日本皮膚科学会雑誌
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99 巻, 10 号
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  • 1989 年 99 巻 10 号 p. 1055-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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  • 岩月 啓氏, 金 芬香, 菅谷 圭子, 滝川 雅浩, 山田 瑞穂
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1059-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    培養中の成人T細胞白血病(ATL)細胞から得たhuman T-cell lymphotropic virus type 1(HTLV-1)を含む分画で免疫したマウスの脾細胞から,ハイブリドーマを作製した.ATL細胞と反応する抗体を産生する種々のクローンが得られた.その中で,HTLV-1と反応する抗体を産生するクローンを選び特異性を検定した.Western blot法による検索の結果,HTLV-1のgag産物であるp19と,同じくp24と思われる抗原と反応する単クローン性抗体を得た.Dot blot法により,ATL細胞の培養上清およびATL細胞のcell lysateに含まれる可溶性のHTLV-1抗原を検出することができた.また,モルモットおよび家兎で作製した抗HTLV-1抗体と単クローン性抗体を用いたsandwich ELISA法でも可溶性のウイルス抗原の検出が可能であった.単クロ-ン性抗体を用いた免疫学的手法は,HTLV-1陽性細胞の同定とウイルス抗原の定量が可能であり,ATL細胞のcell kineticsを知る手段として有用である.
  • 大田 ゆみ, 飯島 正文
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1067-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    前報では,組織培養がマウス表皮Langerhans細胞に及ぼす影響を検討し,①細胞膜表面のIa抗原量が著しく増加した,②in vitro allo-CTL誘導における抗原提供細胞(APC)機能が著しく亢進した,③従来全く認められなかったマウス尾のCTL誘導におけるAPC機能が“復活”し,尾LCもCTL誘導能を持つことが初めて証明された,という結果を得た.組織培養が表皮LCの機能に及ぼす影響を検討する上で,今回はその培養条件,組織培養後LCの機能的特性について次のような所見が得られたので報告する.(1)培養液成分の影響を検討したところ,10%FCS加RPMI1640のみの簡易培養液でもAPC機能は著明に亢進した.(2)培養期間は,表皮・真皮シートの状態で培養し3日≒2日≫1日>無培養となり,2日以上でLCのAPC機能は有意に亢進することがわかった.(3)培養形態は,表皮・真皮シートの状態でpre-cultureした場合の方が,単細胞化後pre-cultureした場合よりも有意にAPC機能が亢進し,単細胞化した場合でも真皮シートを添加して培養することにより,APC機能亢進は表皮・真皮シートの培養と同程度あるいはそれ以上となることがわかった.(4)培養LCのAPC機能は,UVB照射,(抗Ia抗体+補体)処理によって完全に消失した.したがって今回の結果より,組織培養によるLCのAPC機能亢進には,既に報告されている角化細胞由来GM-CSF等の表皮由来因子に加えて,GM-CSFをも含む真皮由来因子も大いに関与することがはじめて明らかとなった.
  • 森田 秀樹, 湯 正明, 宮崎 孝夫
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1075-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    接触過敏反応の感作物質であるfluorescein isothiocyanate(FITC)をマウスの腹部皮膚に塗布すると,その24時間目にFITC+細胞が皮膚所属リンパ節内に出現した.リンパ節内のFITC+細胞は比較的大型の細胞であり,それはTリンパ球とは考えられない.マウス尾部皮膚にFITCを塗布した場合,及び,tape stripping処理を行なった皮膚にFITCを塗布した場合の両群の動物における皮膚所属リンパ節内FITC+細胞数は無処置の腹部皮膚にFITCを塗布した動物におけるそれに比し有意に少数であった.皮膚所属リンパ節とはリンパ流の異なる腸間膜リンパ節内には,上記いずれの実験系においてもFITC+細胞は増数せず,各実験系におけるFITC+細胞数に有意差を認めなかった.Picryl chloride(PCl)をマウスの腹部皮膚に塗布した4日目の鼡径部リンパ節内には,interleukin 2 receptor(IL-2R)を発現するL3T4+細胞は増数した.一方,PClをマウス尾部皮膚に塗布した場合,及び,tape stripping処置を行なった皮膚にPClを塗布した場合には,共に皮膚所属リンパ節内L3T4+ IL-2R+細胞は増数しなかった.腸間膜リンパ節内のL3T4+ IL-2R+細胞数は上記に示すいずれの実験系でも増数しなかった.今回の実験結果は接触過敏反応(CHR)の感作誘導期における抗原提示細胞とTリンパ球,及び,皮膚とリンパ節の関連性について示唆に富むと考えられる.
  • 村井 博宣, 真家 興隆
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1085-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    ヒト毛組織の立体構造を検討する目的で,ヒト頭皮をトリプシン・塩酸法に超音波洗浄を加えた変法にて処理し走査電顕的に観察した.本処理を加えることにより,真皮内に埋没していた毛組織が露出され良好な立体像が得られた.とくに毛乳頭に蓋をする形で認められる基底床(basal plate),下部毛包を取り巻く結合織性毛包,その中で分岐する毛細血管網,毛球部細胞の個々の形態,表面に多数の微絨毛状の小突起を有する外毛根鞘細胞,角化し樹皮状を呈する内毛根鞘細胞の表面構造など初めて立体的に観察され,本法は毛組織の構造を理解する上で有用と考えられた.
