表皮では,基底細胞層で細胞分裂のための核酸合成が常時行なわれていると同時に,角質細胞層では,組織学的に核が消失することからも推測される通り,核酸の崩壊がおこっていることが知られている. そこで,核酸の構成成分である purine nucleotide の分解と,分解産物の base の再利用による合成に関与する酵素群の活性を同時に,モルモットおよびヒト表皮を用いて定量的に測定することを試みた.アイソトープを利用することにより,微量のヒト生検皮膚 homogenate でも酵素活性を定量することができた. Purine nucleotide の分解酵素として,モルモット表皮で AMP deaminase, 5'-nucleotidase, adenosine deaminase,purine nucleoside phosphorylase 活性を,ヒト表皮でAMP deaminase, purine nucleoside phosphorylase,guanine deaminase, xanthine oxidase 活性を定量し得た. Purine nucleotide 合成の salvage 系路としての酵素 purine phosjdioribosyltransferase 活性は,モルモット,ヒト表皮共に存在し,表皮内には purine nucleotide の分解産物の base を貨利用して nucleotide を生成する機構の存在することが明らかとなった.
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