乾癬と化膿性汗腺炎はともに炎症を伴う皮膚疾患であり,長期にわたり患者の生活の質を障害する.病態生理の解明に伴い特異的に炎症性サイトカインを阻害する抗体製剤が治療薬として選択できるようになった.乾癬では10種類,化膿性汗腺炎はアダリムマブのみが保険適用となっている.いずれの薬剤も効果が高いが,患者の経済的負担も大きいので,生活の質への影響を考えて使用を検討する必要がある.
近年,いろいろな疾患の病態形成メカニズムが,これまでに比べて,より詳細に解明されてきており,それはアトピー性皮膚炎においてもそうである.治療薬物の開発も,解明されてきたメカニズムを基盤として,より疾患特異的な経路を念頭においたものとなっており,今後もその傾向は進んでいくであろう.
アトピー性皮膚炎の薬物治療は,長年,ステロイド外用剤を中心とする外用療法が主体となってきた.外用療法の重要性はこれからも維持されるだろうと考えられるが,2018年,アトピー性皮膚炎治療薬における初の生物学的製剤である,デュピルマブが登場することとなり,以降,複数の新規治療薬物が登場してくると考えられる.
これから出てくる予定の新規生物学的製剤についての解説は他にゆずり,本稿においては,現在(2020年6月)使用されている生物学製剤であるデュピルマブに焦点をあてて,Th2型免疫反応亢進を是正することによるアトピー性皮膚炎の治療について主に述べることとする.
皮膚症状のある好酸球性多発血管炎性肉芽腫症患者17例の皮膚症状,臨床症状,治療経過,病理組織を後ろ向きに検討した.触知性紫斑,紫紅色斑,浮腫性紅斑,水疱,血疱,紅色丘疹では真皮に白血球破砕性血管炎を認めた.皮下硬結,皮下結節では4/5カ所で真皮脂肪織境界部,脂肪織に動脈炎がみられ,全例ANCA陽性であった.リベドでは真皮脂肪織境界部の動脈炎がみられた.治療はステロイド全身投与のほか,免疫抑制薬,IVIG,メポリズマブが併用され,メポリズマブを継続したうち5例でステロイド中止後も寛解が維持された.
本邦におけるサルコイドーシスの皮膚病変の分類では,特異疹,非特異疹とは別に瘢痕浸潤が記載されてきた.これに対し海外では,瘢痕浸潤という考え方を独立させずに,サルコイドーシス患者の陳旧性瘢痕が隆起してきたものはscar sarcoidosisとして特異疹に含めている.本稿では,これまでの考え方を振り返り,瘢痕浸潤はscar sarcoidosisと同一と考えてよく,本邦においても従来の瘢痕浸潤は特異疹と別扱いせず特異疹の一つのタイプに含めるという考え方を紹介し,いくつかの問題点についても言及した.