日本皮膚科学会雑誌
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109 巻, 7 号
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  • 澤村 大輔
    1999 年 109 巻 7 号 p. 997-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
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    Naked DNA法は,単純にDNAを皮下注するだけで生体表皮細胞に外来遺伝子を導入できる簡単な方法である.我々は,本法を用いて挿入された遺伝子を生体表皮細胞で強力に発現するプロモーター/エンハンサーカセットを見出した.そのカセットを用いてinterleukin(IL)-6の発現ベクターを作成し,naked DNA法を用いてラット表皮細胞に導入し,IL-6の過剰発現により表皮細胞の増殖とリンパ球の浸潤がおこることを明らかにした.さらに,同じ方法でIL-10発現遺伝子を導入し,遺伝子導入細胞から放出された循環中のIL-10が遠隔皮膚に起こる接触過敏反応を抑制することを示している.本法を用いて種々の遺伝子を表皮細胞に導入することにより,その導入遺伝子から産生される蛋白の皮膚や全身での機能を調べることができる.また,発現させた蛋白に対する免疫を誘導するDNAワクチンも可能にする.さらに,皮膚の細胞を標的とする遺伝子治療が可能になり,難治性の炎症・腫瘍・遺伝性皮膚疾患に対する治療の選択がさらに拡がると思われた.
  • 松田 真弓
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1005-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
  • 小沼 博義, 松井 千尋, 諸橋 正昭
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1015-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    表皮の創傷治癒過程の細胞動態を,hairless mouseの背部皮膚に約4mm大の類円形創傷を作製し,Bro-modeoxyuridine(BrdU)で標識後epidermal sheetを作成し抗BrdUモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に染色する方法で平面二次元的に検討した.同時にcyclic AMPの誘導体であるDibutyryl cyclicAMP(DBcAMP)を3%含有する軟膏の創傷治療過程における効果を検討した.再上皮化部でのBrdU-labeling index(BrdU-LI)は基剤塗布群,未処置群ともに非創傷部より高値であったが,2日目以降で徐々に減少傾向を示した.DBcAMP塗布群は2日目より高値を示し5日目にピークに達した後,徐々に減少傾向を示した.2日目から9日目の経過中,他2群に比べいずれも高値であったが,特に2日目から5日目では有意に高値であった.また,創傷周辺部では,開始後2,3日目ではDBcCMP軟膏塗布群は他2群に比べ有意に高値であったが,その後は減少傾向を認めすべての群の間での有意差は見られなかった.DBcAMPは,創傷において表皮細胞の増殖の促進により,創傷治癒を促進する作用を有するものと考えられた.以上,創傷治癒における細胞増殖能を検討する方法として,epidermal sheetを用いた今回の方法は,広範囲かつ多くの細胞を対象としているため,細胞動態の経時的な変化をより詳細にとらえることができ,また定量的評価ができるため有用であると思われた.
  • 梅澤 慶紀, 大井 綱郎, 古賀 道之
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1021-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹は局所症状が主体であり,全身症状を伴うものは少ない.しかし,発熱,嘔吐,頭痛を伴った帯状疱疹性髄膜炎の報告は散見され,稀に全身症状を合併して重症化する事が知られている.今回,帯状疱疹患者71名に対して腰椎穿刺を施行し,髄液所見と臨床的特徴について検討した.その結果,71名中30名(42.3%)に髄液中の細胞数の増多を認め,特に三叉神経領域に生じた帯状疱疹患者22例中16例(72.7%)に有意に多く認められた.また,髄液中のIgGサブクラスについて検討した報告は過去にないので,人免疫グロブリン投与時,非投与時における治療前後の髄液中の細胞数と,IgGのサブクラスであるIgG1,G2,G3,G4を測察した.その結果,髄膜炎現象群において,人免疫グロブリン投与詳は非投与群に比べIgG,の有意な増加が認められ,統計的に有意ではなかったが細胞数の減少を認めた.IgG1はVZVの中和抗体であり,人免疫グロブリンの投与によりIgG1が特異的に髄液中に移行していると思われた.人免疫グロブリンの併用は,VZV中枢神経病変に対して有効な治療方法の1つではないかと思われた.
  • 飯島 茂子, 倉持 美也子
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1029-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    手術・検査後2~3日以内に臀部周囲から腰背部にかけて紅斑を生じた症例を11例経験し,皮膚の外用消毒剤として常用される10%ポピドンヨード液(イソジン■液,10%PVP-I液と略す)による一次刺激性皮膚炎の可能性を強く考えた.これら自験例は,①手術または検査後,早ければ数時間から遅くとも3日以内に発症し,②主として,臀部両外側,大腿後面,腰背部に,③発疹学的に接触皮膚炎様,熱傷様の境界明瞭な浸潤性紅斑~硬結性紅斑で,④時に水疱,びらんを伴うという特徴を有し,⑤消毒範囲と発疹の出現部位に明らかな相関関係を認めた.10%PVP-I液および関連薬剤による貼布試験を施行したところ,48時間後には全例,10%PVP-I液が陽性で,同液オープン試験および10%PVP-I液+8%チオ硫酸ナトリウム液は陰性であり,この結果は一次刺激性皮膚炎に一致した.しかし96時間後には,1例において10%PVP-I液+8%チオ硫酸ナトリウム液が陽転したことから,この症例ではアレルギー反応も重なっていると考えた.また,接触皮膚炎の既往のない対照者に多量(約40μL)の10%PVP-I液による貼布試験を行ったところ,2~8時間後には全例陽性となった.本論文では,術前・検査前に皮膚の消毒剤として汎用される10%PVP-I液を乾燥せずに比較的長時間,皮膚に接触させていると,一次刺激性接触皮膚炎を生じる可能性が高いことを報告し,その貼布試験の基準が未だ明確にされていない現状や我々の考案した方法の妥当性についても言及した.
