日本皮膚科学会雑誌
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119 巻, 14 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
皮膚科セミナリウム 第56回 色素異常症
  • 鈴木 民夫
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第56回 色素異常症
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3009-3014
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    先天性色素異常症は,メラニン合成に関わる遺伝子変異により発症する.その病態を分類すると,①メラノサイト分化・発生・遊走に関わる遺伝子の異常,②メラノサイトの生存に関わる遺伝子の異常,③メラノサイト内におけるメラニン合成に関わる遺伝子の異常,④メラノソームを含む複数の細胞内小器官合成・成熟・輸送に関わる遺伝子の異常に分けることができる.病態により色素異常以外の随伴症状が異なり,鑑別が必要である.
  • 古賀 道之
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第56回 色素異常症
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3015-3022
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    後天性,特発性に生じる境界明瞭な白斑を尋常性白斑という.若年者に生じ一定の皮膚分節内に急速に拡大した後固定する分節型白斑と,全年齢層に生じ生涯進行して全身に及ぶ非分節型白斑がある.病因として自己免疫説,神経説,Redox制御異常説などがあるが詳細は明らかでない.分節型白斑の治療としては固定期の手術療法が,非分節型白斑では早期におけるステロイドやタクロリムスの外用,PUVAやナローバンドUVBの照射がすすめられるが,陳旧性白斑の汎発例では脱色療法も考慮する.
  • 渡辺 晋一
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第56回 色素異常症
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3023-3028
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    後天性色素沈着症には種々のものがあるが,全身性の色素沈着症は通常基礎疾患を伴うため,その診断は重要で,基礎疾患の治療にもつながる.しかし限局性の色素沈着症は,有効な治療法がなかったため,その診断に関心がもたれることはなかった.しかし,近年レーザー治療などの進歩により,色素沈着症のいくつかは治療が可能になった.その結果,色素沈着症を正確に診断する必要が生じた.ここでは,限局性色素沈着症の鑑別と治療法を紹介する.
原著
  • 神吉 晴久, 池田 哲哉, 高井 利浩, 加茂 統良, 長野 徹, 錦織 千佳子
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3029-3036
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    背景:乳房外Paget病は,真皮内浸潤やリンパ節転移を認めた場合は予後不良である.近年センチネルリンパ節生検の有用性が示唆されているが,乳房外Paget病に対する検討はいまだ少ない.目的:乳房外Paget病におけるセンチネルリンパ節生検の有用性と適応について検討する.対象と方法:神戸大学皮膚科における最近5年間の乳房外Paget病患者35例(うち17例にセンチネルリンパ節生検を施行)を対象とし,術前後の臨床像,病理組織学的所見を比較した.結果:生検組織と術後標本を比較したところ,組織学的深達度は有意に後者が深かった.初診時にびらん,浸潤性局面,結節などの所見を認めた25例中18例に真皮内浸潤を認めたが,これらの臨床所見を認めなかった4例全例に真皮内浸潤を認めなかった.センチネルリンパ節生検の同定率は95.7%,正診率は100%であった.結論:術前の皮膚生検のみではPaget細胞の真皮内浸潤を見逃す恐れがある.このため,浸潤性局面,びらん,結節といった臨床的に真皮内浸潤を示唆する所見を認めた場合はセンチネルリンパ節生検を行うことが望ましい.
  • 西井 貴美子, 山田 秀和, 笹川 征雄, 平山 公三, 磯ノ上 正明, 尾本 晴代, 北村 公一, 酒谷 省子, 巽 祐子, 茶之木 美也 ...
