日本皮膚科学会雑誌
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92 巻, 14 号
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  • 山口 康則
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1437-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    Phytohemagglutinin (PHA)皮内反応の臨床的意義を明らかにするため,これを各種皮膚疾患332例及び健康人68例,計400例に施行した成績を基にして,本反応の疾患群別及び年齢層別の検討,本反応と PPD 皮内反応,リンパ球幼若化率,末梢血T細胞数との相関性及び PHA 皮内反応部の組織学的検索を併せ行い,以下の結果を得た. 1) PHA 皮内反応は PPD 皮内反応と正相関を示し,解離例は14.8%にみられた.2)各年齢層間に反応の有意差はみられなかった.3)疾患群別にも有意差はみられなかったが第 II 群(自己免疫性疾患・膠原病)中,全身性紅斑性狼瘡及び皮膚筋炎で PHA 皮内反応が低下する傾向を示した.4)リンパ球幼若化率に関して,PHA皮内反応の陽性群は偽陽性群及び陰性群との間に有意差を示さなかった.5) T細胞数は紅斑径と正相関を示し,また陽性群では偽陽性群及び陰性群よりも有意の高値を示した.6)組織学的検索では,リンパ球及び大型単核球を主体とし好中球及び好酸球を混ずる細胞浸潤が血管周囲性に認められた. 以上から,PHA 皮内反応は主として細胞性免疫能を反映するものであり,そのパラメーターとして有用であると考えられた.
  • 石橋 康正, 梶原 洋一, 井上 由紀子, 久木田 淳
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1447-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    Hailey-Hailey 病(HHD) 及び Darier 病(DD)における acantholysis の本態を解明する目的で,両疾患皮膚組織を体外培養し,解離性に遊出する表皮細胞(OEC)が,正常のそれに如何なる影響を及ぼすかを検索した. 1)培養初期では,両疾患 OEC の解離性は特に正常のそれに影響を与えるとは思われなかった. 2)しかし或る経過の後には,前者は正常のそれに解離性影響を与え,それは培養液を新鮮なものと取り替えることにより阻止され,またその液の減少により再び出現せしめられた. 3)細胞解離を起こした培養液を取り,やや希釈して正常 OEC に加えると,後者は明瞭な解離性を示した. 4)上記培養液による解離阻止効果は,血清を含まない Eagle MEM が最も顕著で,血清を含有する場合は. FCS, HHD 患者血清及び正常人血清の間に殆んど差を認めなかった.
  • 斎田 俊明, 土屋 真一
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1465-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    多発性の trichilemmal cyst(TC)に malignantproliferating trichilemmal cyst (malig. PTC)の合併した症例を電顕的に検索した.また正常人頭毛の外毛根鞘と通常の epidermal cyst(EC)についても電顕的検索を実施し,これらの所見を比較検討した. TC の壁細胞は,細胞間の結合がやや緩く,表面に短絨毛状突起がみられ,細胞内にはグリコーゲン 顆粒,脂肪滴が認められた.角化移行部では少数の小型滴状の keratohyalin 顆粒が見出され,角化部では細胞は扁平に重層し,大小の空胞や脂肪滴が観察された.また壁細胞間に,明調な melanocyte 様細胞がごく少数だが見出された.これらの所見を,正常人頭毛の生長期外毛根鞘峡部と退行期梶毛を囲む trichilemmal sac の電頭所見と比較検討したところ,TCは電顕的には生長期外毛根鞘峡部により近似しているものと考えられた. malig. PTC では,核の形状がより不規則で異型性が強く,細胞内に dyskeratosis を示す tonofibril の凝集塊がみられるなどの異常が認められたが,基本的には TC ときわめて類似する電顕所見を呈しているものと判断された. EC の壁細胞は,最外層部の細胞からすでに tonofilament の発達がよく, fibril の形成が顕著であった.しかしグリコーゲン 顆粒や脂肪滴は認められなかった.角化移行部には大小不規則形の keratohyalin 顆粒が存在していた.また壁の基底層部には,しばしば melanocyte が認められ,その胞体内や樹枝状突起内にはタラニソ化の進んだ多数のmelanosomeが存在していた.また壁細胞内に melanosome が見出された.これらより,EC は電顕的にも TC とは異なる所見を示すもので,外毛根鞘よりも被覆表皮に近似する所見と考えられた.
