日本皮膚科学会雑誌
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78 巻, 12 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 麻生 和雄, 田辺 義次, 加藤 友衞, 竹内 勝
    1968 年 78 巻 12 号 p. 993-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
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    コルチコステロイドの抗炎機構については,いろいろ論議がある.それらのもののうちで注目されるもののひとつに,エネルギー生成系に対する作用があげられている.すなわち,高エネルギーが要求されるであろう炎症の場において,エネルギー生成を抑制し,炎症を停止させるとする見解である.著者らは,ステロイドによる皮膚呼吸の抑制を,数種のステロイドを用い炎症皮膚,正常皮膚,あるいはミトコンドリア,細胞膜などを用いて検討した.その結果,ステロイド外用により皮膚呼吸が抑制される成績を得たので報告したい.
  • 山田 佳也
    1968 年 78 巻 12 号 p. 1001-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    皮膚反応はBlacklyにより喘息の診断のために試みられたものといわれるが,その後方法の簡便なこともあり,臨床各方面で汎用されるようになつた.すなわち,各種感染症では結核症におけるツベルクリン反応(以下ツ反応と略す)の如く個体の免疫程度の指標として,またアレルギー性疾患では抗原の検索,あるいは個体のアレルギー素因判定の有力な手段となつた.それとともに術式にも各種の試みが考按され,また反応成立の機構,反応の種々相,更には反応と血清学的,病理学的関連について夥多の研究が発表されている.皮膚は単に一つの臓器としての機能を有するのみでなく全身諸臓器の集約とみることができる.古くはHypokratesが皮膚疾患を内部疾患の表現と見做し,所謂Humoral Pathologieなる概念を提唱したが,以降,現在に至るまでその内容において変遷はあるにしても皮膚疾患を内的基盤より考察するの妥当性は否定できない.かくて内部諸条件の指標としてこそ皮膚反応の存在価値が高いといえよう.一方,皮膚がIntegmentum communeとして直接曝露接触している外界諸条件が皮膚疾患発生展開の立地条件を提供し,これに対して局所性要約を準備提供するものとして局所皮膚の解剖組織学的特性を挙げ得る(木村).皮膚疾患の夫々に好発部位があり,部位的特性が重要な因子と考えられるが,この面よりも皮膚反応の部位別差異が興味がある.
  • 山田 佳也
    1968 年 78 巻 12 号 p. 1009-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    貼付試験を行なつて発赤,丘疹,水疱発生などの陽性反応を得たとき,その反応をallergicなものか,あるいは単にtoxicなものかを鑑別するに困難な場合がしばしばある.一般には健常人で陽性反応を呈さぬ濃度及び量のある物質を貼付して陽性を示すのはallergicなものとも見做し得よう.しかし,Bloch und Jarger,Rostenberg & Sulzbergerらが接触皮膚炎,湿疹などの所謂アレルギー皮膚疾患者では種々の物質に対して多価な過敏性を呈することが多いと唱え,アレルギー皮膚疾患者の非特異的な接触刺激閾値の低下を重視した.以来,健常人には陽性反応を呈さぬ方法で実施された貼付試験が陽性の結果を示しても,直ちにこれをallergicな反応と断定するには根拠が乏しいと考えられるに至つた.かかる貼付試験成績判定に問題があるにしても,同試験の有用性は否定できるものない.却つて一連の皮膚刺激物質の貼付試験により,個体の湿疹準備性を推測する.即ち湿疹試験として広く利用されるようになり,また接触アレルギーにては抗原検索の確実な血清学的方法のないことから,抗原決定のために貼付試験はいよいよ広く使われている.しかし,現在ではallergic,toxic両反応を区別する確実な鑑別法なく,この問題に関してはLandsteinerらのいう如く,アレルギー性皮膚疾患者の陽性貼付試験は使用物質が真にallergicな過敏症を常に示すとはいえぬから,慎重に判定すべきであろう.また接触アレルギーの抗原,とくに化学薬品類の多くは一定以上の濃度では皮膚細胞にtoxicな作用を有するが,閾値以下の濃度では感作された個体にのみallergicの反応を呈するという理論は正しい.この場合,toxic,allergicの両反応を区別する限界濃度の決定が前提条件として不可欠である.湿疹試験に用いられるテレピン油の文献に報告された限界濃度を窺うに,JakobsによるとBloch,Behringは50%,Carrieは40%,Perutz,Bonnevieは10%と夫々異つた数値を主張している.また使用薬品の精製度,接触方法にも問題はあろう.しかし,このように限界濃度の決定は必ずしも容易でない.一物質についてさえ限界濃度の決定が困難であるし,それが個々の研究者に委ねられている現状では,無数の接触源となる物質の妥当な限界濃度の決定はにわかに期待することはできない.限界濃度,即ち閾値決定を困難にさせる因子は被検者側にも認められる.例えばHaeberlinによると,種々の濃度のクロトン油,クリサロビンを用いたtoxicの反応の研究では,角層の厚さがtoxicの閾値の差異を生ぜしめると.次に問題となるのは,得られた陽性反応そのものからallergic,toxicの区別が可能であるかということである.Sulzberger & Wittenは鮮明な小水疱の集簇を示す反応はallergicの反応に属し,僅かの丘疹,または膿疱,小水疱が不規則に毛孔,または汗孔に一致する反応はtoxicの反応とし,Tzanckはallergicのは比較的境界不鮮明,小水疱を形成し,痒感あるが,toxicのは壊死あるいは疼痛あり,境界不鮮明で,肉眼的に鑑別可能という.このようにallergic,toxicの両反応は,それぞれ極端な場合は,肉眼的に鑑別が可能の如くである.しかし,貼付試験の成績が単なる発赤あるいは腫張の場合は,両者の区別ができぬ場合も多い.
  • 石原 和之
    1968 年 78 巻 12 号 p. 1027-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
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    Mivrosporum gypseum(石膏様小胞子菌)は1894年,Sabouraudによつて始めて発見され,1928年,Guiart et Grigorakisにより命名されたもので,本邦では1936年,高橋及び森川の報告が最初である.本菌は,人体感染として主に斑状小水疱性白癬を,また頭部白癬乃至チエルズース禿瘡を発生せしめるものとして知られている.M. gypseumに関する臨床的並びに菌学的事項は詳細に記載されているが,その内部構造及び機能,特に細胞の呼吸作用に重要な関係を有する電子伝達系に関する観察,或いは細胞内における核酸合成の状況については余り知られていない.
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