光線過敏症は,日常臨床の場では稀な疾患ではない.光線曝露後の皮疹出現と露光部に限局する皮疹分布が光線過敏症を疑うポイントであり,問診と皮疹の性状・分布から光線過敏症を疑った際は,まずは速やかに人工光源を用いた光線照射テストを実施すべきである.その後,内服照射試験や光パッチテスト,反復照射試験のほか,適宜血液・尿検査,病理組織学検査を実施して確定診断を行う.
人類における太陽光における恩恵は議論の余地がないが,一方障害という点でも必ず皮膚には何らかの有害作用を及ぼすという側面がある.診療の場で経験する皮膚における光障害について,波長の長さによりその反応およびそこから引き起こされる疾患の特徴を解説する.UVB領域での発がんについては紅斑反応,UVAから可視光領域の波長では日光蕁麻疹,ポルフィリン症などが重要であり,その防御や,治療法についての治験情報など最近の話題も提供する.
長年の紫外線曝露で受けた皮膚のダメージは,顔面,頸部,前腕伸側,手背などの露光部の肌に顕著に認められる.その臨床像は深いしわ,粗造な皮膚,しみ,毛細血管拡張などであり,光老化(photoaging)と呼ばれる.加齢による真皮の変化に,紫外線によるダメージが加わり,コラーゲン線維や弾性線維は著明に減少・消失する.この破壊された真皮マトリックスの空隙を埋めるように,日光弾性線維症(solar elastosis)や毛細血管拡張が現れる.日光弾性線維症の弾性線維は塊状に沈着しており,本来弾性線維が持つ伸び縮みする機能を消失している.
本邦における血漿交換療法は膜分離法が主流で,バスキュラーアクセスは主に中心静脈カテーテルが選択されるが,カテーテル留置による患者負担やカテーテル感染などの合併症が問題になる.今回我々は,粘膜皮膚型尋常性天疱瘡の2例に中心静脈へのアクセスやカテーテル留置を要さない末梢静脈アクセスによる遠心分離血漿交換療法を施行した.2例ともカテーテル関連血流感染症を生じることなく治療を完遂することが出来た.我々の施設で過去5年間に膜分離血漿交換療法を施行した8症例と比較し,IgG除去率は同程度で,治療効果も遜色なかった.末梢静脈アクセスが可能な遠心分離血漿交換療法は有用な治療であると考えた.
当施設で経験した免疫チェックポイント阻害薬投与後に発症した水疱性類天疱瘡の6例を報告する.抗BP180NC16a抗体が5例,抗LAD抗体が1例に認められた.原疾患として悪性黒色腫1例,胃癌が1例,腎細胞癌と肺癌患者がそれぞれ2例認められた.免疫チェックポイント阻害薬投与開始後から水疱性類天疱瘡の発症までの中央値は72週(38~158週)であった.原疾患に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果は1例を除いて奏効しており,長期にわたり無増悪生存期間を維持している症例もあった.