日本皮膚科学会雑誌
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75 巻, 3 号
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  • 堀 嘉昭
    1965 年 75 巻 3 号 p. 161-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    数十年来母斑細胞母斑(或いは色素細胞母斑)の病理発生に関して数多くの学説が提起されて来たが,病理組織学的研究によれば,誤つた将来性(prospective Po-tenz)を与えられた神経櫛起源性要素から発生し,個々の母斑細胞は,メラノサイトに類似のものもあれば,Schwann細胞に類似のものもあるが,完全にはメラノサイトにもSchwann細胞にもなりきつていないものと考えられる.この説は,海外においても引用もしくは賛成され,またPinkus及び三島は,さらに一歩進めてnevoblastという詞を作つた.すなわち,Pinkus及び三島は,「母斑細胞は一般的にいつて,成熟したメラノサイトの変性したものではないように思われる.母斑細胞は,nevoblastすなわち異常に分化した神経外胚葉性細胞(neuroectodermal stem cell)から胎生期に分離したものである」と述べている.Lund及びKraus(1962)も,腫瘍性の色素細胞すなわち色素細胞母斑及びメラノームの色素細胞は,おそらくメラノサイト,或いは,発生学的にその前段階のものを起源としていると考えられる.すなわち,メラノサイトは神経櫛由来のものであると考えられるから,母斑細胞も同様神経櫛起源であると考えられ,そして,母斑細胞が神経様の組織学的特性を示すのは,一に,皮膚において,色素性と,神経性の特性を持つところの極めて発生学上原始の,或いは,未だ分化前の外胚葉細胞から発展して来たものとして,或いは,二に,色素性と,神経触覚性及び,毛嚢性組織の同時的な器官過形成として説明されようと述べている.本研究では,母斑組織の病理組織標本の所見と,組織培養(または体外培養ともいう)によつて認められた細胞の形態及び態度とを比較検討することにより,その病理発生に関する考察を試みた.
  • 露木 重明
    1965 年 75 巻 3 号 p. 195-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    特別な条件下に光線が皮膚に種々の病的反応を起すことは古くから知られ,1929年にHausmannはその発生と経過が密接に光線の照射と関連を有する皮膚疾患を総括して光線皮膚症Llchtdermatoseと総称することを提唱した.爾来多数の疾患がこれに包括される一方,これを発症原因別に分類する試みがなされた.これらの分類の根拠はすべて光線の病的因子ないしは病的な強さの有無,および個体側に先天的ないしは後天的な光線に対する病的感受性が存在するかどうかという2点によつている.したがつて従来の研究の方向もこれらの面に向けられて来たが,1,2の疾患を除いてはその発症病理はまだ明らかにされていない.病因光源については,紅斑を指檻として最大効果を現わす波長の検討がなされているが,諸家の報告はまちまちで一定しない.Wulfは病的因子としての光線は殆んど絶対的に日光に起因するものであるから.人工光源は実際問題として大きな意義をもたないといい, むしろ日光の照射量が問題とされているようである.個体側の感受性の問題は,1900年Eaabが光線照射によりacridine溶液中のparameciumが死亡することを観察し,生体に対する光線感作性物質の存在を認めたのが研究の端緒である.Tappeinerは生体が光線感作性物質の存在により,生理的な光線の化学作用により強い反応を示す機構に対して光力学的作用photodynamic actionなる名称を与えた.その後多数知られるに至つた光線感作性物質の中でもポルフィリンについてはHausmann,Fischer, Guntherらにより充分研究され,またその臨床的,実験的研究もGuntherの先天性ポリフィリン尿症の研究以来多数報告されている.光力学的作用の研究はさらにかかる機構の反応の場,およびその光化学的作用の面に推し進められ,1887年Ehrlichにより記載された肥胖細胞の光力学的作用への関与のいかんがとりあげられ,細胞を中心とした光化
  • 1965 年 75 巻 3 号 p. 209-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
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