  • 犬山 克巳, 木村 俊次, 中村 絹代
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1477-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    Trichilemmal keratinization (以下 TK と略す)様角化を伴う皮角すなわち trichilemmal horn(以下 TH と略す)の11例を報告した.病理組織学的に,これらは1ないし数個の U 字型ないし V 字型を呈する上皮増殖とその上部の著しい角質増生とを特徴とする基本構築を有する.より詳細にみると TK 様角化は tri・chilemmal cyst の壁構造とほぼ同様の I 型,より平坦で錯角化の著しい II 型,V 字型の角質柱の下方にのみみられ,かなり多数のケラトヒアリン穎粒を有する III 型の3つの型に分類可能であった.このうち III 型はウイルス性尭贅における TK 様角化に類似していた.また今回の11例中3例は手掌,指腹に認められたことから,外毛根鞘と関連しない TK 様角化すなわちpseudo TK という概念を提唱した.
  • 飯田 利博, 中川 滋木, 鈴木 啓之, 森岡 貞雄
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1485-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    新生 ddY 系マウスに Ultraviolet B(UVB) 照射を行い,核酸代謝に関連する de novo 系の酵素の変化を経時的に調べた. Amidophosphoribosyl transferase の活性には大きな変動はみられなかった.また UVB 照射後,高遠液体クロマトグラフィーでは GMP(Guanosine monophosphate) の増加と Xanthine の著明な低下がみられ, Salvage 系の増加が示唆されて,既報の結果を実証したl)-3)さらに核酸代謝に引き続くタンパク質合成について調べると,アミノ酸の取り込み実験からアミノ酸代謝にも変化が生じていることが推測された.
  • 田中 洋子, 風間 敏英, 河住 久, 伊藤 正吾, 杉崎 徹三
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1491-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    エリテマトーデス(以下LE)患者の皮膚において,表皮真皮接合部 dermal -epidermal junction (以下DEj)の Immune complexes (以下IC)の免疫学的沈着機序と構成成分について検索する目的で,以下のような実験を施行した. 1)全身性エリテマトーデス(以下 SLE) 8例,慢性円板状エリテマトーデス(以下DLE)2例及び対照とした水疱性類天疱瘡(以下BP)1例で, DEj に lgG 沈着のみられた症例の凍結切片に,種々の物質(ヒトCohn fraction II(以下Cohn F II)(無処置,熱変性),家兎 Cohn F II (無処置),ヒト IgG (熱変性), DNA,PBS)を滴下し,洗浄を繰り返し, DEj に沈着した IgG の溶出を試みた. 2)その結果, SLE 及び DLE では,ヒト Cohn F II, ヒト lgG によってのみ lgG の溶出がみられ,他の物質では lgG の溶出はみられなかった.またヒト Cohn FII では熱変性の方が,より稀釈した濃度で lgG の溶出がみられた.一方,対照とした BP では,全ての物質により DEj における lgG の溶出はみられなかった. 3)次に,ヒト lgG の各 component の滴下を試みた.その結果, F(ab)2fragment では lgG の溶出がみられず, Fc fragment でlgGの溶出がみられた1以上の所見より,SLE 及び DLE において, DEjに沈着しているICの構成成分は,ヒトIgG(特に変性IgG)の滴下により抗原過剰となり溶出すると考えられ,変性 lgG・IgRGF の関与が示唆された.
  • 岩月 啓氏, 田上 八朗, 山田 瑞穂
    1982 年 92 巻 14 号 p. 1503-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    抗基底膜部抗体と補体の存在下で,皮膚基底層に好中球のみならず,好酸球も固着することとを実験的に示した.この現象は基底膜部に結合した補体成分と好酸球の持つ補体レセプターによる反応が主体であった,実際に,類天疱瘡患者の初期病変部では基底層に白血球が接着している像が認められることがあり,生体内でも類似の反応が起きていると考えられ,本症の病態を知る上で示唆に富んだ現象であると思われる. 基底層へ固着する好酸球の比率は,白血球浮遊液中の好酸球の比率に依存しており,好酸球の固着が選択的に起きるわけではなかった.病変部の水庖内に認められる好酸球の浸潤には免疫グロブリンおよび補体由来の遊走因子以外の因子が必要であろりと推測した.
  • 1982 年 92 巻 14 号 p. 1511-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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