日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
123 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 佐藤 俊次, 田中 勝
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 2 号 p. 121-131
    発行日: 2013/02/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    目的:画像変換によりダーモスコピー初級者が容易にダーモスコピー所見の把握をできるようにすること.研究デザイン:観察研究.セッティング:皮膚科診療所.対象:色素細胞母斑4例,悪性黒色腫1例,脂漏性角化症1例,基底細胞癌1例,血管腫1例,Bowen病1例のダーモスコピー画像を用いた.介入:イメージングスクエア(カシオ)を用いたhigh dynamic range(HDR)画像変換を行い,オリジナルのダーモスコピー画像と比較する.主要アウトカム変数:各疾患の診断に特徴的なダーモスコピー構造物,すなわち色素細胞母斑の所見:typical pigment network,regular dots/globules,regular streaks,parallel furrow pattern,悪性黒色腫の所見:atypical pigment network,peripheral dots/globlues,blue-whitish veil,脂漏性角化症の所見:comedo-like openings,multiple milia-like cysts,fissures/ridges,基底細胞癌の所見:arborizingvessels,leaf-like areas,multiple blue-gray globules,spoke-wheel areas,血管病変の所見:red-blue lacunae,Bowen病の所見:dotted vessels,glomerular vessels,scaling,を用いた.結果:ほとんどのダーモスコピー構造物の明瞭化(コントラストの改善),顕在化(均一と思われた領域にも構造物が観察可能となる)が確認された.しかし,HDR変換後は色調が変わるため,病変の深さについてはオリジナル画像で判断する必要がある.結論:ダーモスコピー画像のHDR変換により,初級者でも,ダーモスコピー診断に有用な構造物を明瞭に認識できるようになり,ダーモスコピー所見の把握が正確になる可能性が示唆された.
  • 福田 英嗣, 鈴木 琢, 早乙女 敦子, 早出 恵里, 向井 秀樹
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 2 号 p. 133-141
    発行日: 2013/02/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    成人アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis:AD)の入院療法における病勢マーカーについて検討した.対象は当院皮膚科に2009年3月から2010年1月までに,急性増悪ないし重症例のため入院加療した成人AD 26名である.年齢は17~48歳(平均値±SD:28.7±8.0歳),性別は男性10名,女性16名で,入院期間は7~25日(13.0±3.5日)である.方法は,入院時(第2病日)と退院時の早朝(7時~8時)に血清コルチゾール値,血漿adrenocorticotropic hormone(ACTH)値,血清thymus andactivation-regulated chemokine(TARC)値,血清lactate dehydrogenase(LDH)値,末梢血好酸球数を測定し,比較検討した.さらに,日本皮膚科学会(日皮会)AD重症度分類,痒みのVisual analoguescale(VAS)値,Skindex-16,Dermatology Life Quality Index(DLQI)に関しても比較検討した.結果は,入院時に低値を示した血清コルチゾール値と血漿ACTH値はともに有意な増加を示し,入院時に高値を示した血清TARC値や血清LDH値は有意に減少した.一方,末梢血好酸球数は減少するも有意差を認めなかった.また,日皮会AD重症度分類,Skindex-16,DLQIおよび痒みのVAS値は有意に減少した.今回の検討で,2週間程の短期入院における血中病勢マーカーは血清コルチゾール値,血漿ACTH値,血清TARC値,血清LDH値が有用であった.これらの中で,血清TARC値は全例において入院時から退院時に減少し,測定幅を考慮すると,血清TARC値が重症度と改善度の評価を最も反映するマーカーと考えた.その他のマーカーとして日皮会AD重症度分類,Skindex-16,痒みのVAS値およびDLQIが有用であった.
  • 梶原 一亨, 山田 早織, 中村 香代, 永元 英子, 牧野 公治, 尹 浩信
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2013/02/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    2011年度に国立病院機構熊本医療センターを受診した患者のうち,重篤な全身症状を呈した褥瘡4例を報告する.全症例にて褥瘡を起因とする重症の細菌感染症を合併していた.1例は救急車による受診,3例は医療機関に受診中であった.4例中1例は死亡退院した.褥瘡に対する認識不足により,病態の重篤化や多大な経済的損失を引き起こす可能性があり,医療機関を含む社会への啓蒙が必要である.
  • 山本 佐織, 原田 和俊, 安藤 典子, 青木 類, 川村 龍吉, 柴垣 直孝, 島田 眞路
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 2013/02/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    50歳,女性.慢性C型肝炎に対しIFNα2b,リバビリン,テラプレビルによる3剤併用療法を開始した.投与開始後,胸部,腰部,大腿に限局した紅斑性丘疹が出現し,これらの薬剤の投与を継続したままステロイド軟膏外用にて皮疹は消失した.しかし,1カ月後皮疹が再発.皮疹が広範囲であるため,IFNα2b,リバビリン,テラプレビルを中止し,ステロイドの全身投与を行うが,皮疹はさらに増悪し,HHV-6再活性化,好酸球増多を認めた.皮膚のびらん,粘膜疹が出現,TENとなった.ステロイドパルス療法,血漿交換,免疫グロブリン大量投与により皮疹は改善した.DIHSの病態をとったTENの一例と考えられる.テラプレビルは有害事象として皮疹を高率に生ずるが,内服を継続したままで消失する症例も多い.しかし,その反面,自験例のような重症型の薬疹が出現することもあり,注意深い経過観察が必要である.テラプレビルを用いたC型肝炎の治療には皮膚科医の果たす役割が大きい.
Letter to the Editor
学会抄録
feedback
Top