日本皮膚科学会雑誌
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105 巻, 10 号
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  • 1995 年 105 巻 10 号 p. 1297-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 高橋 慎一, 新関 寛徳, 福田 知雄, 多島 新吾, 西川 武二, 大谷 昌, 森 守
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1301-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    限局性強皮症25例,全身性強皮症19例,その他の膠原病およびベーチェット病8例,さらに陰性コントロール群としてその他の皮膚疾患23例,正常人14例について蛍光抗体法による血中抗Borrelia burgdorferi IgG抗体,一部の症例においてはIgM抗体の検索も行った.その結果,陰性コントロール群37例において全例40倍以下(平均10.2倍)であったので抗体価80倍以上を陽性と判定した.その結果,限局性強皮症,全身性強皮症においては,血中抗Borrelia burgdorferi IgG抗体はそれぞれ6例(24.0%),4例(21.1%)の症例で陽性であった.その他の膠原病およびベーチェット病群では全例陰性であった.また,抗Borrelia burgdorferi IgM抗体においても同様に限局性強皮症群20例中3例(15.0%)で陽性であった.限局性強皮症群においてその病型と抗Borrelia burgdorferi抗体陽性率との関係をみると線上強皮症でIgG,IgM抗体が高率に検出された.各種検査所見と抗Borrelia burgdorferi抗体の関連については抗Borrelia burgdorferi IgG陽性例で抗核抗体,高IgG,M血症が高率に検出された.しかし,統計学的には有意な差は認められなかった.RAテスト陽性,高IgA血症,低補体血症と抗Borrelia burgdorferi抗体とは相関は認められなかった.今回検索した限局性強皮症患者群において,血中抗Borrelia burgdorferi抗体価が高値を示す例が約1/4の症例で認められ,これらの症例においてBorrelia burgdorferi感染との関連が示唆された.しかし,全身性強皮症においてもほぼ同様の頻度で高値を示す症例が認められたこと,抗Borrelia burgdorferi抗体陽性例で抗核抗体などの免疫異常が比較的高率に検出されることから,限局性強皮症の免疫異常に伴う何らかの自己抗体の交差反応により抗Borrelia burgdorferi抗体価が高値を示したものと考えられた.
  • 平野 眞也, 加藤 則人, 安野 洋一
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1309-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    成人型アトピー性皮膚炎(AD)の重症度を検討する目的で,皮疹の増悪のみられた94名のAD患者の治療開始時における皮疹スコア,検査値,皮疹の罹患期間と治療1年後の皮疹スコアとの相関関係を解折した.治療としては生活指導,保湿性外用剤,ステロイド外用剤,抗アレルギー剤を主体とした.治療1年後の皮疹スコアは,治療開始時の皮疹スコア,LDH値,総IgE値,ダニ,ハウスダスト,カンジダ,米,小麦の特異IgE値,末梢血好酸球数,血清MBP値,体幹,顔面皮疹の罹患期間あるいは増悪期間と有意な相関を示した.治療に要したステロイド外用剤の量は皮疹の程度が中等症の患者群では総IgE値,タニ,カンジダ,米の特異IgE値,血清MBP値に依存していた.また,ADの予後を考える上で重要な白内障を合併した患者では喘息の合併・既往率が高く,顔面皮疹の罹患期間が長く,血清MBP値,総IgE値,ダニ,カンジダの特異IgE値が有意に高かった.以上のことより,成人型AD患者の重症度を判断し,予後を予測する上で,皮疹の程度,アレルギー炎症の程度を反映する検査値,ADの時間的経過は重要な因子であると考えられる.また,治療法の効果を判定する際には治療前の皮疹の程度だけではなくアレルギー炎症の程度も考慮する必要があると思われる.
  • 蜂須賀 裕志, 本田 純子, 森 理, 笹井 陽一郎
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1317-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    円形脱毛症の単発型は容易に治癒するが,多発型および全頭型などは難治性であり,しばしば再発を繰り返す.本症の予後に関しての調査はほとんど行われていない.我々は,1990年から1993年にかけて久留米大学病院皮膚科外来を受診し,当科への通院を中止した円形脱毛症患者197名について,通院中止後の状態についてのアンケート調査を行った.対象は男性84名,女性113名,平均年齢はそれぞれ31歳と36歳であった.円形脱毛症を脱毛斑の数によりAA1(1から5個),AA2(6から10個),AA3(10個以上)に分けると,AA1,AA2,AA3はそれぞれ102例,23例,26例であった.全頭脱毛症で硬毛を有しているもの(AT1)26例,全頭脱毛症でほとんど硬毛の見られないもの(AT2)10例,汎発性脱毛症(AU)7例,蛇行状脱毛症(OPHI)3例であった.カルテの記載より判断した最終診断時の状態は軽快が25%,治癒が10%であった.なお,初診以後数回しか来院せず経過が不明な症例は34.5%であった.患者の当科への通院回数は,脱毛巣が多く広範囲のものにより多かった.通院を中止した理由として「治癒」をあげたものは40.5%あったが,「諦めた」,「面倒」であるとするものも44%みられた.また,治療中止後に再発した症例も多く,半数の症例では現在でも脱毛斑が残存している.これらより,円形脱毛症患者において,本症の病態ならびに治療経過を充分に説明し,治療への意欲を高めるとともに,適切な治療法の選択が重要と思われた.
