GPP患者の一部にIL36RN変異がみつかり,IL-36阻害療法が開発された.変異がないGPP患者でも炎症下で誘導されるIL36RNが少なかったことは,IL36RN機能不全がGPPに共通する病因と示唆し,IL36RN変異がない患者へのIL-36阻害の有効性を説明する.HLA-class II相関とGPP患者のCD4+ T細胞抗原特異的活性化は,おそらく自己免疫を反映していた.IL-36シグナル活性化による自己炎症は,CD4+ T細胞自己免疫反応を促進した.HLA-class I相関とCD8+ T細胞による自己免疫反応は尋常性乾癬とGPPとで共通していた.GPPと乾癬の研究が両疾患の根治療法開発につながると期待される.
汎発性膿疱性乾癬は妊娠を契機に発症,重症化することが知られているが,女性において重要なライフイベントである妊娠の継続と維持にはその病勢のコントロールが非常に重要である.妊娠中に使用できる膿疱性乾癬に対する全身療法はプレドニゾロン,シクロスポリンの内服,生物学的製剤及び顆粒球単球吸着療法などがあげられるが,その使用の際には母体と胎児,双方に対するリスクとベネフィットを十分に考慮して個々の患者にとって最善の治療法を選択することが必要である.
私たちは,炎症性角化症の中で自然免疫に関与した遺伝学的発症因子を有し自己炎症性の発症メカニズムを持つ疾患群を,自己炎症性角化症という概念でとらえることを提唱した.本稿では,無菌性炎症として多彩な臨床像を呈する自己炎症性角化症の中から,近年報告された遺伝型を有する汎発性膿疱性乾癬の臨床的特徴を概説する.また,最近私たちが報告したJAK1遺伝子の機能獲得型バリアントによる自己炎症性角化症についても紹介する.
1例目は75歳男性,中咽頭癌に対し化学放射線療法歴あり.2例目は51歳女性,右乳癌に対し化学放射線療法などの治療歴あり.3例目は66歳女性,右乳癌に対し化学療法歴あり.全症例で全身に紅色小結節が多発し,いずれも生検で汗孔腫の診断となった.poromatosisは汗孔腫が多発する原因不明の病態で,過去に腫瘍細胞においてYAP1-MAML2融合遺伝子が検出されたことが報告されており,自験例でも検出された.発症機序としてDNA修復機構の関与が推測され,自験例について若干の文献的考察を加えて報告する.