1999年~2005年の7年間に新潟県立がんセンター皮膚科でダーモスコピー写真を撮影保存した皮膚病変1,480例の内,切除により組織診断を確認した974例を対象として,悪性黒色腫,基底細胞癌の臨床診断精度につき検討した.ダーモスコピーを用いた悪性黒色腫の診断感度は91%(69/76例),診断特異度は99%(886/897例)で,基底細胞癌は感度92%(156/170例),特異度97%(780/803例)であった.偽陰性症例としては,悪性黒色腫,基底細胞癌のいずれも脂漏性角化症と過小診断した例が多かった.当科におけるダーモスコピー導入前7年間の肉眼所見のみによる臨床診断感度との比較では,悪性黒色腫,基底細胞癌のいずれにおいてもダーモスコピー導入後に有意な感度の向上を認めた.ダーモスコピーは,色素性病変における悪性黒色腫,基底細胞癌の臨床鑑別診断に高い有用性を示すことが確認された.
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