  • 川端 康浩, 大原 國章, 玉置 邦彦
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1323-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    5例の高齢者皮膚癌患者の治療経験より,その治療上の問題点と対応について考察した.症例1,72歳,女性.手術後老人性痴呆が顕在化した外陰の有棘細胞癌(以下SCC).症例2,80歳,男性.高度は呼吸機能障害を伴った前頭部のSCC.症例3,75歳,男性.前立腺肥大症の手術後尿道狭窄を伴った肛囲Paget病.症例4,67歳,男性.下腹部のSCCと大腸癌の重複癌.症例5,83歳,男性.高度な心機能障害を伴った測頭部のSCCと舌癌の重複癌.高齢者皮膚癌患者の治療では,基礎疾患,全身状態,重複癌,精神的変化,家族関係,退院後の受け入れなど様々な問題点が浮かび上がってくる.これらの問題点をふまえたうえで,QOLの向上ということを常に念頭においた治療を行っていかなければならない.すなわち,原則的には癌の根治を目指すが,根治性にばかり目を奪われ,治療後の患者の生活に大きな障害を残すような結果になってはならない.特に,高齢者にとってQOLとは,決して一律なものではなく,個々の患者の疾患,重症度,人生観,家族関係などによって異なっている.われわれは個々の患者にとってQOLとは何かということを十分に斟酌し,高齢者悪性疾患に対するしっかりとした治療哲学をもって治療に携わっていかなければならない.
  • 矢島 千穂, 熊切 正信
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1329-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    11歳女児.顔面,頸部の多発性,暗赤色の角化性萎縮性局面と四肢,臀部の大小12個の板状皮下結節を認め,臨床像,臨床検査成績,病理組織学的所見,X線単純撮影所見,結石分析結果などを綜合して,リン酸カルシウムを主成分としたdystrophic calcificationを伴った円盤状エリテマトーデス(以下DLE)と診断した.dystrophic calcificationがエリテマトーデス(以下LE)に合併することは比較的に少なく,われわれの調査では,自験例を含めて本邦例20例,外国例を含わせて46例であった.このうち自験例のようにDLEに合併したものはさらに少なく内外合わせて4例を数えるに過ぎない.DLEにおける石灰沈着様式は,皮疹部に続発性に出現する場合と,皮疹部とは無関係な部位に発症する2様式が報告されているが,自験例は同時にこの2様式の石灰沈着症が観察された.LEにおけるdystrophic calcificationの発症機序については,血管炎,膠原線維の変性,ムチン沈着,潰瘍などの先行病変や,ステロイド剤長期内服による皮下脂肪織の変性,壊死にその病因を求める報告が散見され,この考えを支持する報告も多い.しかし,自験例の観察および既報告46例についての文献的考察からは,先行病変がなくとも外的刺激を受けやすい部位に石灰沈着を生じうることが推測された.
  • 良田 陽子, 戸田 憲一, 田中 俊宏, 岡本 祐之, 今村 貞夫
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1337-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    70歳,男.尿管癌(TN4M1,Transitional Cell Carcinoma,Grade 3)の化学療法中,左大腿部に浮腫が出現した.その後,恥骨部から両側大腿部にかけて浮腫と発赤が生じ,浮腫出現8ヵ月後,同部に水疱が出現した.組織学的に尿管癌の皮膚転移と診断された.水疱の位置は表皮内であり,さらに腫瘍細胞が水疱内および水疱を取り囲む表皮内に存在する特異な組織所見を示した.尿管癌の皮膚転移,および転移部での表皮内水疱形成はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
  • 上出 良一, 佐藤 優子, 新村 眞人
    1995 年 105 巻 10 号 p. 1343-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    症例は26歳,女.20歳頃より食事の極端な制限,強制嘔吐,緩下剤の服用により体重が著明に減少し,躯幹,四肢に鱗屑を伴う痂皮,紅斑が出現した.低亜鉛血症,低アミノ酸血症がみられ,神経性食欲不振症に伴う栄養障害性皮疹の診断にて,亜鉛,アミノ酸などを含む高カロリー輸液を施行したところ皮疹は急速に改善した.神経性食欲不振症は慢性の低栄養状態に陥り様々な身体症状,皮膚症状を呈する.本症例にみられた皮疹は腸性肢端皮膚炎様であるが,壊死性遊走性紅斑やkwashiorkorとも類似する点があり,亜鉛欠乏,アミノ酸欠乏を主体とする複合的栄養障害を基盤に,人為的な機械的刺激も加わり生じたものと考えた.
  • 1995 年 105 巻 10 号 p. 1351-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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