日本皮膚科学会雑誌
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117 巻, 5 号
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平成17年度(第35回)生涯教育シンポジウム
  • 永淵 正法
    原稿種別: 平成17年度(第35回)生涯教育シンポジウム
    2007 年 117 巻 5 号 p. 759-765
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    生体は,病原体の感染に対し,皮膚・粘膜などの物理的バリア,加えて皮脂,汗,粘液,血清中の蛋白,酵素,補体,インターフェロンなどの液性成分,マクロファージ,好中球を中心とした貪食細胞系などの自然免疫で対抗し,第一線防御を突破された場合には,樹状細胞,T細胞,B細胞,抗体からなる獲得免疫を駆使して,感染防御を行っている.感染症対策には病原体側と生体側,両方の要因を的確に評価し,対応すべきである.
皮膚科セミナリウム 第25回 皮膚のウイルス感染症
  • 本田 まりこ
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第25回 皮膚のウイルス感染症
    2007 年 117 巻 5 号 p. 767-776
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    ヒトを自然宿主とするヒトヘルペスウイルスは,単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus,HSV)1型(HSV-1),2型(HSV-2),水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus,VZV),EBウイルス(Epstein-Barr virus,EBV),ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus,HCMV),ヒトヘルペスウイルス6(human herpesvirus 6,HHV-6)A,HHV-6B,7(HHV-7),8(HHV-8)の9種類が現在知られている1).その他,ヒトに感染するヘルペスウイルスには,サルの単純ヘルペスの原因ウイルスであるBウイルスがあり,ヒトに重大な感染症を起こすことから,感染症法により届け出の必要なウイルス疾患になっている.皮膚科で扱うヘルペスウイルス感染症はHSV-1,2感染による単純ヘルペス,VZVによる水痘や帯状疱疹,CMVによる伝染性単核症様症候群,Gianotti-Crosti症候群や皮膚粘膜潰瘍,HHV-6やHHV-7の再活性化によるdrug induced hypersensitivity syndrome,EBVの初感染による伝染性単核症,Gianotti-Crosti症候群,慢性活動性EBウイルス感染症,皮膚リンパ腫,HHV-8によるカポジ肉腫などがある.これらの各疾患について概説した.
  • 狩野 葉子
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第25回 皮膚のウイルス感染症
    2007 年 117 巻 5 号 p. 777-782
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    ウイルス性発疹症としては麻疹,風疹が代表的な疾患であるが,パルボウイルスB19感染による伝染性紅斑,エンテロウイルス感染による手足口病,そして,多種類のウイルス感染で引き起こされるGianotti-Crosti症候群やpapular purpuric gloves and socks症候群などがある.ウイルス性発疹症では多彩な発疹が出現することや様々な合併症が併発すること念頭において診療にあたる必要がある.
  • 江川 清文
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第25回 皮膚のウイルス感染症
    2007 年 117 巻 5 号 p. 783-790
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    疣贅(ウイルス性)は,ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)感染による皮膚・粘膜良性腫瘍の総称で,俗に“いぼ”と呼ばれる.原因HPVの違いにより,尋常性疣贅,(青年性)扁平疣贅,尖圭コンジローマ,ボーエン様丘疹症,特殊病型として足底表皮様囊腫や遺伝性で高発癌性の疣贅状表皮発育異常症などがある.伝染性軟属腫は,伝染性軟属腫ウイルス(molluscum contagiosum virus:MCV)感染による良性腫瘍で,外観が水様光沢を帯びて見えることより,俗に“みずいぼ”と呼ばれる.
