前報では,組織培養がマウス表皮Langerhans細胞に及ぼす影響を検討し,①細胞膜表面のIa抗原量が著しく増加した,②in vitro allo-CTL誘導における抗原提供細胞(APC)機能が著しく亢進した,③従来全く認められなかったマウス尾のCTL誘導におけるAPC機能が“復活”し,尾LCもCTL誘導能を持つことが初めて証明された,という結果を得た.組織培養が表皮LCの機能に及ぼす影響を検討する上で,今回はその培養条件,組織培養後LCの機能的特性について次のような所見が得られたので報告する.(1)培養液成分の影響を検討したところ,10%FCS加RPMI1640のみの簡易培養液でもAPC機能は著明に亢進した.(2)培養期間は,表皮・真皮シートの状態で培養し3日≒2日≫1日>無培養となり,2日以上でLCのAPC機能は有意に亢進することがわかった.(3)培養形態は,表皮・真皮シートの状態でpre-cultureした場合の方が,単細胞化後pre-cultureした場合よりも有意にAPC機能が亢進し,単細胞化した場合でも真皮シートを添加して培養することにより,APC機能亢進は表皮・真皮シートの培養と同程度あるいはそれ以上となることがわかった.(4)培養LCのAPC機能は,UVB照射,(抗Ia抗体+補体)処理によって完全に消失した.したがって今回の結果より,組織培養によるLCのAPC機能亢進には,既に報告されている角化細胞由来GM-CSF等の表皮由来因子に加えて,GM-CSFをも含む真皮由来因子も大いに関与することがはじめて明らかとなった.
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