日本皮膚科学会雑誌
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113 巻, 9 号
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生涯教育講座
  • 天野 正宏, 黒川 基樹, 緒方 克己, 瀬戸山 充
    原稿種別: 生涯教育講座
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1391-1398
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    Human T-lymphotropic virus type I (HTLV-I) is etiologically linked with adult T cell leukemia lymphoma (ATLL) and HTLV-I associated myelopathy/tropical spastic paraparesis (HAM/TSP). The diagnostic criteria and classification of clinical subtypes of ATLL were proposed by Shimoyama in 1991. They are referred to as acute, chronic, lymphoma, and smouldering types of ATLL. The final diagnosis of ATLL is made by the demonstration of HTLV-I proviral DNA in peripheral blood, lymph nodes, and skin. ATLL commonly involves the skin in up to 50% of patients. The skin manifestations of ATLL are markedly varied. Dermatologists should investigate whether abnormal lymphoid cells are involved in the skin lesion with biopsies. The smouldering type of ATLL with skin manifestations does not always have a better prognosis than the smouldering one without skin involvement. The standard chemotherapy for acute and lymphoma types of ATLL has not been established and the prognosis for each type is very poor. However, fair results using allogenic-hematopoietic stem cell transplantation (allo-HSCT) to treat the acute type of ATLL have been recently reported by some authors. It is likely that allo-HSCT can improve the survival in ATLL patients in the future.
原著
  • 前島 英樹, 嶋村 祐美, 齊藤 和美, 原田 晴美, 衛藤 光
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1399-1405
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    膿疱性乾癬患者に生じた水疱を伴った多型滲出性紅斑型薬疹の1例を報告した.症例は66歳,女性.10年前に膿疱性乾癬を発症した.今回,2000年5月頃より上半身に膿疱を伴う環状の紅斑が出現.塩酸ミノサイクリンとエトレチナートの内服,ジクロフェナクナトリウムの投与を開始したところ,上半身の膿疱が消失した後に下肢に緊満性の水疱を伴う紅斑が多数出現した.組織では真皮浅層の浮腫と好酸球の浸潤を認め,免疫蛍光抗直接法では表皮および表皮真皮境界部は陰性であった.薬剤リンパ球幼弱化試験では塩酸ミノサイクリンとジクロフェクナトリウムで陽性の所見を示した.上記2薬剤のいずれかまたは,両者による多型滲出性紅斑型薬疹と考えた.膿疱性乾癬患者に水疱が出現することは報告されている.しかし,膿疱性乾癬患者に水疱を伴う薬疹をおこした症例は,現在に至るまで報告されていない.
  • 佐藤 晴香, 安齋 眞一, 米田 耕造, 井上 多恵, 岡田 理, 本田 耕平, 佐藤 典子, 出光 俊郎, 真鍋 求, 茆原 順一
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1407-1413
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    47歳,女性の下肢に生じたWells症候群の一例を報告した.病変は両側下肢の蜂巣織炎ではじまり,その後硬性浮腫・紅斑・水疱・紫斑が観察された.組織学的に真皮中~下層にかけて好酸球の著明な浸潤と,いわゆるflame figureが観察された.本症の病態に好酸球の活性化が関与することが推察されており,好酸球上の接着分子とケモカイン受容体の発現を検索したところ,好酸球表面上に発現しているCR3,LFA-1,IL-2Rの発現と病勢の推移との間に密接な関連があることが示唆された.
