ロドデノール誘発性脱色素斑とは,メラニン生成抑制物質であるロドデノール2%配合製品の使用部位に生じた脱色素斑をいう.全国疫学調査からは,本症発症と関連性を有する既往歴や職業歴は認めなかった.ロドデノールのパッチテスト陽性率は15%であり,接触アレルギーが本症の直接的な発症要因ではないと考えた.臨床所見のみでは,本症を尋常性白斑と鑑別することは困難である.
ロドデノール含有化粧品により脱色素斑が誘発されたという報道から3年が過ぎようとしている.日本皮膚科学会は全国の皮膚科医の協力により3回にわたる全国疫学調査を施行した.その結果,脱色素斑は自然回復する例が多いものの,回復が遅く難治な症例,RD非塗布部に脱色素斑を生じた症例などの存在も明らかとなった.本稿では,すでに本誌で報告した疫学調査結果に沿って脱色素斑の実際の臨床経過や治療について解説する.
ロドデノール(RD)誘発性脱色素斑の生化学的な発症機序の解明を目指した.RDはマッシュルームおよびヒトチロシナーゼの良好な基質となり,細胞毒性を持つオルトキノン体を生成することを明らかにした.次いで,B16マウスメラノーマ細胞を用いてin vitroでの代謝を調べたところ,RD投与群ではRDフェオメラニンが検出され,さらに,RDキノンとSHタンパクとの結合体が高濃度で検出された.これらの代謝物および代謝過程で生成する活性酸素がRDのメラノサイト毒性を誘導しているものと推測される.
症例:50歳,女性.右腋窩から肩甲骨面にかけて皮下腫瘤があり,同時に末梢血好酸球増多とネフローゼ症候群を認めた.皮下腫瘤はAngiolymphoid hyperplasia with eosinophilia(ALHE)様の病理組織像を呈していた.腎臓と皮膚にIgG4陽性形質細胞の浸潤を認め,最終的にIgG4関連疾患と診断した.IgG4関連疾患とALHEは,Th2サイトカインの関与する病態であることで共通しており,自験例はIgG4関連疾患の皮膚症状としてALHE類似病変が出現したと推測した.