日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
117 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第31回 代謝異常
  • 宇谷 厚志
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第31回 代謝異常
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1927-1933
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    アルツハイマー病,また狂牛病,クロイツフェルトヤコブ病という疾患がアミロイドーシスでおこる事をご存じであろうか.マスコミで取り上げられ,医師のみならず一般人も関心を持っている疾患の発生にアミロイドーシスの関与が明らかにされている.日常診療の場で全身性免疫グロブリン性アミロイドーシスを皮膚症状から診断するのは,疑わないとまず不可能である.この疾患は予後が悪いため,早期診断が望まれるものの 1 つである.この機会に全身性免疫グロブリン性アミロイドーシスと,皮膚アミロイドーシスの症状を再確認することは重要と考え,概説した.
  • 池田 光徳
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第31回 代謝異常
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1935-1940
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    皮膚科医にとって代謝異常症は取り付きにくい疾患群の 1 つである.皮膚単独の病変というよりも全身性疾患の皮膚症状として出現することが多い.皮膚病変から背景にある全身性疾患を診断するきっかけになりうる疾患群でもある.本セミナリウムで糖質,脂質およびアミノ酸の代謝異常症を網羅することは紙面の都合上不可能である.そこで,代謝異常症に属するいくつかの疾患について最近明らかになった知見を紹介して,それらを皮膚科専門医の共通の知識にしたい.糖質代謝異常として糖尿病性浮腫性硬化症を,脂質代謝異常として黄色腫およびファブリー病を,類脂質タンパク代謝異常として皮膚粘膜ヒアリン沈着症を取り上げる.
  • 花田 勝美, 中野 創
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第31回 代謝異常
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1941-1947
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
原著
  • 吉田 益喜, 手塚 正, 川田 暁
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1949-1957
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    先天性色素性母斑を母斑性色素細胞,特に担メラニン母斑細胞の真皮内分布パターン(浸潤範囲と浸潤様式)と母斑の大きさとの相関性,および部位と年齢別の変化について検討した.材料;1990年より2003年までに近畿大学医学部皮膚科を受診した先天性色素性母斑287例の切除又は生検標本を用いた.検討方法;パラフィン切片をHE 染色,S-100 タンパク染色,およびマッソン・フォンタナ染色を行い検討した.結果;先天性色素性母斑は母斑性色素細胞の浸潤範囲によって 3型に,浸潤様式によって 2型に,また担メラニン母斑細胞の局在部位によって 3型に分けられた.先天性色素性母斑の大きさが小型,中型,巨大型になるに従って母斑性色素細胞の浸潤範囲は真皮乳頭層から網状層中層,皮下脂肪織へと浸潤していた.また頭頸部の小型の母斑の担メラニン母斑細胞は若年者では真皮乳頭層に限局し,年齢を経るに従って真皮中層にまで拡大するパターンが認められた.しかし,躯幹・四肢の小型母斑ではこの傾向は認められなかった.この結果から,頭頸部の小型先天性色素性母斑は早期に剥削術などで担メラニン母斑細胞を除去すれば瘢痕を残さずに色素斑を消失させうる可能性が示された.
