日本皮膚科学会雑誌
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102 巻, 4 号
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  • 1992 年 102 巻 4 号 p. 421-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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  • 桜岡 浩一
    1992 年 102 巻 4 号 p. 425-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    5週,6週,23週,24週および28週齢の特殊老化モデルヘアレスラット(石橋ラット)の背部皮膚より真皮を分離し,真皮単位乾燥重量当りの老化過程におけるコラーゲン,酸性ムコ多糖およびエラスチン量の変動を検討し,以下の結果を得た.1.真皮コラーゲン(ヒドロキシプロリン量)は,老化にともない約21.9%(p<0.05)減少していた.また,コラーゲン中,老化に伴うⅢ型コラーゲンの占める比率の変動に有意差は認められなかった.2.酸性ムコ多糖の総量(ウロン酸)は,老化過程における有意差は認められなかった.酸性ムコ多糖の成分ではデルマタン硫酸含量は不変であり,ヒアルロン酸含量も統計学的検定にて有意差は認められなかった.3.エラスチン含量は,イソデスモシン量で測定したところ,老化過程と共に約36.8%(p<0.05)減少していた.以上の結果,石橋ラットの老化に伴う真皮結合組織の変化は,コラーゲンおよびエラスチンが減少し,酸性ムコ多糖はほとんど変動しない事が判明した.これらの結果は過去の老化に関する報告とほぼ一致し,石橋ラットは老化のよいモデルになると思われた.また,酸性ムコ多糖に比べて,コラーゲンは21.9%,エラスチンは36.8%とそれぞれ減少していたので,この両者,とりわけエラスチンの減少が皮膚真皮の老化の最も良いマーカーとなり得ると考えられた。
  • 高槻 覚
    1992 年 102 巻 4 号 p. 433-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    アルカリ・水浸軟・走査電顕法を用いて正常ヒト皮膚の真皮膠原線維の立体構造を解明すると共に,加齢による変化を検討した.本法により表皮細胞成分が除去され,表皮と接着していた真皮表面が直接観察可能となった.様々な形態の真皮乳頭が認められ,表面では膠原線維により形成された網目構造が観察された.このような構造が,基底細胞小脚との接合および膠原線維による弾力性の保持を司っていると思われる.また網目構造の所々には,メラノサイトを支持すると思われる籠状構造が散見され,この構造は真皮乳頭以外の部分に多く見られた.加齢に伴い真皮乳頭の扁平化が観察された.20歳代では加齢により乳頭の高さが減じてくる.それ以降では部分的に乳頭の縮小化が起こり,それが全体に波及し,ついには扁平となり,皮溝皮丘に相当する凹凸も消失した.それに伴い膠原線維の微細構築にも変化が認められた.網目構造の変化は乳頭縮小に遅れて出現した.網目構造を形成している膠原線維の走行が二次元的となり,ついには網目構造も消失した.以上のような加齢変化が,表皮細胞との接着の低下,膠原縁維の弾性力の低下を引き起こしていると思われる,ひいてはこのような真皮の加齢変化は皮膚表面の形状に影響を及ぼすものと考えられる.
  • 手塚 匡哉, 伊藤 雅章, 伊藤 薫
    1992 年 102 巻 4 号 p. 441-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    ヌードマウス(Nu/Nu)の毛発生および毛周期における細胞動態を解析し,あわせてCyclosporin-A(CY-A)の毛組織に対する影響を検討した.Nu/Nuには生下時より毛組織が存在し,生後4日目には上皮索上方に毛断片が貯留し,毛周期を繰り返すに従い,次第に毛漏斗部が拡張する.生下時~生後27日目のNu/Nuの背部皮膚をbromodeoxyuridine(BrdU)でDNA合成期細胞を標識し,抗BrdUモノクローナル抗体で免疫組織化学的に染色した.さらに,生後6週目のNu/NuにCY-Aを経口投与あるいは背部皮膚に外用し,同様にBrdU染色しCY-Aの毛組織に対する効果を検討した.その結果,CY-AはNu/Nu毛組織のS期細胞数増加させ,成長期を延長した.より多くの毛幹細胞が作られ,毛幹径が増大することによりNu/Nuの脆弱な毛が健常になり,毛漏斗部を越えて体表外に出ることが考えられた.