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3037-3044
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    大阪皮膚科医会は学校における水泳プール授業時のサンスクリーン剤使用の実態調査を大阪府下の公立学校1,200校を対象に実施したが,結果は約3割以上の学校がサンスクリーン剤使用を禁止または不要としていた.禁止の理由として水質汚染の心配が多数をしめたため,2007年夏に大阪府内の公立中学校14校の協力を得てワンシーズン終了後の水質検査を実施し,プール授業開始直後の水質と比較した.結果は文部科学省の学校環境衛生の基準に定められている6項目(pH,濁度,遊離残留塩素,過マンガン酸カリウム消費量,大腸菌,トリハロメタン)のうち濁度,過マンガン酸カリウム消費量,大腸菌,トリハロメタンに関しては基準値からはずれた項目はなかった.遊離残留塩素,pHについてはサンスクリーン剤使用を自由または条件付許可の学校で基準値より低値を示す傾向にあった.統計的検討はサンプル数,各校の条件の違いでむずかしいが,定期的にプール水の残留塩素濃度を測定,管理し,補給水の追加をすれば紫外線の害を予防する目的でサンスクリーン剤を使用することに問題はないと考える.
  • 佐藤 正隆, 花見 由華, 若槻 妙子, 菊池 信之, 坂井 絵里香, 大塚 幹夫, 山本 俊幸
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3045-3050
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    33歳男性.25歳時にCrohn病を発症したが,2005年以降は整腸剤のみで経過観察されていた.2007年11月から右下腿に有痛性潰瘍が出現した.2008年1月,他院で壊疽性膿皮症を疑われプレドニゾロン(PSL)30 mg/日を投与された.PSL 60 mg/日まで増量,パルス療法も施行されたが改善しないため,同年3月31日に当科へ紹介された.初診時,右下腿に手掌大,易出血性の隆起性増殖性潰瘍を認めた.病理組織学的には,真皮から筋層にかけて好中球を主とする炎症細胞が密に浸潤していた.入院後の精査で右下肢深部静脈血栓症が発見された.抗凝固療法を開始すると共に,PSLを60 mg/日継続に加え,シクロスポリン(CyA)3 mg/kg/日を併用したところ,速やかな皮膚症状の改善が認められた.PSLを漸減後,残存する潰瘍については植皮術を施行した.当科において過去5年間に経験した壊疽性膿皮症10例を併せて集計し若干の検討を試みた.
  • 中村 泰大, 中村 貴之, 石井 良征, 古田 淳一, 川内 康弘, 大塚 藤男
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 14 号 p. 3051-3058
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    耳下腺リンパ節転移を生じた頭頸部皮膚原発悪性黒色腫の2例を報告する.症例1:35歳男性.右頬部原発のtumor thickness 1.7 mmの悪性黒色腫で,センチネルリンパ節生検にて右耳前部耳下腺内のリンパ節に微小転移があった.原発巣拡大切除,耳下腺浅葉部分摘出術および選択的頸部郭清術(level I:顎下リンパ節,level II:上内深頸リンパ節)を施行した.郭清リンパ節に転移なく,病期はpT2aN1aM0 stage IIIA.術後DAVフェロン療法6コース施行し5年2カ月再発転移なく経過している.症例2:40歳女性.左こめかみ原発のtumor thickness 20 mmの悪性黒色腫で,センチネルリンパ節生検にて左耳前部耳下腺内の長径1.5 cmの腫大リンパ節にびまん性に腫瘍細胞が転移していた.原発巣拡大切除,耳下腺浅葉摘出術および選択的頸部郭清術(level I,II,III:中内深頸リンパ節)を施行した.郭清リンパ節に転移なく,病期はpT4bN1bM0 stage IIIC.術後DAVフェロン療法1コース終了後,耳下腺切除領域にリンパ節転移が再出現した.同リンパ節を局所切除後,耳下腺および頸部領域に放射線療法を追加したが,術後8カ月で肺転移が出現し現在化学療法にて加療中である.頭頸部原発悪性黒色腫は四肢体幹に比べて発生頻度が低く,耳下腺リンパ節転移陽性例を経験することは少ない.耳下腺リンパ節転移陽性の際は耳下腺浅葉摘出術および選択的頸部郭清術を原則として行い,特に耳下腺領域は耳介前リンパ節の郭清範囲にも取り残しのないよう留意すべきである.
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