  • 安齋 眞一, 木村 鉄宣, 真鍋 求
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1959-1967
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    2001 年 4 月から2006 年 4 月まで札幌皮膚病理研究所で診断した皮膚混合腫瘍(以下 MTS)のうち標本の再検討が可能であった 114例,1982 年から2004 年までに秋田大学医学部皮膚科で経験した 12 例,1994 年から2001 年までに山形県立日本海病院皮膚科で経験した 4 例の合計 130 例を用いて,MTS の臨床病理学的検討をおこなった.病理診断依頼書をもとに検討した臨床的事項では,男 78 例,女 52 例と男性に多く,切除時平均年齢は不明の 1 例を除いて 54.6 歳であった.発生部位は,不明の 1 例を除き,顔面がほとんどで 119例(92%)であった.臨床診断は,記載のあった症例のうち,皮膚混合腫瘍となっていたものは 13 例(10%)と少数であり,臨床診断と病理診断の一致率は低かった.切除標本の HE 染色標本を用いて検討した病理組織学的事項では,MTS には,基本所見として,断頭分泌をともなう腺管構造と Poroid cell および Cuticular cell よりなる汗管分化を示す管腔分化の両方を伴っていることを確認した.また,1)アポクリン型126 例(97%),一方エクリン型4 例(3%).2)筋上皮細胞分化所見であるPlasmacytoid cellは,130例中114例(88%)の例で観察された.3)毛包分化所見としては,角質嚢腫 61例(47%),毛球・毛乳頭への分化像19 例(15%),毛母への分化像1 例(1%),外毛根鞘への分化像11 例(8%),そして内毛根鞘への分化像が 6 例(5%)でそれぞれ観察された.また,54 例(42%)で毛芽細胞様細胞の集塊が観察された.4)明らかな脂腺分化像は 5 例(4%)で観察された.5)表皮連続性は9 例(7%)の例で観察された.6)充実性腫瘍胞巣部の割合は,55 例(42%)で多い,28 例(22%)で少ない,そして 39 例(30%)で中程度と判断された.8 例(6%)では充実性腫瘍胞巣部はなかった.7)間質の変化は,粘液腫様変化は,125例(96%),軟骨様変化 43例(33%),骨様変化は 11 例(8%),そして脂肪組織様変化 46 例(35%)であり,多くの例では複数の間質変化を観察することができた.そして,石灰化像が 4例(3%)で見られた.
  • 福地 修, 太田 有史, 石地 尚興, 本田 まりこ, 上出 良一, 中川 秀己, 小宮根 真弓, 長谷川 友紀
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1969-1976
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    患者自身が乾癬皮疹の面積および重症度を評価するSelf-PASI(Self-administered Psoriasis Area and Severity Index)の妥当性を,日本人乾癬患者 200 例を対象に検討するとともに,医師によるPASIとBSA (Body Surface Area),乾癬特異的QOL尺度であるPDI(Psoriasis Disability Index),包括的健康関連尺度であるSF-36 との関連性を検討した.結果として,Self-PASIとPASIの相関係数は 0.65,Self-BSA(Self-administered BSA)と BSA の相関係数は 0.69 といずれも高くかつ有意であった.Self-BSA と BSA の関連性は,体幹,上肢,下肢では高く,頭部では低かった.また,PDIはPASIよりもSelf-PASI,BSAよりもSelf-BSAとの関連性が高かったが,SF-36とSelf-PASI,Self-BSA との関連性は高くなかった.以上の検討から,Self-PASI は妥当性が高く,乾癬診療において役立つ指標になりうることが示された.
  • 松井 珠乃, 佐藤 弘, 岡部 信彦, 安藤 秀二, 岸本 寿男, 尹 浩信, 坂崎 善門, 瀬戸山 充, 成田 博実
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 12 号 p. 1977-1980
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    2006 年に,熊本県および宮崎県の皮膚科医会に所属する医師に対し,つつが虫病,日本紅斑熱などの感染症サーベイランスの認知度と,2005 年の両疾患の診断・届出状況を調査した.熊本での回答率は 60%(73/121),宮崎は 53%(27/51)であった.熊本の回答者のうち,感染症法に基づいてサーベイランスが実施されているのを知っていたのは 70%,つつが虫病が全数把握疾患であることを知っていたのは 74% であり,2001年に実施した同様の調査結果(順に 28%,26%)と比較すると大きく認知度が上がっていた.一方,日本紅斑熱が全数把握疾患であることを知っていたのは51% とつつが虫病とくらべるとやや低かった.宮崎においても,各サーベイランスの認知度は,今回の熊本の調査とほぼ同様の結果であった.また,回答者における2005 年のつつが虫病の診断・届出の現状は,熊本では 7 例が臨床診断,うち 3 例が確定診断され2 例が届出られた.宮崎においては,2 例が臨床診断,うち1 例が確定診断され届出られた.日本紅斑熱は,宮崎では 1 例が確定診断され,届出られた.この地域においては,つつが虫病は外注検査機関で使われていない株によるものが多いとされ,また日本紅斑熱は宮崎県衛生環境研究所のみで検査が実施されていることもあり,検査確定には困難があるものと推察される.今後,調査対象を拡大し,両疾患の診断と届出の現状について明らかにしていきたい.
feedback
Top