日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
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123 巻, 14 号
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委員会報告
新・皮膚科セミナリウム 皮膚科医に必要な画像診断
原著
  • 緒方 大, 吉川 周佐, 清原 祥夫, 土田 哲也
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 14 号 p. 3101-3107
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    今回我々はnon-melanoma skin cancer(NMSC)のうち基底細胞癌に次いで発生頻度の高い皮膚原発有棘細胞癌(cutaneous squamous cell carcinoma:cSCC)に特化してセンチネルリンパ節生検施行群と拡大切除群の予後についての後方視的検討を行った.加えて既報告との比較を行うことでcSCCの潜在性リンパ節転移に対するセンチネルリンパ節生検の役割を検証したので報告する.病理組織学的にcSCCと診断した70例のうち,遠隔転移がなく臨床的にリンパ節転移が明らかでないcSCC症例33例にRI・色素法併用によるsentinel lymph node(SLN)biopsyを行い,陽性であった6例に所属リンパ節郭清を行った.sentinel node(SN)転移陽性率は18%で,偽陰性率は3%であった.またSN転移陽性群の5年生存率は100%であった.これらの結果から,臨床的にリンパ節・遠隔転移のないcSCCに対して適応を定めSLN biopsyを行うことが,生存率の改善に結びつく可能性が考えられるが,今現在それに対して確立されたエビデンスは存在していない.SLN biopsyの適応基準とSLN biopsy後のリンパ節郭清術そのものが予後に与える影響を明らかにするためには,今後大規模な前向き臨床試験と長期的な経過を観察する必要があると考える.
  • 伊藤 圭, 飯谷 麻里, 本多 佐保, 西野 雅彦, 四十坊 典晴, 佐々木 真由美, 小池 祐史, 小林 仁
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 14 号 p. 3109-3116
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    72歳女性.55歳発症の関節症性乾癬.関節痛が著しく増悪し生物学的製剤の適応と判断した.インフリキシマブ導入前スクリーニング検査では,クォンティフェロン検査陽性を認め,潜在性結核感染症と診断した.インフリキシマブ初回投与の22日前からイソニアジドメタンスルホン酸ナトリウムを開始し204日間投与したのちに中止した.インフリキシマブ7回投与の後,治療開始から276日目に38°C台の発熱と全身倦怠感が出現した.採血検査でCRP 14.14 mg/dl↑,CA125 165.9 U/ml↑,sIL-2R 3,830 U/ml↑,腹部CTでは腹水貯留を認めた.腹水穿刺ではアデノシンデアミナーゼ111.7 U/l↑,CA125425.0 U/ml↑が高値を示した.腹水の塗抹標本抗酸菌染色,結核菌PCRは陰性で確定診断に至らず,腹腔鏡下腹膜組織生検を施行した.肉眼所見で無数の白色結節と腹膜・大網の一部癒着がみられ,白色結節の病理像で乾酪壊死を伴う肉芽腫を認めた.結核性腹膜炎と診断し抗結核薬4剤による治療を開始,その後速やかに軽快し治癒した.なお,結核治療開始から1カ月以上経過し,腹膜生検組織の結核菌培養コロニーの結核菌PCRで陽性を認めた.乾癬に対するインフリキシマブ投与中に結核が発症した本邦初症例である.生物学的製剤時代が到来した今,改めてわれわれ皮膚科医は結核予防対策の重要性を認識するとともに発現時の速やかな対応につき理解をしておかねばならないと考えた.
  • 大谷 道輝, 松元 美香, 野澤 茜, 山村 喜一, 江藤 隆史
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 14 号 p. 3117-3122
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    ステロイド外用剤と保湿剤併用時の塗布順序と効果や副作用の関係については報告がほとんどないことから,皮膚科医や薬剤師は塗布順序を経験的に指示している.ステロイドの軟膏と保湿剤の併用について,ヘアレスラットを用いて塗布順序の副作用への影響を調べた.副作用の指標として,体重,脾臓重量,副腎重量および皮膚の厚さを調べた.混合した製剤も塗布順序と比較した.ステロイド外用剤はクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏を,保湿剤はヘパリン類似物質含有製剤および尿素製剤を選択した.その結果,ステロイド外用剤と保湿剤の併用では塗布順序は副作用に影響しないことが示された.また,混合後に塗布しても重ねて塗るのと差は認められなかった.
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