  • 河島 岳史, 小林 早由美, 宮野 径彰, 大屋 尚之, 成瀬 知恵子, 徳田 安章
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1095-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    従来アトピー性皮膚炎は乳児小児の疾患で自然治癒傾向があり,35歳以上殊に高齢者ではまれとされている.一方思春期成人型のアトピー性皮膚炎の増加が懸念され更にその中に難治のものが数多くみられつつある.アトピー性皮膚炎(以下AD)の本体が未だ確立されていない現時点では高IgE血症を含み,いくつかの症候から診断をせざるを得ない.我々は現在東京医大AD診断基準を用い症例の蓄積を試みているがその中で50歳以上の症例も散見される.一般に50歳は皮脂分泌能の低下の起こる時期とされているが,この期を境としたより高齢のADとより若年のそれとの比較を行い高齢者におけるADの特徴を求めた.その結果思春期成人期からの継続として皮脂欠乏性湿疹を始め種々臨床像をとり,IgERIST高値で,複数抗原に皮膚反応陽性,食事抗原中殊にスパイスの陽性率が高かった.しかし若年のADと較べ血清IgEおよびIgG4値は低く,特異的減感作療法の有効率も低かった.より若年のADのように単一の病像を呈していないが,管理の不十分さが高齢までのADをもたらしている可能性がありまた積極的な抗アレルギー療法の導入も必要と考えられ,これらの点が臨床上重要と思われる.
  • 近藤 滋夫, 刀祢 真里, 寺本 範子, 片山 一朗, 新井 春枝, 西岡 清, 西山 茂夫, 藤井 一史, 小林 豊
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1105-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    45歳女性の全身性強皮症患者(以下PSSと略す)に発症した膜性腎症(ループス腎炎)の1例を経験した.この症例を含めて,当科でこれ迄に経験したPSS患者97例の内definite PSS68例について蛋白尿の有無と臨床像との関連性について検討した.また,蛋白尿陽性のdefinite PSS15例および腎生検の結果ループス腎炎像を認めたdefinite PSS5例の臨床的特徴につき検討を行なった.これらの結果蛋白尿陽性例では血管拡張,肺線維症,漿膜炎,食道蠕動の低下を伴うものが多く,また検査上貧血,白血球減少,血小板減少,LE細胞現象陽性,Lupus band test陽性例が多く認められた.
  • 宋 玉如, 内藤 勝一, 矢口 均, 山本 律子, 池田 志斈, 森岡 眞治, 小川 秀興
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1111-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    いわゆるLichen planus pemphigoidesの一典型例を報告するとともに,本症患者血清中に検出された抗基底膜部抗体の結合部位について,特に類天疱瘡,後天性表皮水疱症(EBA)におけるそれらとの異同について検討を加えた.その結果,1M NaCl処理にて表皮と真皮を分離した皮膚を基質とした蛍光抗体間接法にて表皮側に陽性蛍光が見られ,また免疫電顕間接法にて基底細胞のhemidesmosomes部にIgGの結合が観察された.これらの所見は,本症患者血清中の抗基底膜部抗体が抗体結合部位の点でEBA抗体とは明らかに異なり,むしろ類天疱瘡抗体に類似していることを示唆している.
  • 関口 かおる, 西山 千秋, 吉池 高志, 小川 秀興
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1117-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    白癬性肉芽腫および浅在性白癬より分離されたTrichophyton rubrum(T. rubrum)の産生するextracellular proteinaseの活性をBSA(Bovine serum albumin)を添加した液体培地を用いて比較検討した.両株由来のproteinase活性はazocollを基質として測定した.菌増殖は肉芽腫株に比し,浅在性株において良好であった.両株ともpH4.5および8.0に至適pHをもつproteinase活性が認められ,肉芽腫株の方が菌量あたり高値を示した.これまでT. rubrumの酸性領域でのproteinase活性の報告はなく,また肉芽腫株で高値を示したことから,白癬性肉芽腫病巣発現への関与が示唆された.
  • 西嶋 攝子, Kenneth J. McGinley, James J. Leyden
    1989 年 99 巻 10 号 p. 1121-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    近年主として免疫の低下している患者においてヒト皮膚常在菌であるaerobic coryneform bacteria(以下coryneform)による敗血症,心内膜炎などをはじめとする種々の重症感染症の報告が相次いだ.今日その病原菌はCorynebacteriumと同定され,Group JK coryneforms(以下Group JK)あるいはCorynebacterium jeikeiumとよばれ免疫低下の状態にある患者の多い病棟では大きな問題となっている.この菌はこれまでの皮膚常在菌としてのcoryneformとは異なり多くの薬剤に耐性を獲得しており,in vitroにおいて脂質に対する要求が極めて強い特性を持っている.今日まで日本からこの菌の分離の報告はなされていないが,今回われわれは滞米日本人の皮膚よりかなりの頻度でGroup JKを分離し得た.この結果より日本においてもGroup JKが分離される可能性は大きいと考えられた.この菌は本来皮膚と粘膜の常在菌であること,寒天培地上での発育がおそいこと,in vitroにおいて脂質に対する要求が極めて強く分離の方法が難しいこと等により,わが国においては臨床検体より分離されず見のがされている可能性が強く疑われた.
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