日本皮膚科学会雑誌
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93 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小幡 正明
    1983 年 93 巻 8 号 p. 811-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    紫外部単色光による sunburn cell (SC) 形成を,マウス表皮剥離標本を用いて定量的に検討した.照射にはキセノンラソプ(2KW)と回折格子モノクロメーター組み合わせ単色光源を用いた.単色光は dd-Y 系マウスの耳背面に照射し,表皮剥離標本 (NaBr剥離,HE 染色)を作製し,単位細胞数あたりの SC 数をかぞえた.結果 :① SC 形成の作用波長は 300nm より短い波長域にあった. ②UVA (360nm)の大量照射にも SC 形成能があり,それは UVB(300nm) の約1 /600と推定された. ③UVB (300nm),UVC(260nm)では SC 数は照射量に対して対数比例に類似したパターンを示して増加した.④経時的変化では SC 形成のピークは,それぞれ UVA(360nm)で照射後30時間に, UVB(300nm) で24時間後に,UVC(260nm)では18時間後にみられた.⑤UVA(360nm)の大量照射は, UVB(300nm),UVC(260nm) と重複照射した場合,それぞれの単独照射による SC 形成を有意に増強した.
  • 石橋 康正, 井上 由紀子, 竹原 和彦, 久木田 淳, 村上 康文, 花岡 文雄, 山田 正篤
    1983 年 93 巻 8 号 p. 819-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    42歳男子の典型的 Pringle 病患者(PD)につき,顔面の外見上正常な皮膚及び所謂 adenoma sebaceum(AS) を体外培養し,遊出する非上皮性細胞(NEC)の持つ DNA量を,“核当たり”及び“細胞当たり”につき, Flow cytofluoromete を用いて検索した. 1)PD の外見上正常な皮膚からの NEC の“核当たり”の DNA 量分布曲線は,正常control のそれに比し,特に異なるところはなかった. 2)これに対して,PD の AS からのそれは,2C peak の低下,幅の拡大,左端に新 peak の形成等,正常 control に比し著しく異なる pattern を示した.またそれは, dish 内大樹枝状細胞の占める割合の相違によりやや異なっていた. 3)一方 PD の外見上正常な皮膚からの NEC の,“細胞当たり”の DNA 量分布曲線は,核当たりのそれと異なり,2Cpeak の幅の拡大,2相性化等正常 control のそれと異なる所見を示した. 4)更に,AS からの“細胞当たり”のそれは,その変化が顕著で 2Cpeak の平坦化,幅の拡大の他,左端に新 peak の形成等があり,一種異様な pattern を呈していた.この変化はまた, dish 内大樹枝状細胞の占める割合により著しく異なっていた. 5)以上の所見から,PD の AS からの NEC には,核当たり及び多分細胞当たり DNA 量の平等な分配に障害のあることが示唆された.
  • 内山 光明, 亀田 洋, 中嶋 弘, 永井 隆吉, 安瀬 正紀, 近藤 ふみ子
    1983 年 93 巻 8 号 p. 827-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    骨髄転移をきたした基底細胞癌の1例を経験した.症例は40歳男,昭和49年8月初診.その7年前に紅斑性丘疹が左鼻翼部に出現,少しずつ増大し,結節状となり,中心が潰瘍化し,初診時には左鼻翼欠損を呈するにいたった.病理組織的には solid type から, sclerosingtype を移行を示す型であり,浅層は solid ype,深層は sclerosing type であった.反応性浸潤細胞はなかった.治療としては一次的に鼻翼を含め潰瘍部を切除し, 5Fu 勤注,ライナック照射後さらに左上頭切除が行われた.3年後,鼻翼形成の目的で入院したが,末血中に異型細胞が出現,白血病様反応を疑い骨髄穿刺を行ったところ無効穿刺であった.右腸骨稜から生検を行ったところ,基底細胞癌の転移を認めた.組織的には原発巣の一部に類似し, sclerosing type であった.免疫療法を行ったが,病状は悪化し,昭和53年6月21日死亡した.剖検は行い得なかった.
  • 服部 瑛, 中島 孝, 石川 英一
    1983 年 93 巻 8 号 p. 833-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    最近菌状息肉症において,臭肉症細胞とは起源を異にする非リンパ系細胞の出現ないし増加が注目されてきている.今回我々は,腫瘤形成期の菌状息肉症と診断され,その腫瘤部に組織学的に大型の組織球様細胞の著明な増生を示す症例を経験した.それら組織球様細胞は,E ロゼット形成能を欠き,S-100 蛋白陽性であった.
  • 野田 れい子, 塚田 篤子, 古谷 達孝
    1983 年 93 巻 8 号 p. 841-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    臨床的に筋症状を全く欠く26歳女子,55歳女子,37歳男子のサ症症例の誹腹筋生検において,全例に筋組織中にもサ症特有の類上皮細胞性肉芽腫を認め得たことを報告し,あわせてサ症における筋病変の出現頻度につき,文献的考察を行った.これによればサ症における組織学的筋病変陽性率は発症早期の症例において高く,末期症例においては低くなっている.たとえば発症6ヵ月以内のサ症症例において,組織学的筋病変陽性率は87%にも達するとされている.サ症が疑われ,定型的病変に乏しい発症早期症例においては,手技も簡単で,安全性も高い骨格筋生検は,診断上極めて有用と思われる.
