褥瘡においては,2009年2月に日本褥瘡学会から「褥瘡予防・管理ガイドライン」が公表されている.しかしながら,日本褥瘡学会のガイドラインは医師のみならず看護師,栄養師,理学療養士・作業療法士なども対象としており,また,治療よりその予防,ケアを重視とした内容であるため,より治療に重点を置いた褥瘡診療ガイドラインを作成した.本稿では,主に日本皮膚科学会褥瘡診療ガイドライン改訂第二版に基づいて,予防・ケア・治療について要約・解説する1).
膠原病・血管炎に伴って生じる皮膚潰瘍は難治性であることが多く,その原因・機序も多彩である.皮膚科専門医はこれらの多彩な潰瘍に対して治療のイニシアチブをとることが望ましい.標準化されたアプローチによってすべての患者が適切な診療を受けられるようにするために,創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン委員会による「膠原病・血管炎にともなう皮膚潰瘍診療ガイドライン」が2012年に作成され,2017年に改訂版が発表された.本稿では,本ガイドラインをもとに膠原病・血管炎による皮膚潰瘍に対して皮膚科医が行うべきケアを潰瘍の多彩な機序,成因に基づいた視点から解説する.
下肢静脈瘤の手術治療は高位結紮術や静脈抜去術が主であったが,2011年に血管内焼灼術が保険収載されてから,新たな機器が次々と承認された.従来の手術と比較し,低侵襲で治療成績も遜色ないことから,今後ますます普及していくと思われる.今回「下腿潰瘍・下肢静脈瘤ガイドライン」の改定版においても血管内焼灼術について初めて言及されている.血管内焼灼術を含め下肢静脈瘤の最新の外科的治療について概説する.
尋常性乾癬の治療は外用療法が主体であり,ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬が長年使用されているが,最近,ステロイドと活性型ビタミンD3の配合外用薬が使用できるようになり,治療の幅が拡がった.そこで,国内外の臨床研究エビデンスをもとに,配合外用薬の有用性を,有効性,経済性,忍容性,患者QOL,アドヒアランスの側面から検証した.その結果,配合外用薬は速やかな効果発現,持続的な効果,良好な忍容性,患者QOLの改善を示し,費用対効果も外用療法の中で最も高かった.これらの結果から,配合外用薬は尋常性乾癬における外用療法の第一選択薬として推奨される.