  • 伊部 美葉, 川瀬 正昭, 石地 尚興, 新村 眞人
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1043-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
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    Polymerase chain reaction(PCR)法でヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus,HPV)6型と16型が検出された外陰部病変を呈する24歳女性例において,in situ hybridization(ISH)法で各HPV型の組織内の分布を確認することができた.病変は会陰,肛門周囲に表面白く浸軟し乳頭状に隆起する褐色局面と表面平滑な黒褐色結節が集簇する病変で,臨床的にボーエン様丘疹症(bowenoid papulosis,BP)あるいは尖圭コンジローム(condyloma acuminatum,CA)と考えられた.病理組織像は表皮が連続性に肥厚し,空胞化細胞が多数認められたCAに一致する組織像と,表皮細胞の異型性が目立ったBPに一致する組織像とが不規則に混在していた.ISH法にてHPV-6/11型のプローブでは組織学的にCAと考えられた部位の空胞細胞の核のみが陽性を示し,HPV-16/18型のプローブではBPに一致する部位の異型細胞の核のみが陽性を示した.以上の結果から複数のHPVが粘膜に感染した場合でも一つの病変を形成しうるが,両者は一つの細胞に同時に感染しているのではなく,別個の細胞に感染し,それぞれのHPVの型に対応して独自の組織像をとると考えられた.
  • 鈴木 正之, 小堀 洋一, 平賀 剛, 村田 哲, 中川 秀己
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1049-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    症例1.73歳女.約半年前より摂食時にしみる感じがあった.初診時,口腔粘膜,咽喉頭に水疱,びらんを認めた.後に眼球結膜と,眼瞼結膜の癒着が認められた.症例2.68歳女.約3年前より食餌の際に疼痛を感じた.初診時,口腔粘膜,咽喉頭に水疱,びらんを認めた.組織学的所見では両症例とも粘膜上皮下水疱であった.免疫組織学的所見は直接法にて両症例とも口腔粘膜,皮膚の基底膜部にIgGとIgAの線状沈着が認められた.蛍光抗体間接法では主としてIgA typeの抗基底膜部抗体が認められた.1MNaCl剥離皮膚では水疱蓋にIgAの沈着が認められた.IgAに対する抗原の分子量を免疫ブロット法にて検討した結果230kDaのところにbandが認められた.類天疱瘡抗原(BPA)のBPA-1とBPA-2のエピトープを含む蛋白に対するELISAを行ったが正常血清と有意な差は認められなかった.治療はプレドニゾロン投与にて症状は軽快した.
  • 杉之下 素子, 北村 三和, 前川 典子, 黒川 一郎, 為政 大幾, 細川 宏, 堀尾 武
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1055-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    骨髄異形成症候群に伴い,非常に重篤な皮膚症状を呈したNeutrophilic dermatosisの一例を経験した.症例は34歳,女性.平成6年6月頃より,顔面,体幹に毛嚢炎様の皮疹が出現,近医にて抗生剤,ステロイド内服治療を受けたが徐々に増悪し,発熱を伴ってきたため平成7年6月,当科に入院した.初診時顔面にカキ殼状の厚い痂皮と血痂が付着し,その下に隆起性紅斑と黄白色の肉芽腫様の腫脹を認めた.前腕には周囲に浸潤性紅斑を伴うびらん面を認めた.病理組織像では,真皮全層に好中球の密な浸潤を認めた.皮疹は浸潤性紅斑,膿疱形成,びらん,肉芽腫様腫脹という経過をたどり,下肢にも拡大した.経過中末梢血に芽球の出現が見られ,骨髄穿刺の結果,骨髄異形成症候群と診断された.治療は抗生剤,レチノイド,メソトレキセート,DDS,コルヒチン,Ara-Cには反応せず,ステロイドパルス療法が著効した.自験例はNeutrophilic dermatosisの重症例と考えられた.
  • 鈴木 かやの, 木村 陽一, 畑 三恵子, 伊東 文行
    1999 年 109 巻 7 号 p. 1061-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
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    アトピー性皮膚炎(AD)患者78名にAlaSTAT法を用いて黄色ブドウ球菌外毒素(staphylococcal enterotoxin A,B以下SEA,SEB)に対する特異的IgE抗体の測定を行い,重症度別に検討し,統計的考察を加えた.重症度を皮疹の症状と9の法則に基づいた範囲との積でスコア化し(0~300),重症(150以上)18名,中等度(50~149)34名,軽症(50未満)26名に分類した.コントロール群として本人および家族にアトピー素因がなく,測定時に皮疹のない健常群13名を用意した.抗SEA・SEB抗体,総IgE値とも重症度に相関しており,統計的有意差を認めた.また,IgE20以下の極く低値を示す症例や,コントロール群でも陽性例を認めた.重症例に対して細菌培養を行ったところ,全例細菌培養陽性で,そのうちStaphylococcus aureusが検出された全例が抗SEAもしくはSEB抗体陽性であった.また抗SEA・SEB抗体陰性の2例は,細菌培養の結果検出されたのはStaphylococcus epidermidisであった.また参考としてstaphylococcal scaled skin syndromeの症例と,黄色ブドウ球菌の二次感染を伴った水痘の症例について検討したところ,抗SEA・SEB抗体が陽性となり,アトピー性皮膚炎例に限らず,黄色ブドウ球菌感染に伴い,これらの外毒素に対してアレルギーの機序が関与する症例の存在が示唆された.
  • 1999 年 109 巻 7 号 p. 1065-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
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