日本皮膚科学会雑誌
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103 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤田 優, 宇津木 浩一, 岡本 昭二, 白井 厚治, 斉藤 康, 吉田 尚
    1993 年 103 巻 9 号 p. 1157-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    眼瞼黄色腫91例の血清cholesterol, triglyceride, HDL-cholesterol,各種apolipoproteinにつき,検査し次の結果を得た.1)血清cholesterol値は年齢のマッチした他皮膚疾患群,住民検診群より有意に高値を示し,HDL-cholesterol値は低値を示す.各種apolipoproteinではアポBで他皮膚疾患群および正常健康人群より有意に高値を示した.しかしアポAIでは他皮膚疾患群に対しては有意に低値を示したが,正常健康人群とは有意差を認めなかった.また症例の大多数(41%)はcholesterol値が220mg/dlから260mg/dlの範囲にあった.2)眼瞼黄色腫の症例において,血清cholesterol値とアポ蛋白の関係は,アポBに高い相関を認め,HDL-cholesterolとは負の相関を認めたものの,アポAとは相関を認めなかった.3)眼瞼黄色腫を血清cholesterol値により亜群に分け検討した.a)正cholesterol群(220mg/dl未満)では,正常健康人群と比較してHDL-cholesterolの低下とアポBの上昇,他皮膚疾患群と比較してHDL-cholesterol,アポAの低下を認めた.また軽度高cholesterol群(220mg/dl以上260mg/dl未満)では他皮膚疾患群と比較してアポBの上昇,アポAの低下を認めた,正常健康人群との比較では,アポBの上昇を認め,アポAもむしろ高値を示した.b)高cholesterol群(260mg/dl以上)では家族性高コレステロール血症と診断された群とそれ以外の群に分け検討したが,家族性高コレステロール血症群は非家族性高コレステロール群に比べ,アポBの有意な上昇を認めたが,それ以外のアポ蛋白,HDL-cholesterolには有意差をみつけられなかった.以上の結果から,眼瞼黄色腫全体としてその根底に脂質代謝異常が存在し,コレステロールの上昇とそれに伴うアポBの増加を主体とするが,コレステロール値が正常な症例ほどアポA,HDL-cholesterolの低下が強調されることを示した.
  • 冨樫 きょう子
    1993 年 103 巻 9 号 p. 1165-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    角層の保水機能と皮表および角質細胞間脂質の加齢による変化を明らかにするために,20歳代の男性17例(若齢群)と60歳代の男性10例(高齢群)の下腿伸側を被験部位とし,高周波伝導度測定装置による角層のconductance valueの測定と水分負荷試験を行った.さらに同部位よりカップ法を用いて皮表および角質細胞間脂質を採取し,high-performance thin-layer chromatographyにより脂質の組成を分析した.角層のconductance valueは水分負荷の前後ですべて高齢群が若齢群に比べて低値であった.単位面積あたりの皮表および角質細胞間脂質の総重量は高齢群と若齢群の間に統計的に有意な差を認めなかったか,高齢群は若齢群に比べて皮脂由来の脂質の重量が少なく,表皮由来の脂質(角質細胞間脂質)の重量が多い傾向にあった.セラミドの総重量では高齢群と若齢群に明らかな差はなかったが,セラミド分画では高齢群は若齢群に比べてセラミド1の割合が少なく,セミラミド4/5の割合が多かった.それぞれの群において,水分負荷前の角層水分量と皮表および角質細胞間脂質の関係を検討した結果,角層水分量は脂質の総重量や皮脂量,角質細胞間脂質量,各々の脂質分画の重量とは相関しなかった.しかし,角層水分量は若齢群と高齢群を合わせるとセラミド分画のうちセラミド1の割合と正の相関を,セラミド4/5の割合と負の相関を示した.これらの成績から,セラミドの組成が角層の保水機能に重要な役割を果たすことが示唆された.高齢者の保水機能の低下はセラミドの組成の変化によるものであり,皮脂量の低下とは直接関係しないと推察された.
