日本皮膚科学会雑誌
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120 巻, 7 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第62回 内臓全身と皮膚症状
  • 今門 純久
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第62回 内臓全身と皮膚症状
    2010 年 120 巻 7 号 p. 1461-1464
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    神経疾患と皮膚との関係について,1)母斑症,2)神経疾患による皮膚病変,3)神経症状と皮膚症状の両方を持つ疾患,の3つに分けて概説した.母斑症は,母斑あるいは母斑様病変を主体とする先天性疾患であり,神経線維腫症1型,神経線維腫症2型,結節性硬化症,基底細胞母斑症候群などの疾患が代表的である.神経疾患による皮膚病変の代表として褥瘡を取り上げた.日本褥瘡学会の局所治療ガイドラインが有用である.
  • 金子 健彦
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第62回 内臓全身と皮膚症状
    2010 年 120 巻 7 号 p. 1465-1471
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    消化器疾患ないし肝機能異常に伴う皮膚病変を概説した.炎症性腸疾患のクローン病や潰瘍性大腸炎では,結節性紅斑,壊疽性膿皮症等の合併が知られる.遺伝性ポリポーシスであるPeutz-Jeghers症候群では色素斑を生じ,またGardner症候群では多発する表皮様嚢腫や,骨腫が早期診断上重要である.肝機能異常に伴う皮膚病変としては,黄疸,紙幣状皮膚,クモ状血管腫,手掌紅斑が認められる.その他,ウイルス性肝炎に伴う皮膚症状を挙げた.
原著
  • 安田 貴恵, 山下 理絵
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 7 号 p. 1473-1476
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    当科を受診した口唇静脈湖の患者28例のうち,米国キャンデラ社製ロングパルスダイレーザー(VbeamTM)を使用して17例に対しレーザー治療を行った.内訳は年齢40~74歳,性別は男性3例女性14例であった.1回から4回の照射(平均3.4回)で静脈湖は消失し,瘢痕や色素脱失などの副作用は認めなかった.レーザー照射後2~3日軽度腫脹するのみで,3日後からは口紅が使用可能であり,ダウンタイムが短く,整容的な面でも満足が高かった.レーザー治療を選んだ患者は女性が圧倒的に多いため,治療目的は整容的,外見的な要素が強いと考えられる.レーザー機種の選択,および使用方法に関して散見される文献とともに,考察を述べる.
  • 四津 里英, 三井 純雪, 林 理華, 原田 晴美, 衛藤 光
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 7 号 p. 1477-1482
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    背景:糖尿病性足潰瘍は,糖尿病患者のQOLを左右する重要な合併症の一つであり,悪化時には足切断という結末を迎える患者も少なくない.本研究は,足切断に至る患者のリスク因子を統計学的に解析し,その予防策を検討することにより,足切断患者の減少を図ることを目的とする.方法:2000年から2007年までの7年間に聖路加国際病院皮膚科を受診した足潰瘍患者60名(男49名,女11名)について,retrospective cohort studyの研究デザインにて検討を行った.結果:足切断群・非足切断群共に長期に糖尿病に罹患しており,合併症の頻度も高かった.特に足切断群は,心筋梗塞の既往,透析導入者が有意に多かった(p=0.02,p=0.05).HbA1c値は両群共に高値を示したが,改善を認めた者で足切断を回避できる傾向にあった.また,潰瘍発症時の血清アルブミン及びヘモグロビン値は両群ともに低いが,非切断群は2カ月後の値は上昇しており,栄養面の改善が足切断の回避につながると考えられた.また,骨髄炎への波及,皮膚科を定期的に通院し加療を受けることが切断の予後に影響した.考案:糖尿病性足潰瘍患者の足切断の予防として,①足潰瘍発生後の糖尿病の病勢のコントロール,②低アルブミン血症・貧血の改善,③反復する細菌感染症の予防と治療,④透析患者および心筋梗塞の既往のある患者での定期的検診,⑤皮膚科通院による適切な評価(血流・神経障害等)及び潰瘍治療が重要であると考えた.
  • 鈴木 利宏, 羽毛田 記子, 角尾 進悟, 藤村 努, 北原 隆, 山崎 雙次, 籏持 淳
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 7 号 p. 1483-1490
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    皮膚性状の加齢変化や性差の発現にはエストロゲンが関与していると考えられる.エストロゲン合成の律速酵素であるアロマターゼは皮膚にも発現し,局所でのエストロゲン量調節に関わっている.しかし,これまでに皮膚のアロマターゼの加齢変化や性差について詳細に調べられた例はない.ここでは,皮膚より採取した培養線維芽細胞のアロマターゼ活性を測定し,年齢や性別との相関を検討した.皮膚は,2歳から92歳までの79名の患者より単離したものを用いた.その結果,性別間の活性の平均値には顕著な差異が認められなかった.また,年齢相関については,30歳以降,年齢とともに高くなる結果となった.そこでin vitro老化によるアロマターゼ活性の変動を3つの線維芽細胞株を用いて検討したところ,3株全てで継代を重ねることで有意に活性が増加し,これと同様の結果となった.また,性別ごとに年齢相関を検討すると,30歳以上の女性由来の細胞では有意であった.これは女性では血中エストロゲン量が30歳前後でピークを迎え,その後低下することと逆の関係にあり,皮膚では,中枢からの供給とのバランスをとるため,末梢で産生が調節されている可能性が考えられた.また,興味深いことに,細胞を露光部由来のものと非露光部由来のもので比較すると,この年齢相関が非露光部由来のもののみで認められた.すなわち,紫外線による光老化が年齢相関を失わせている可能性も考えられた.
  • 小川 麻子, 吉崎 歩, 室井 栄治, 小川 文秀, 佐藤 伸一
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 7 号 p. 1491-1495
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)の経過中にwatermelon stomachをきたした2例を経験した.症例1:68歳男性,SScの発症5カ月後より全身倦怠感を自覚し,Hb 7.1 g/dlと貧血があった.症例2:75歳女性,SScの発症8年後,Hb 5.0 g/dlと貧血を認めた.両症例とも,上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に放射状に走行する毛細血管拡張像を認めた.これはスイカの表面模様に似ていることからwatermelon stomachと称される.毛細血管拡張部に対し,アルゴンプラズマ凝固を行い止血し,次第に貧血は改善した.Watermelon stomachは消化管出血の原因病態の1つであるが,稀な疾患とされており,認知度も低い.SScはwatermelon stomachの合併頻度が高い疾患の1つと言われている.従ってSSc患者で原因不明の貧血を認めた場合,watermelon stomachからの出血も念頭に置き,内視鏡検査を施行するべきであると考えられた.
学会抄録
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