日本皮膚科学会雑誌
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119 巻, 8 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
  • 古江 増隆, 佐伯 秀久, 古川 福実, 秀 道広, 大槻 マミ太郎, 片山 一朗, 佐々木 りか子, 須藤 一, 竹原 和彦
    原稿種別: 日本皮膚科学会ガイドライン
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1515-1534
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
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    Standard guideline for management (diagnosis, severity scoring and therapy) of atopic dermatitis (AD) is established. In this guideline, the necessity of dermatological training is emphasized in order to assure the diagnostic skill and to enable to evaluate the severity of AD. The present standard therapies for AD consist of the use of topical steroids and tacrolimus ointment for inflammation as well as emollients for dry and barrier-disrupted skin as the first-line topical applications, systemic anti-histamines and anti-allergic drugs for pruritus, avoidance of apparent exacerbating factors, psychological counseling, and advice about daily life. Tacrolimus ointment (0.1%) and its low density ointment (0.03%) are available for adult patients and 2-15 year old patients, respectively. The importance of correct selection of topical steroids according to the severity of the lesion is also emphasized. Deliberate use of oral cyclosporine for severe recalcitrant adult AD is also referred.
皮膚科セミナリウム 第51回 膠原病1
  • 藤本 学
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第51回 膠原病1
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1535-1542
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は線維化と血管障害の二つの病態からなる自己免疫疾患である.SScは非常に不均一な疾患であり,軽症例から重症例まで様々で,症状も症例毎に差があり,皮膚硬化の範囲からlimited cutaneous SScとdiffuse cutaneous SSc(dcSSc)の2型に分類される.SScの典型例の診断は容易であるが,早期例や軽症例を見落とさないことが大切である.SScの診断にあたっては,手の所見が重要であり,特に爪上皮出血点とPIP関節の皺が,それぞれ血管障害と線維化の最も鋭敏な指標となる.SScの病型や出現しやすい症状は,特異抗核抗体と密接に相関する.抗トポイソメラーゼI抗体,抗セントロメア抗体のほか,抗RNAポリメラーゼ抗体,抗Th/To抗体,抗U3RNP抗体が重要である.SScの治療にあたっては,病型と病期を把握することが重要であり,早期のdcSScには副腎皮ステロイド内服が考慮される.そのほかに,個々の症例にあわせたきめこまやかな対症療法が必要である.
  • 衛藤 光
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第51回 膠原病1
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1543-1551
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    MCTDは全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE),強皮症(systemic sclerosis;SSc),多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis;PM/DM)にみられる臨床症状や検査所見が混在し,血清中に抗U1-RNP(ribonucleoprotein)抗体がみられる疾患である.皮膚症状やいくつかの臨床症状に特徴がある.肺動脈高血圧症(pulmonary artery hypertension;PAH)が予後を左右する因子として重要である.PAHを伴う抗U1-RNP抗体陽性例は,臨床所見が十分に揃っていなくとも本症を疑う.本症の独立性に関しては,国によりやや考え方に差がある.
  • 常深 祐一郎
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第51回 膠原病1
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1553-1561
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    成人スティル病は,発熱,関節症状,皮疹を主要症状とする全身性炎症性疾患である.特異的な所見があるわけではなく,いくつかの臨床症状・検査所見から疑い,他の疾患を除外することによって診断する.フェリチン上昇が有名であるが,最近フェリチンのglycosylated fractionの著明な低下が診断的価値があるとする報告がなされている.診断に際しては,いくつかの診断基準が参考となる.皮疹は,発熱と共に初発症状となることが多く,診断的価値が高い.一般に定型疹が有名であるが,種々の非定型疹があり,われわれ皮膚科医にとっては重要である.治療は,ステロイドを中心として,NSAIDや免疫抑制剤が用いられ,生物学的製剤の有用性も明らかになってきている.