  • 橋本 喜夫, 豊田 典明, 松尾 忍, 飯塚 一
    1992 年 102 巻 4 号 p. 453-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    lymphocytoma cutis(LC)は時にmalignant lymphoma(ML)を疑わせる組織像をとることもあり,実地上,MLとの鑑別が困難なことも少なくない.今回我々はパラフィン包埋組織を用いてLCとMLについてDNA-flow cytometry(DNA-FCM)による核DNA量の検討を行った.11例のLCの増殖指数(%>4SD)は1例が33.6%である以外はすべて20%以下(平均14.4%)であった.増殖指数が高値を示した1例は組織学的にもMLが疑われた症例であった.それに対し9例の皮膚悪性リンパ腫(ML)は1例を除いてすべて20%以上(平均41.6%)であった.初発時20%以下であった1例も再発時には22.2%を示した.DNA aneuploidyもMLの4例に認められた.これらの結果からDNA-FCMによる検討はLCとMLの鑑別の一助になりうると考えられた.
  • 橋本 秀樹
    1992 年 102 巻 4 号 p. 459-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    今回著者は,混乱の多い類乾癬の分類・臨床像,さらに菌状息肉症との関係を明らかにするため,自験11例の類乾癬症例について,その浸潤リンパ球の電顕写真をコンピューターで画像解析し,核周長(P),核面積(A)からform factor (4πA/P2)を求めた.その結果,類乾癬各症例における100個の浸潤細胞のform factorの平均値は,いずれも菌状息肉症症例のそれよりも高値を示した.類乾癬を大局面型と小局面型とに分類した検討では,両群のform factor間には有意差を認めなかったが,両群とも各々菌状息肉症群との間に有意差を認めた.類乾癬大局面型では5例中2例に経過中皮疹の変化がみられた.Form factorが有意に低下したretiform typeの1例は,臨床的,病理組織学的にも菌状息肉症への移行が認められた.一方,小局面型では皮疹に変化はなく,菌状息肉症へ移行は認められなかった.今回の検討により,類乾癬は菌状息肉症とは異なる独立した疾患であることが示された.大局面型は菌状息肉症へ移行するポテンシャルを有するが,多くはその状態を長く維持しており,菌状息肉腫に移行しない小局面型とともに同一の疾患群として扱うのが妥当であると考えられた.
  • 吉井 章, 影下 登志郎, 木村 達, 平井 俊二, 小野 友道, 荒尾 龍喜
    1992 年 102 巻 4 号 p. 471-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    基底膜の構成成分であるラミニンとⅣ型コラーゲンに対するモノクローナル抗体を用いて悪性黒色腫における両者の分布を免疫組織学的に検討した.その結果,正常表皮基底膜部では明瞭な線状の反応が見られるのに対し原発巣では臨床病型の如何を問わず腫瘍細胞の表皮基底膜に接する部位,すなわち境界部位では連続性が断たれ,破線状,点状を呈し菲薄化,肥厚及び多層化が認められた.この所見は,境界部位が深く,腫瘍胞巣が大型であるほど著明であり,また,真皮内やリンパ節に浸潤性に増殖している腫瘍胞巣では,(1)腫瘍胞巣を取り囲みほぼ連続した線状の反応を示すもの(Cタイプ),(2)連続性は認められず破線状,断片状に見えるもの(Fタイプ),(3)点状を呈するもの(Dタイプ)が見られた.(1)(2)に関しては,20個以下の腫瘍細胞をとり囲む小胞巣と,それ以上の腫瘍細胞をとり囲む大胞巣の2種の染色所見に区別し得た.転移巣では,皮膚,リンパ節とも前述のC,F,Dのいずれのタイプも認められたが,転移巣においては基底膜の断裂が原発巣に比しより著明化していた.また原発巣の真皮内腫瘍胞巣での染色所見による予後を比較検討したが,連続性反応群と不連続性反応群との間に有意差は認められなかった.
