日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
101 巻, 10 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 中島 澄乃, 森岡 眞治
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1101-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    培養表皮細胞を用いた創傷治癒モデル系を用いて,表皮細胞の遊走にたいするplasminogen activator(PA),plasminなどのプロテアーゼおよび各種細胞成長因子の影響について比較検討した.まず実験モデルにplasminの前駆体(proenzyme)であるplasminogen,あるいはplasminogenをplasminに転換するプロテアーゼであるPA(urokinase type)を添加培養すると表皮細胞の遊走は促進され,抗urokinase抗体を添加すると表皮細胞の遊走は抑制された.一方,TGF-α,TGF-β,IGF-I,bFGF,EGFなどの各種細胞成長因子を各種濃度にて添加培養したところ,TGF-αまたは,EGFを10ng/ml添加した場合においてのみ,表皮細胞の遊走は著明に促進された.以上より,表皮細胞の遊走にはPA/plasmin系プロテアーゼが促進的に働いており,また細胞成長因子のなかではEGF,TGF-αが遊走能促進因子として重要であることが明らかとなった.
  • 小川 忠丈, 四宮 達郎, 勝岡 憲生, 西山 茂夫
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1109-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    3種のビタミンD3類,ビタミンD3(VD),25-ヒドロキシビタミンD3(25VD),1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1α,25VD)が,メラニン生成と角化に及ぼす影響を調べる為に,in vivo実験として茶系モルモットに試料を連続塗布した.in vitro実験として,B16メラノーマ細胞の培養系に試料を添加した.メラニン生成の指標として,試料を連続塗布した動物の皮膚色,被毛色,被毛中メラニン量,皮膚組織中メラニン量,DOPA陽性細胞数を測定した.また,培養B16メラノーマ細胞への14C-DOPAの取り込み量を測定した.角化の指標として,動物の剥離角質細胞数を調べた.結果,メラニン生成に関し,1α,25VD塗布動物群において,皮膚色明度の低下,組織中メラニン量の増加,DOPA陽性細胞の増加が顕著であった.培養細胞に添加した場合に,DOPAの取り込みも促進され,1α,25VDは明らかにメラニン合成を促進した.25VD塗布動物群においては,皮膚色明度の低下,組織中メラニン量の増加,DOPA陽性細胞の増加の程度は弱く,25VDのメラニン生成促進作用は,1α,25VDよりも弱かった.VD塗布群においては,上記変化が無く,メラニン生成に対して影響が無いと考えられた.角化に関し,1α,25VD塗布動物群において,剥離角質細胞数の増加が顕著で,角化促進作用が認められた.25VD塗布動物群においては,その程度が弱く,VD塗布群では変化が事実上無かった.本実験に使用した茶系モルモットのメラニン生成と角化に対して,1α,25VDは25VDよりも明らかに促進作用が強かった.VDはメラニン生成と角化に対して,促進作用が無いと考えられた.
  • 影下 登志郎, 山田 雅信, 木村 達, 平井 俊二, 吉井 章, 荒尾 龍喜, 江口 弘晃, 堀越 貴志
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1119-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    培養ヒトメラノーマ細胞表面上のIntercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)の発現に及ぼすIFNおよびTNFの影響をモノクローナル抗体を用いた間接結合試験で検討した.IFN-α,-β,-γおよびTNFはICAM-1の発現を30~200%増強した.その増強の程度はcell lineの種類によって異なるものの,IFN-γが最もその作用が強かった.培養液中の遊離ICAM-1の検出を2種類の抗ICAM-1モノクローナル抗体を用いたdouble determinant immunoassay(DDIA)で検討した.培養液中のICAM-1はIFNおよびTNFによって増加し,それは細胞表面上のICAM-1増強率よりもはるかに高く,最高で数十倍に上がった.IFN-γはその作用が最も強く,TNFとの併用で30倍に上昇した.このように大量のICAM-1が培養メラノーマ細胞から遊離する我々の実験結果は,in vivoでのICAM-1発現と患者の予後との関連を考える上で,きわめて重要であると思われる.
