日本皮膚科学会雑誌
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116 巻, 3 号
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皮膚科セミナリウム 第12回 膠原病(1)
  • 古川 福実
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第12回 膠原病(1)
    2006 年 116 巻 3 号 p. 273-281
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    エリテマトーデスは,臨床的には紅斑の出現,組織学的には血管周囲炎症そして血液学的には自己抗体の存在を特徴とする.単一な疾病ではなく,幅広いスペクトラムを意味した言葉で,個別の疾患概念を言う場合と背景の基礎疾患を問わず個々の皮疹を言う場合がある.皮膚限局性にせよ全身性にせよ,皮疹の個別の詳細な診断がまず重要で,組織・血液検査・全身理学所見を相互的に判断して正確な診断や治療を決定する事が重要である.
  • 石川 治
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第12回 膠原病(1)
    2006 年 116 巻 3 号 p. 282-288
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
  • 臼田 俊和
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第12回 膠原病(1)
    2006 年 116 巻 3 号 p. 289-295
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    Sjögren症候群の歴史は70年以上あるが,その間に疾患概念は大きく変化してきた.当初重視されていた乾燥症状は,現在の診断基準では不必要となり,客観的検査所見によって診断できるようになった.本邦では改訂基準(1999年)の提示以来,診断率の向上とともに症例数は急増している.皮膚科領域においても,環状紅斑との関連をはじめとして注目される疾患となっている.本稿では,乾燥症状に対する考え方,病因,臨床症状,治療,生活指導の要点と注意点について概説し,従来見逃されることも多かった本症の重要性について述べた.
原著
  • 堤田 新, 古川 洋志, 山本 有平
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    これまでの癌化学療法は入院での治療が一般的であったが,現在では外来化学療法が次第に増えつつある.その背景として,副作用に対する支持療法の進歩,外来投与可能な抗癌剤や経口抗癌剤の開発,患者側の利便性,医療費削減,包括医療に対応していることなどが挙げられる.われわれは2003年よりこれまでに進行期3例,術後補助療法として11例に外来化学療法を施行してきた.進行期ではQOLの観点から有用であった.補助療法は適応,効果の判定は難しいが,経口抗癌剤を用い安全に施行できていると考えられた.
  • 山本 純照, 榎本 美生, 多田 英之, 宮川 幸子
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 3 号 p. 303-310
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    基底細胞母斑症候群は多発性基底細胞癌,顎囊胞,大脳鎌の石灰化,二分肋骨,掌蹠小陥凹,特有の顔貌などの外胚葉,中胚葉起源の器官に異常をきたす常染色体優性遺伝の稀な疾患である.今回我々は髄芽腫を生じた基底細胞母斑症候群の2例を経験した.症例1:18歳,男性.2歳時に歩行困難が出現し,頭部CTで髄芽腫を指摘され,腫瘍摘出術および放射線照射を受けた.2000年8月(16歳時)から頭部に淡褐色の小結節が多数生じ,2002年2月4日に当科を受診.小結節は病理組織学的に基底細胞癌と診断された.その他両眼解離,平坦な鼻根や両側手掌の小陥凹が認められた.頭部X線写真および頭部単純CTで大脳鎌の石灰化が認められ,皮膚症状およびその病理組織学的所見,大脳鎌の石灰化,幼児期の髄芽腫から本症と診断した.症例2:17歳,男性.父親が基底細胞母斑症候群と診断されている.2歳時に歩行困難が出現し,頭部CTで髄芽腫を指摘され,腫瘍摘出術および放射線照射を受けた.1999年(12歳時)から頭頸部に黒褐色小結節が少数生じた.2004年11月22日に当科を受診.小結節は病理組織学的に基底細胞癌と診断された.その他両側手掌の小陥凹,大脳鎌の石灰化,家族歴,幼児期の髄芽腫から本症と診断した.髄芽腫を生じた基底細胞母斑症候群の本邦報告例を検討した結果,基底細胞母斑症候群で生じる髄芽腫の平均発症年齢は2歳前後であり,一般の髄芽腫に比べて低年齢発症であること,男児にやや多い傾向があること,髄芽腫に対して行われた放射線治療の照射野に一致して多数の基底細胞癌が生じ,さらに放射線によると思われる髄膜腫が高率に発症しているなどの結論を得た.
