妊娠中に急性増悪した汎発性膿疱性乾癬を2例報告する.症例1:19歳,女性.5年前より尋常性乾癬を発症したが,膿疱化の既往はない.2005年11月,第1子妊娠28週から腹部に膿疱を伴う角化性紅斑が出現し,全身へ拡大した.高熱と高度の炎症反応を認め,プレドニゾロン(PSL)30 mg/日の内服を開始した.以後,皮疹の新生を繰り返すも全身症状の軽減に伴いPSLを漸減した.妊娠36週(PSL 15 mg/日)で前期破水し,帝王切開にて2,360 gの男児を出産した.出産後に皮疹が一時軽快し,PSLを終了したが,4カ月後の再燃時にはシクロスポリンA(CyA)の単独投与を開始した.症例2:35歳,女性.生後3カ月頃に膿疱性乾癬を発症,CyA 2.5 mg/kg/日で治療中に妊娠した.妊娠20週頃から高熱と膿疱を伴うびまん性の角化性紅斑が体幹に出現し,CyAを4 mg/kg/日まで増量したが反応性に乏しく,PSLの併用(50 mg/日まで増量)にて症状は穏やかに軽快した.その後,妊娠39週(PSL 10 mg/日,CyA 4 mg/kg/日を内服中),経腟分娩にて3,098 gの健康な男児を出産した.産後,皮疹は一過性に再燃したが治療内容の変更なく数日で軽快した.以後,PSLは漸減終了し,CyAで治療継続している.自験2例ではCyAやPSLによる薬物治療介入と胎児毒性や催奇形性,流産との関連は認めなかった.同症の本邦報告例の集計とともに妊婦の活動性の高い膿疱性乾癬を治療する際の問題点について考察する.
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