  • 豊島 弘行, 堀 真, 吉田 彦太郎
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1125-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    老年者及び若年者より生検して得た頬部皮膚を用いて,露出部表皮の老化による形態学的変化を電顕的に検討した.その結果,主として老年者頬部皮膚の表皮細胞質内に空胞形成,ラインゾーム様構造物,glycogen顆粒様物質,表皮細胞間の開大が見られれた.また,老年者の基底細胞のfoot like projectionは若年者のそれよりも有意に短かかった.これらの電顕的所見は,露出部表皮において,老化に伴って見られる特徴的な所見と考えられた.
  • 大畑 智, 川島 忠興, 山本 一哉
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1131-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    テープストリッピング法により採取した小児アトピー性皮膚炎患者の最外層の角質細胞の体表面側と裏面の両面を走査型電子顕微鏡で観察した.アトピー性皮膚炎の患者群では,健常者群に比べて体表面側のスポンジ状構造と裏面の微細絨毛様突起が著明であった.さらに患者群の中でも,これらの形態はいずれも苔癬化局面の方が毛孔性小丘疹よりも強度であり,臨床症状の重症度に相関した.患者群の無疹部での両面の形態は健常者群の角質細胞により近かった.一方,健常者群の角質細胞の体表面側は平滑であり,裏面には一部に弱い微細絨毛様突起と細いシワ状隆起が認められた.本方法は患者に苦痛を与えず,剥離角質細胞の体表面側と裏面の形態を同時に観察できる上,試料作製法も極めて簡便であり,電顕による表面形態観察に優れた方法であると思われる.本所見は,以前行った光顕での角層検査所見,特に有核細胞の出現の程度と一致するものであった.従って,本方法はアトピー性皮膚炎の臨床症状の経過観察や治療薬剤の有効性評価に応用可能と考えられる.
  • 盛岡 奈緒子, 土田 哲也, 上田 純嗣, 大路 昌孝, 飯島 正文, 紫芝 敬子, 小川 喜美子, 石橋 康正
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1139-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    当科SLE114例を漿膜炎,腎・中枢神経症状,溶血性貧血,血小板減少の有無によりⅠ群(軽症型),Ⅱ群(重症型)に分け,それぞれの臨床所見を比較した.Ⅰ群では口腔潰瘍,乾燥症状が生じやすい以外に特異的な点はなかったが,Ⅱ群ではlivedoなど血管炎,血行障害に基づく皮疹が出現しやすく,またperipheral patternの抗核抗体,Coombs testの陽性,CH50低下等の検査所見の出現率も高かった.また,ARA診断基準中の該当項目数,ステロイド使用状況を指標とした場合,Ⅱ群はⅠ群より重症度が高いと判定された.この結果,SLEⅡ群はSLEの疾患特異性,活動性に富んだgroupと考えられ,軽症型のⅠ群と切り離して1つのsubsetとすることが可能ではないかと思われた.
  • 盛岡 奈緒子, 土田 哲也, 上田 純嗣, 大路 昌孝, 飯島 正文, 紫芝 敬子, 小川 喜美子, 石橋 康正
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1149-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    男子全身性エリテマトーデス(SLE)22例の臨床所見を女子92例と比較検討した.皮疹としてはwidespread discoid lupus erythematosus,nodular cutaneous lupus mucinosis,検査所見では溶血性貧血,血小板減少,抗DNA抗体異常値,Coombs test陽性の所見が男子において女子より出現しやすく,またこれは男子SLE全体の特徴であるとともに男子Ⅱ群(重症型)の特徴でもあると思われた.男子Ⅰ群(軽症型)では筋症状の出現率が女子Ⅰ群より有意に高かった.一方,女子と比べ,出現しにくい症状,検査所見としてはLE profundus,凍瘡,livedo,血沈促進があり,総合的にみると血管炎,血行障害に関連した症状,所見は女子に比べて少ない傾向があった.
