ヒト皮膚につき,ラット皮膚および肝と対比してD-glucuronolactone→D-glucaric acid形成系を検討,D-glucaric acidおよびD-glucuronolactone dehydrogenaseを測定し,さらに2,3皮膚疾患病巣皮膚のD-glucuronolactone dehydrogenase活性をβ-glucuronidase活性と対比して測定した.得た結果は以下のようである.1)正常ヒト皮膚からD-glucaric acidを分離抽出し,その存在を証明した.定量的には29±11mμmoles/g wet weightで,これはラット肝の1/5量にあたる.2)正常ヒト皮膚D-glucuronolactone dehydrogenase比活性は1.43±0.45mμmoles/mg protein/minで,ラット肝の1/2,ラット皮膚の2倍にあたる.3)棘細胞癌,基底細胞癌,尋常性乾癬,固定薬疹,腋臭症の病巣部においては,いずれもβ-glucuronidase活性の増強と共にD-glucurouolactone dehydrogenase活性の低下を認め,尋常性魚鱗癬においては両酵素活性はいずれも低値であった.4)以上のことから皮膚組織(ヒト,ラット)に本経路の存在することを確認すると共に,本経路のβ-glucuronidaseに対するフィードバック制御機構に対して若干の考察を加えた.
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