  • 清村 妙子, 石川 豊祥, 森嶋 隆文, 稲名 市郎
    1983 年 93 巻 8 号 p. 849-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    Histiocytosisx の長期生存中の3症例の概要を記載した.症例1は16歳,男子であり,生後20日頃より発症し,11ヵ月時から Letterer・Siwe 病 (L.S.) の診断のもとに加療した.1歳6ヵ月時から顔面に,2歳時から陰茎に潰瘍を生じ,4歳頃から骨欠損さらに黄色腫様丘疹を混在し,6歳頃より尿崩症が出現し,Hand-Schiiller-Christian 病 (H.S.C.) への移行を思わせた.症例2は13歳,女子であり,1歳11ヵ月頃より発症し,2歳時 L.S. と診断した.3歳頃より尿崩症,眼球突出や地図状頭蓋などの Christian の3徴候を示した.症例3は13歳,女子であり,乳児期より発症し,3歳頃から発育障害と尿崩症とを認め,4歳の初診時では骨欠損や眼球突出はなく, H.S.C 型の本症と考えたが,経過中benign Histiocytosisx を思わせる時期もあった. 3症例の観察期間は,それぞれ15年,11年,9年の長期にわたるが,共通して認められた症状は間脳下垂体系病変による尿崩症と著しい発育障害とであった.症例1では陰茎病変のために排尿障害をきたして膀胱麿造設術や尿路変更術を余儀なくされ,終始,出没する潰瘍のために顔面の醜形が著しかった.また症例2でも広範な瘢痕性脱毛巣を残した.症例2と症例3とでは,それぞれ7歳時,11歳時に錘体路症状や小脳失調症状を認め,症例2では摘出した小脳虫部の単発性腫瘍巣に疱沫細胞の存在を確認した.以上,3症例とも生命に対する予後は良好であるが,長期経過を観察するに従い,社会生活を送る上に種々の重篤な合併症が出現した.
  • 赤木 理
    1983 年 93 巻 8 号 p. 859-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    高分子デキストラン硫酸局注法により高コレステロール血症家兎背部皮内に各種成熟段階の黄色腫病変を作成し,黄色腫組織でのコレステロール代謝を,とくに泡沫細胞内のライソソーム機能およびそれにおよぼす過酸化脂質の影響という面から検討し,以下の結論を得た. 1)高コレステロール血症性黄色腫組織中のコレステロールは,健常組織より増加しており,とくにコレステロールエステルの増加が著しかった.また病変形成段階で経時的に増加していた. 2)β-グルクロニダーゼ,酸性フォスファターゼ,N-アセチル-β-グルコサミニダーゼの3つのライソゾーム酵素の活性は,高コレステロール血症性黄色腫組織では,健常部に比較して上昇しており,また黄色腫病変が成熟するにしたがい上昇していた. 3)ライソゾームの酸性コレステロールエステラーゼ活性は,高コレステロール血症性黄色腫組織では健常組織より上昇しており,黄色腫病変の成熟にともない活性も上昇していると考えた. 4)高コレステロール血症性黄色腫組織では過酸化脂質量がわずかに増加していたが,黄色腫という病態との直接的関連を示唆する所見ではないと考えた. 5)過酸化脂質が黄色腫組織のライソゾーム機能に影響を与えている所見は得られなかった.
  • 野原 正, 鈴木 啓之, 森岡 貞雄, 川生 明
    1983 年 93 巻 8 号 p. 871-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    表皮角層細胞内の Deoxyribonuclease (DNase) の局在を免疫組織化学(酵素抗体法)を用いて検討した.材料はヒト正常皮膚を用いた.抗原にウシ肺由来 DNase を用いて抗血清を作成し,染色に供した. その結果 DNase は,角層内に塊状に局在することが,光頭ならびに電顕的に明らかとなった.さらに垂直断と水平断の電顕所見からDNase は角層細胞中央に扁平な円盤状の集塊として局在すると考えられた. ケラチノサイトが角化し,顆粒層で核を失なうとともに DNA はすべて分解され,核は消失する.この DNA 分解に働いた DNase は角層細胞の中央,おそらくは核のあった部分に塊状に残存していることが明らかとなった.
  • 四本 秀昭, 下川 優子, 野元 茂, 田代 正昭, 酒井 和彦
    1983 年 93 巻 8 号 p. 875-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    皮膚悪性リンパ腫27例(成人 T 細胞白血病,リンパ腫7例,菌状息肉症5例を含む)の HLA 抗原を調査した.推計学的に有意差の認められた抗原はなかったが,B40 が悪性リンパ腫患者13例 (48.1%) にみられ,対照群におげる B40 の出現頻度 (26.4%) に比較すると患者群で多くみられる傾向にあった (RR≒2.58,χ2≒4.00, p<0.05).
  • 1983 年 93 巻 8 号 p. 877-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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