  • 村田 実, 水谷 仁, 清水 正之
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1157-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    昭和53年から昭和63年までの11年間に三重大学医学部附属病院にて長期観察しえた皮膚筋炎患者23例(男性5例,女性18例)を対象とし,予後決定因子の抽出を目的として,皮膚症状をはじめとする21項目の入院時所見と予後の関連を検討し次の結果を得た.23例中生存例11例,死亡例12例(52%),その死因は急性間質性肺炎8例,癌死4例であった.(1)性別で有意に男性の予後が悪いほか,(2)初発から入院までの期間1ヵ月以内,(3)嚥下困難,(4)皮膚の潰瘍病変の存在,(5)低及び高血清CPK値(CPK20IU/ml以下あるいは500IU/ml以上,正常値10IU/ml-80IU/ml),(6)肺レ線上の肺線維化の6項目が注目され,これらの因子について解析した.その結果これら6因子は予後不良を予測するためのマーカーとなりうるものと考えられた.
  • 近藤 靖児, 西岡 清, 佐藤 吉昭, 市橋 正光, 藤原 美定
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1163-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    わが国で確認された色素性乾皮症(以下XP)D群14症例について,その臨床的および光生物学的特徴をまとめた.その結果,D群XPは乳幼児期に比較的強い日光過敏症状を認めるが,その程度はA群に比して軽く,色素斑の出現も2歳頃と遅い.しかしE群と比較すると皮膚症状はより著明で,皮膚悪性腫瘍も14例中小児例を除く8例全例に認められた.最少紅斑量(MED)は中等度に低下し,紅斑反応のピークも照射後48時間から72時間と遅延する,神経症状は軽度または欠く例が多い,などがその臨床的・光生物学的特徴と考えられた.また細胞学的には,患者由来培養線維芽細胞を用いた検討から,不定期DNA合成(UDS)は23~45%,生残曲線ではn=1.0,Do=0.5~1.1J/m2とDNA修復能の低下と紫外線致死高感受性が認められた.
  • 夏秋 優, 森田 秀樹, 相模 成一郎
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1169-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    糸球体腎炎を伴った蚊刺過敏症の1例を報告した.患児は5歳頃より,蚊刺を受けた後,熱発するようになった.蚊刺部局所は水疱,血疱を形成した後に潰瘍化し,約1ヵ月の経過で瘢痕治癒していた.10歳頃より蚊刺後,腎糸球体の障害を伴うようになり,その発症機序としてⅢ型アレルギー反応の関与が強く示唆された.その後,蚊刺を受ける度に腎病変は増悪し,慢性腎炎の状態となり,12歳時,蚊刺の後に急速にDICを発症して死亡した.剖検所見もDICとして矛盾のないもので,蚊刺過敏症に伴うことが多いとされる悪性組織球症の所見は得られなかった.
  • 植木 理恵, 坪井 良治, 今井 龍介, 高森 建二, 小川 秀興
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1177-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    basic fibroblast growth factor(bFGF)は細胞成長因子の一つで,血管内皮細胞をはじめ,表皮細胞や線維芽細胞に対して増殖促進作用を有し,それらの細胞自身も産生しているとされる.その存在は下垂体をはじめとした各組織および腫瘍組織に広範囲に認められているものの,正常皮膚組織における局在については報告がない.そこで,正常マウス背部皮膚を用いて,bFGFの局在を蛍光抗体法により検討した.使用した抗体は,ヒト胎盤由来の遺伝子組み換え型bFGFに対するウサギポリクロナール抗体である.表皮では分裂能に有する基底細胞に一致して,抗体と強い反応性が認められた.真皮では,血管内皮細胞,線維芽細胞や汗腺,脂腺組織には反応性が認められなかった.一方,手包組織では分裂能を有する毛母細胞は陰性であったが,毛球部上部,外毛根鞘,毛球部直上の毛根部(keratogeneous zone)では陽性反応を示した.表皮と毛包組織におけるbFGFの局在型式の違いは,組織ごとにbFGFの発現の制御機構に多様性が存在することを示唆しているものと考えられた.
  • 杉田 泰之, 金井塚 生世, 石井 則久, 中嶋 弘
    1991 年 101 巻 10 号 p. 1183-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    Polymerase chain reaction(PCR)法を用いてらい患者の血液と組織かららい菌に特異的と思われるDNA断片を検出した.従来は臨床症状,組織滲出液などからの菌体の検出,病理組織像,レプロミン反応などによっていたらいの診断がPCR法を用いることによって病巣組織のみならず末梢血液からでも診断ができることが示唆された.
  • 1991 年 101 巻 10 号 p. 1187-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
feedback
Top