  • 石黒 直子
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    1997年7月から2004年8月までにリベドを主訴として当科を受診し,皮膚生検を施行した33例について,臨床・病理組織学的に検討した.男女比4:29,平均発症年齢は42.6歳で,20~59歳が約7割を占めた.皮疹の分布では下腿が多く,足,前腕,大腿と続いた.皮疹の性状は,全例,環は閉じず,樹枝状,楔状,線状,類円形の紅斑もしくは紅褐色斑を呈していた.病理組織学的所見で,主体が血管炎であったものが13例,主体が血栓・塞栓像であったものが14例,血管炎,塞栓像とも同程度に認めたものが1例,血管炎,塞栓像とも認めなかったものが5例あり,その病態としては大きく,血管炎によるものと血栓・塞栓像によるものに分類された.また,関節リウマチに伴うリベドは上肢や躯幹にも分布するのを特徴とし,コレステロール結晶塞栓症や抗リン脂質抗体症候群では下肢のみならず足や足趾にもリベドを認める例がほとんどであった.関節リウマチや一部の膠原病に伴うリベドでは他の臨床所見を,コレステロール結晶塞栓症では患者背景を加味すると,臨床診断が比較的容易と思われたが,その他においては必ずしも初診時診断と精査後の診断は一致しなかった.以上より,リベドを診た場合,リベドは症状としてとらえること,最終的には病理組織学的に病態の把握をし,精査によってリベドの基礎にある疾患を検索することが最も重要と考えた.
  • 小田 真喜子, 山中 新也, 清島 真理子, 鄭 淑雲, 安立 あゆみ
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 3 号 p. 319-324
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    症例:51歳女性.2001年4月当科初診.胃原発悪性リンパ腫のため胃摘出術,その後化学療法と放射線治療の既往がある.2001年には子宮頸部異形成を指摘された.初診の10年以上前から外陰,肛囲と足底の丘疹に気づき,冷凍凝固療法を受けていた.初診時,両足底に多数の角化性丘疹があり,外陰部から肛囲にかけては褐色調の扁平丘疹が多数みられた.2004年6月,外科的切除および電気焼灼を施行.臨床および病理組織学的所見よりボーエン様丘疹症,足底疣贅と診断.凍結組織よりPCR法を用いてHPV DNAを検索したところ外陰部からはHPV-16,70,91型,子宮頸部からHPV-16,91型,足底からはHPV-4,63型が検出された.ボーエン様丘疹症と足底疣贅の合併例に対し,HPV検索を行った症例は稀である.本例では外陰部および子宮頸部から粘膜high-risk型HPV-16型が検出されたことから,ボーエン病,子宮頸癌に準じて治療すべきと考えた.
  • 八代 浩, 河合 成海, 山北 高志, 秦 直子, 香西 伸彦, 有馬 豪, 牧浦 宗彦, 秋田 浩孝, 清水 善徳, 松永 佳世子
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 3 号 p. 325-329
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    2002年7月から2005年6月までの間,当科で経験した有棘細胞癌(SCC)9例のSentinel node biopsy(SNB)について検討を行った.色素法と術前シンチグラフィーならびに術中ガンマプローブの併用によりSentinel node(SN)は100%同定された.SNが転移陽性であった症例が1例あり,SNB施行後に所属リンパ節を郭清したが,転移が認められたのはSNのみであった.他の症例はSN転移陰性であったため,所属リンパ節郭清は施行せず,経過観察を行っているが再発や転移は認められていない(平均観察期間15.8カ月).近年,悪性黒色腫同様にHigh risk SCCに対するSNBによって,予後判定や適切なリンパ節郭清を行うことができると,その有用性が示されている.しかし,いまだ大規模な調査がなされておらず,今後SNBのSCCへの適応を十分に検討し,ガイドラインの設定が必要と考えられた.
速報的小論文
  • 加賀谷 早織, 角田 孝彦, 森山 達哉
    原稿種別: 速報的小論文
    2006 年 116 巻 3 号 p. 331-334
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    症例1:36歳女性.夕食にフキノトウの天ぷらを摂取後,のどがかゆくなり,嘔吐した.さらに咽頭の腫脹,呼吸困難,蕁麻疹が出現した.CAP-RAST(class)では,ヨモギ3,ブタクサ1,スギ3,カモガヤ0.症例2:50歳女性.春と秋に花粉症症状あり.フキノトウの天ぷらを摂取後,上腹部不快感と鼻閉感があり,その後口腔内のしびれと全身に蕁麻疹が出現した.CAPRAST(class)では,ヨモギ3,ブタクサ2,スギ4,カモガヤ0.両症例について,フキノトウの小花,苞のprick to prick testで陽性が確認された.両症例とも花粉がついている雄株で陽性を示し,花粉に重要な抗原があることが考えられた.患者血清を用いて行った免疫ブロットでは,15 kDaと20 kDa付近のアレルゲンが検出された.
学会抄録
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