日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
86 巻, 14 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 前川 嘉洋
    1976 年 86 巻 14 号 p. 917-
    発行日: 1976年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    ラット背部毛を抜去し,実験的に一定の毛周期を作った後,成長期,退化期および休止期の真皮ダリコサミノグリカン (GAG) を定量し,一方同部毛包周囲の肥満細胞数を算定し,毛周期による GAG と肥満細胞数の動きを観察した. GAG (ウロン酸値)は成長期の6日目に最高値を示し,退化期になると著明に減少し,休止期では退化期とほぼ同量の GAG が定量された. GAG 分画では 0.5M 分画はヒアルロン酸, 1.25M 分画はコンド)イチン硫酸, 2.0M 分画はヘパリンと同定され,このうちヒアルロン酸は成長期に最も多く,総 GAG とほぼ同じ動きを示した。肥満細胞は成長期に多数存在したが,成長期後期から著明に減少し,退化期,休止期ではいずれも低値であった。
  • 小澤 明, 大城戸 宗男, 松尾 聿朗, 新妻 寛, 中野 政男, 辻 公美, 能勢 義介, 伊藤 元明, 加藤 俊一, 木村 三生夫, 山 ...
    1976 年 86 巻 14 号 p. 929-
    発行日: 1976年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎とそれに合併する気管支喘息,アレルギー性鼻炎の3疾患の免疫遺伝学的関係について,ヒト白血球抗原(HLA 抗原)を用い検討した.まず,アトピー性皮膚炎100例(気管支喘息合併例44例,アレルギー性鼻炎合併例31例)と患者宗族35家系および対照として健康正常人355例の HLA 抗原検査を行った.また,同時にアトピー性皮膚炎71例の lgE 値を測定し,lgE値とHLA抗原との関係を検討したに 1.統計遺伝学的解析で,健康正常人に比べ,アトピー生皮膚炎では HLA-BW40 か高頻度に出現 (p<0.05 ),気管支喘息を合併する群では HLA-B12 が有意に出現し (p<0.05) ,アレルギー性鼻炎を合併する群では,HLA-BW40 が統計学的には有意の差はないが,比較的高頻度に出現した.なお,以上すべての患者群で HLABW15 は1例も出現しなかった(p<0.05). 2.宗族調査で,アトピー性疾患と HLA 抗原の linkage は認めなかったが, HLA-B12, HLA-BW40 のいずれか,または両方を持つものでは,アトピー性症状を有することが多く (52.3%) ,濃厚な遺伝関係を認めた.なお,宗族調査を行った宗族(患者を除く総宗族人員72例)でも HLA・BW15 を有するものはなかった. 3.アトピー性皮膚炎71例の lgE 値を測定し, 1,000u/ml で2群に分けて HLA 抗原出現頻度を比較したが,有意差は認められなかった.また, 600u/ml, 2,000u/ml などの段階で分けても有意差はでなかった.これより,アトピー性皮膚炎における lgE 値を規定するのは HLA 抗原でないと考えた. 4.以上の結果につき種々考案し,アトピー生皮膚炎とそれに合併する気管支喘息,アレルギー性鼻炎の3疾患の免疫遺伝学的関係は, HLA 抗原からみて次の①,②のいずれかか,または両者の関係が考えられた.①アトピー生皮膚炎(特定抗原ない,気管支喘息 (HLA-B12 ),アレルギー生鼻炎 (HLA-BW40,統計学的には有意差がないが,高頻度)は,それぞれ別の HLA 抗原とassociate している.② いっぽう,3疾患が疾患抵抗性抗原とも呼べる同一抗原 (HLA-BW15) と associate している可能性もある.
feedback
Top