裸で5日間野球観戦をした.数ヵ月後に皮疹を自覚し,半年後の初診時,上背部に多数の脱色素斑と色素斑が混在する臨床像を呈した.病理組織学的にepidermolytic hyperkeratosisの像を呈する部分と,表皮突起の延長を呈する部分が交互に認められた.後者は光線性花弁状色素斑に一致するものと思われた.PAEHと思われる例はdisseminated epidermolytic acanthomaとして過去に3例報告されているが,PAEHとしてはSuzukiらに続き2作目の報告と思われる.
  • 1996 年 106 巻 7 号 p. 991-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 1996 年 106 巻 7 号 p. 1044-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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