原著
  • 堺 則康, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1563-1568
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    日本医科大学病院皮膚科において,1997年から2003年までにアナフィラクトイド紫斑と診断した21症例を対象とし,発症時の血中第XIII因子値と,臨床像・検査所見とを比較検討した.全21例(男性10例,女性11例)のうち,血中第XIII因子の低下がみられたのは8例(38.1%,男性4例,女性4例)であり,低下群の平均年齢は34歳,正常群では43歳であった.低下群の紫斑の範囲は,両下肢のみが3例(50%)(正常群64.3%),上肢および下肢1例(16.7%)(正常群7.1%),四肢および躯幹は2例(33.3%)(正常群28.6%)であった.関節症状が認められたのは62.5%(正常群33.3%),腹部症状のあったのは25.0%(正常群23.1%)であった.低下群では,経過中に顕微鏡的血尿を認めたのは50.0%(正常群27.3%),蛋白尿は87.5%(正常群36.4%)であり,尿異常所見は,正常群より高率に認めた.以上の結果は,APにおいて血中第XIII因子の低下は腎症状発症の予測因子であることを示唆している.
  • 久保田 由美子, 石井 則久, 徳丸 良太, 中山 樹一郎
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1569-1577
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    角化型疥癬では患者が落とす1片の鱗屑に多数のヒゼンダニが含まれており,患者との直接接触がなくとも,居室内などに散在する鱗屑を介して疥癬の感染が成立する.2005年12月から当院内科に約1カ月間入院していたATLの男性患者が退院後,角化型疥癬であることが判明した.2006年2月頃より,内科病棟の入院患者で退院後,瘙痒と全身の皮疹で皮膚科外来を受診し,疥癬と判明した患者が相次ぎ,同年7月までに17名となった.疥癬発症者の全員が免疫低下状態であり,発端者と同じ期間に入院していたことが判明した.感染の可能性のある期間は1~33日(平均17.4日),疥癬の診断がつくまでの期間は1~6カ月(平均3カ月).男性11名,女性6名で発端者と病室が同じ者はいなかった.発端者とは別に角化型疥癬を発症した白血病患者では9カ月後,他院で集団感染の新たな発端者となった.はじめの発端者に関連した医療従事者への感染は2名で計19名の院内集団感染となった.また家庭内感染は9名であり,そのうち同居していた3名は再発を繰り返した.免疫低下患者は基礎疾患や種々の皮疹を合わせもつことが多く,臨床的には疥癬と鑑別することは難しいが,皮膚疾患診療時には常に疥癬の可能性を考え,ダーモスコピー検査をするとともにKOH検査でヒゼンダニの検出に努めるべきである.
  • 横井 彩, 安齋 眞一, 真鍋 求, 梅林 芳弘
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1579-1583
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
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    73歳,女性.8年前からある右母指の結節にて受診した.初診時,右母指末節部に,20×15 mm大,半球状の結節あり.病理組織学的に,真皮から皮下組織にかけて,被膜を有さない比較的境界明瞭な腫瘍病変が存在した.腫瘍は粘液腫様間質と,間質内に増生する紡錘形ないし星芒状の線維芽細胞様細胞により構成されていた.腫瘍内部ではマスト細胞が増数していた.免疫組織化学的に,腫瘍細胞は,CD34,vimentinに陽性所見を示した.Superficial acral fibromyxomaは,指趾とりわけ母趾に好発する稀な良性腫瘍である.
  • 竹内 藍子, 前田 晃, 小林 桂子, 金子 夏美, 新谷 洋一, 山本 あい, 山口 裕史, 森田 明理
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 8 号 p. 1585-1589
    発行日: 2009/07/20
    公開日: 2014/11/28
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    皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)はその初期においては慢性に経過し悪性度も低いが進行期へ病期が進むと他臓器浸潤など悪性腫瘍としての経過を辿り急激な生存率の低下をみる.従って,CTCLの治療においては早期の段階で如何に進行を遅らせるかが肝要となる.今回我々は菌状息肉症に対するPUVAバス療法の有効性を検討した.当院で2004年から2007年までに経験した菌状息肉症27例につき治療前・治療後の臨床症状,病理組織学的所見,血清中のLDH・可溶性IL2レセプターにおいて比較検討した.その結果PUVAバス療法がのべ48例中39例(81.3%,腫瘤期を除くと86.7%)において著効を示した.またその他の総てのパラメータにおいて有意な改善を認めた.以上の結果よりPUVAバス療法は菌状息肉症の早期治療,進行の抑制に有効であると考えられる.
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