  • 安斎 真一, 橋本 秀樹, 後藤 一史, 穂積 豊, 麻生 和雄
    1992 年 102 巻 4 号 p. 479-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    山形大学医学部皮膚科並びに山形県立新庄病院皮膚科で経験したエクリン汗器官癌18例について臨床病理学的検討を加えた.臨床的には,男性7例,女性11例と女性に多く,初診時年齢は平均71.7歳,病悩期間は平均4.4年であった.発生部位としては四肢次いで頭部・顔面に多かった.本腫瘍の臨床形態をA,B,Cの3型に分類した.所属リンパ節転移や局所再発はB型,A型,C型の順に高率であった.扁平上皮癌に準じた治療により,18例のうち不明の1例,他病死の1例を除いた16例で本腫瘍による死亡はない.病理組織学的には本腫瘍をエクリン汗孔癌(EPC),汗管腫癌(SC),悪性澄明細胞汗腺腫(MCCH)の3型に分類した.EPCを小型で好塩基性のporoma細胞様細胞(PC)と澄明細胞(CC)からなるもの,SC,PCに似た細胞からなるもの,MCCHをPCとCCが混在して見られるものとした.各型とも角化傾向はほとんど見られず,管腔構造が特徴的であった.SCでは局所再発やリンパ節転移が高率にみられた.5種類の抗体を用いた免疫組織化学的検索では癌胎見性抗原と上皮膜抗原の検索が本腫瘍と他の腫瘍との鑑別に有用であった.
  • 川岸 尚子, 橋本 喜夫, 松尾 忍, 飯塚 一, 中尾 稔, 宮本 健司, 川端 真人
    1992 年 102 巻 4 号 p. 491-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    ライム病はBorrelia burgdorferiに起因する感染性疾患であるが,今回,我々は慢性遊走性紅斑を主訴とした患者2例の皮膚組織より病原体の分離に成功した.症例1:62歳,女.右上腕部にマダニ咬着後,10日後位より同部に熱感をともなった環状の紅斑が出現したため受診.症例2:49歳,女.マダニ咬着の17日後,右側胸部の環状紅斑と,右膝関節痛を訴え受診.生検部の組織学的所見:2例とも真皮上層から皮下脂肪織にかけて血管,付属器周囲,あるいは巣状にリンパ球主体の細胞浸潤をみとめた.血清学的診断:2例ともELISA法にてBorrelia burgdorferiに対する抗体価の上昇を認めた.皮疹部組織をBSK培地で培養した結果,両側とも4週めよりボレリアの増殖が確認された.症例1より得た株をJEM1,症例2より得た株をJEM2として,SDS-PAGEやウェスタンブロット法による解析を試みた.
  • 松田 三千雄, 昆 みゆき, 森元 洋介, 飯田 憲治, 江口 弘晃, 三浦 貴子, 嵯峨 賢次, 高橋 誠
    1992 年 102 巻 4 号 p. 497-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    Sulfite(亜硫酸塩)は優れた酸化防止剤として,薬物,飲料,食物などに広く用いられているが,近年,本剤の過敏症が報告されている.Sulfiteは二酸化硫黄(SO2),亜硫酸水素カリウム(KHSO3),ピロ亜硫酸カリウム(K2S2O5),亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3),ピロ亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5),亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)などを含む化学物質の総称である.我々は悪性リンパ腫患者の治療過程で,sulfite含有薬剤を用いたところ,ショック様症状を呈した患者を経験した.ピロ亜硫酸ナトリウム皮内テストが陽性であり,sulfiteを含む他の薬剤でも類似の症状が出現していたので,本症例をsulfite過敏症と診断した.また薬剤過敏症の検査法として開発された間接好塩基球脱顆粒試験を行い,対照に比し有意な差を認めた.間接好塩基球脱顆粒試験はsulfite過敏症の診断におけるin vitro検査として有用である可能性が示唆された.Sulfiteは種々の薬剤に含まれているため,sulfite過敏症患者では,慎重な薬剤の選択が必要であると思われる.
  • 三田 哲郎, 松本 義也, 大橋 勝, 水越 和則
    1992 年 102 巻 4 号 p. 505-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    アトピー性皮膚炎患者50例(男性24名,女性26名)の血清抗核抗体(核材はHep-2細胞)を検索した.検体希釈率40倍での抗核抗体陽性率は,AD患者全体では50名中12名(24.0%)<男性:24名中5名(20.8%),女性:26名中7名(26.9%)>,検体希釈率80倍での抗核抗体陽性率は,AD患者全体では50名中9名(18.0%)であったことから,健常人の成績に比較すると高率であった.
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