  • 阿部 理一郎, 横田 浩一, 松村 哲理, 川嶋 利瑞, 清水 忠道, 荻原 愛, 伊藤 志畝, 萬木 ゆき江, 寺江 憲子, 清水 宏
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1415-1421
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    北大皮膚科では2000年3月からアトピー性皮膚炎の教育入院プログラムを開始した.同プログラムに参加した患者100名に対し,入院中に治療と平行して医師,看護師からそれぞれ,正しい疾患の理解,適切な外用剤の使用方法,日常生活における注意点などの説明,実地教育を行った.プログラムに参加した患者に対して入院の前後および退院3カ月後に行ったアンケート調査の結果を解析し,教育入院の効果,患者の満足度について考察した.その結果,ほとんど全ての患者で皮疹が改善した(‘著明改善’36%,‘改善’61%).入院時検査にて好酸球数,IgE値と重症度は相関しなかった.アンケート調査からは入院時,多くの患者は疾患に対する理解度が高くないと思われた.また患者の希望で最も強いものはかゆみをとることであった.退院時ではほとんどの患者が本プログラムに満足し,疾患に対する理解度も高まった.退院後3カ月でも,軟膏外用や入浴などは正しくできているが,かゆみに対する対処や掃除に関してはやや後退がみられた.アンケート調査により,教育入院のもたらす効果は,患者の疾患への理解度,治療の満足度を向上させることが明らかとなり,この効果により,不適切な治療を受けていた患者でも,適切な治療で維持が可能となると考える.これらの結果から,アトピー性皮膚炎の教育入院プログラムは,患者のquality of lifeの向上へ繋がり,啓発活動としても意義のある取り組みであることが再確認された.
  • 新井 達, 高須 博, 勝岡 憲生, 太田 幸則, 志賀 剛
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1423-1430
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    内臓合併症を伴わない悪性萎縮性丘疹症の長期観察例(53歳,女性)を報告すると共に,本邦報告例38例について集計,検討を行った.自験例は,初診後現在までに約7年を経過するが,消化管病変や脳血管病変などの致死的な内臓合併症はみられていない.皮疹は,ジピリダモール75 mg/日の内服に加え,経過中見出された糖尿病に対して運動療法を施行したところ,より一層改善傾向を示した.自験例の如く内臓病変を伴わない本症の報告は,自験例も含めて10例あり,その特徴について文献的考察を加えた.
  • 中川 浩一, 吉田 慶子, 石井 正光
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1431-1436
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    患者は9カ月・女児で,背部に出生時より存在する,大きさ8×9 cmで,ほぼ菱形の萎縮局面を主訴に来院した.皮疹は全体に皮表より4~5 mm陥凹し,紅色から茶褐色を呈していた.家族歴,既往歴に特記すべきことはなく,上記病変以外に異常な身体所見はなかった.生検標本のHE染色では,表皮に異常なく,真皮乳頭層以下に膠原線維束の幅が太くなって均質化している所見が認められた.Elastica van Gieson染色では,真皮乳頭層の弾力線維,いわゆるoxytalan fiberはほぼ消失し,乳頭下層から網状層にかけてはelaunin fiberおよびelastic fiberの分裂・細断が観察された.さらにその下層では,elastic fiberがほとんど認められず,わずかに,血管周囲に細い弾力線維の残存が認められるのみであった.限局性弾力線維形成不全と診断し,文献的考察を加えた.
症例報告
  • 掛水 夏恵, 福山 圭子, 毛利 忍
    原稿種別: 症例報告
    2003 年 113 巻 9 号 p. 1437-1442
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    80歳男.左手関節背面に発赤・腫脹・熱感をともなう暗紅色調浸潤局面を認め,1部に膿瘍を形成.上腕にも熱感をともなう紅色の皮下硬結を数個認めた.所属リンパ節の腫脹はない.切開排膿を行い,黄白色の膿汁の流出をみた.cefazolin sodium(CEZ)・azithromycin(AZM)併用し発熱は消失したが,局所の腫脹は拡大した.抗生剤をlevofloxacin(LVFX),minocycline hydrochloride(MINO)に変更.その後著明に軽快し,ほぼ略治となった.膿汁の培養・組織培養より,Nocardia. Brasiliensisを分離した.血液学上免疫不全なし.他臓器に所見を認めなかったため原発性皮膚ノカルジア症(皮膚リンパ型)と診断した.臨床的にリンパ管型スポロトリコーシスや非結核性好酸菌症を疑う症例は皮膚ノカルジア症を鑑別として念頭におくべきと考えられた.
学会抄録
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