  • 清島 真理子, 市橋 直樹, 柳原 誠, 森 俊二, 高橋 健, 武藤 泰敏
    1993 年 103 巻 9 号 p. 1171-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    62歳男性のHIV感染患者に生じたpruritic papular eruption(PPE)よりの生検組織標本について組織学的検討を行った.ヘマトキシリン・エオジン染色において,真皮上~中層にリンパ球,類上皮細胞,異物型巨細胞および好酸球から成る細胞浸潤がみられ,巨細胞肉芽腫の像を呈した.また毛包周囲にも同様の細胞浸潤があり,表皮内にリンパ球の走入も認められた,エラスチカ・ワソギーソン染色およびオルセイン染色において多核巨細胞内に弾性線維の一部が認められた.さらに免疫組織学的検討により,真皮にみられる浸潤細胞の中でリンパ球と考えられる小型の細胞はCD45陽性,CD45RO,CD3,MT1,CD20,CD68,ミエロペルオキシダーゼ陰性であり,一方組織球あるいは類上皮細胞と考えられる大型の細胞および多核巨細胞ではCD45は弱陽性~陰性であり,他のマーカーは陰性を示した.以上の所見より,(1)PPEの組織像において,組織球―マクロファージ系の細胞は弾性線維を貪食していること,(2)PPEにみられる浸潤細胞については,リンパ球では表面マーカーの発現において,また組織球系の細胞では表面マーカーおよびミエロペルオキシダーゼの発現において変化のあることがわかり,これらがPPE形成機序に関与していることが示唆された.
  • 堀尾 武
    1993 年 103 巻 9 号 p. 1179-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    Amoxicillinによる多形紅斑型の薬疹が,薬剤内服前に生じたsunburn消退後のsuntan皮膚にほぼ限局して発症し,あたかも光線過敏症を思わせる皮疹の分布を呈した.しかし,薬剤摂取後は,日光に曝露されていない部位であり,真の光線過敏とは異なる反応である.かかる現象はきわめてまれなものでphoto recall現象と呼ばれる.放射線皮膚炎あるいは日光皮膚炎様症状が抗腫瘍剤投与後に生じるrecall現象と比較しつつ記載した.報告例が少なく発症機序は不明であるが,接着分子の発現に対する紫外線の影響も想定される.
  • 近藤 早苗, 森 理, 笹井 陽一郎
    1993 年 103 巻 9 号 p. 1183-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    75歳男子.慢性関節リウマチ,気管支拡張症,肝硬変,慢性膵炎の合併があり,最近,肺結核にも罹患し加療を受けた.長期の飲酒歴あり.脱毛,爪甲の肥厚・変形,口角炎,舌の萎縮と味覚障害,四肢,臀部,項部の紅斑落屑局面を形成し,血清亜鉛値の低下を認めた.治療として,硫酸亜鉛の内服を行ったが効果無く,静注により臨床症状の著明な改善を見た.経口亜鉛負荷試験を施行したところ,硫酸亜鉛負荷後の血中,尿中の亜鉛値の上昇を認めず,亜鉛ジピコリネート負荷後に著明な上昇を見た.亜鉛ジピコリネートを再発予防に経口投与して有効であった.本例を慢性膵炎,肝硬変に伴っておこる,吸収不全にもとづく亜鉛欠乏症と考えた.
  • 菅谷 和江, 鈴木 裕介, 衛藤 光, 西山 茂夫, 新井 春枝, 高橋 裕一郎, 森 隆司
    1993 年 103 巻 9 号 p. 1189-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    52歳,女性.4年前より下腿に有痛性の硬結を生じた.慢性腎不全で週3回の透析を約10年受けており,糖尿病,心不全,肝機能障害を合併している.紫褐色の有痛性硬結が下腿に散在し,皮膚組織検査にて,車軸状構造の針状結晶を真皮中層から下層に多数認めた.結晶周囲に巨細胞を認めるが,リンパ球,形質細胞,好酸球の浸潤は少なかった.コッサ染色陰性,蓚酸カルシウム染色で陽性で,蓚酸カルシウム沈着症と考えられた.X線回折解析でも蓚酸カルシウム一水和物と判明した.腎不全による透析が長期化すると高頻度に蓚酸カルシウムの沈着か腎・心を中心に発生するが,皮膚への沈着は稀である.長期透析患者の増加とともにこのような皮膚症状の増加が予想される.
  • 1993 年 103 巻 9 号 p. 1197-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
  • 1993 年 103 巻 9 号 p. 1262-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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