原著
  • 吉田 雄一, 樽谷 勝仁, 佐野 榮紀, 片山 一朗, 根本 治, 中山 樹一郎
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 5 号 p. 791-800
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    乾癬患者において,高齢者の治療コンプライアンスおよびQOLの現状を把握し,より適した治療を行うことを目的として,過去の治療歴,現在の治療やその満足度,外用薬の使用状況,日常生活への影響などを中心にアンケート調査を実施した.また,高齢者の現状を客観的に評価するために,同一のアンケート調査をより若年層(壮~中年層の患者;以下,若年者と表記)に対しても実施し,比較検討した.その結果,高齢者では若年者に比べて外用薬を塗るストレスを感じている患者の割合が有意に低いことが明らかとなった.また,日常生活への影響も少なく,特に「着たい服が着れない」「部屋が汚くなって困る」と回答した患者の割合が若年者に比べて有意に低かった.さらに,高齢者は若年者に比べて内服薬よりも外用薬を好む傾向があり,医師の指示どおりに外用薬を塗布する患者が多い傾向にあった.また,新しい治療に対してはあまり積極的ではないことが分かった.本アンケート調査により,高齢者では若年者よりも治療コンプライアンスおよびQOLが高いことが明らかとなった.高齢者では若年者に比べ外用薬を好む傾向があることや,医師の指示どおりに外用薬を塗る傾向があることから,特に高齢者に対しては外用薬を中心とした治療を行い,外用指導を徹底することにより治療コンプライアンスが高く維持できるのではないかと考えられた.
  • 三井 純雪, 高須 博, 勝岡 憲生
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 5 号 p. 801-807
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    1983年から2004年の22年間に北里大学病院皮膚科を受診したベーチェット病患者60名(男33名,女27名)について臨床統計学的検討を行った.平均発症年齢は39歳で,女は発症年齢が高い傾向があった.完全型12例,不全型48例で,症状はアフタ性潰瘍と皮疹が約98%の症例にみられ,外陰部潰瘍を約70%,眼症状を約45%の症例に認めた.皮疹として毛囊炎様皮疹と結節性紅斑を約60%の症例に認めた.HLA-B51陽性例は55.9%であった.これらの頻度は従来の報告とほぼ一致した.治療薬は非ステロイド性消炎鎮痛薬,コルヒチンが主体ではあるが,ステロイド使用率が増加傾向にあった.完全型・不全型別,および重症度別で治療内容を比較したが,症状の重症度とステロイド使用率に相関関係は乏しかった.10年以上経過を追えた症例をみると,長期にわたり疾患の活動性が持続する,あるいは著しく増悪する症例は無く,半数の症例で治療薬の漸減もしくは中止が可能であった.
  • 金田 眞理, 西田 健樹, 片山 一朗
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 5 号 p. 809-814
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    ファブリー病はX染色体劣性遺伝性の疾患でライソゾームの酵素であるα-galactosidase Aの欠損によりglobotriaosylceramid(GL-3)が全身の種々の臓器に蓄積されるために,四肢末端痛,被角血管腫,円錐角膜,脳血管障害,心障害,腎不全,等の種々の症状を来す疾患で,最近本症の病因である欠損酵素のα-galactosidase Aの酵素補充療法が可能になった.しかしながら,その皮膚病変に対する効果に関しては種々の意見がある.そこで,古典型の本症の患者に酵素補充療法を施行し,治療開始前後において,皮膚生検による皮膚のGL-3の沈着の程度と被角血管腫や四肢末端痛,発汗低下の軽快の有無について検討を試みた.その結果皮膚のGL-3の沈着は治療開始6カ月で著明に軽快消失していたが,臨床症状は治療開始1年後においても変化が認められなかった.
  • 山内 渉, 須田 たかね, 鈴木 啓之, 稲冨 徹
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 5 号 p. 815-819
    発行日: 2007/04/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    84歳女.他医で生検の結果,色素性母斑と診断された腹部の黒褐色結節を主訴として来院.ダーモスコピーでblue-whitish veil, irregular globulesを認め,superficial spreading melanomaと診断し全切除を施行.病変内には母斑細胞様細胞が混在していた.1)生検時の母斑細胞様細胞は全体の構築が乱れ,HMB-45免疫染色が陽性であること,2)全摘時の母斑細胞様細胞は腫瘍本体と連続性を示し,構築の乱れが見られ,PCNA染色が強陽性だったことから,1)2)ともに悪性腫瘍細胞の多様性を示す所見と考えた.
学会抄録
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