日本皮膚科学会雑誌
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116 巻, 2 号
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皮膚科セミナリウム 第11回 炎症性角化症
原著
  • 高橋 聡, 山本 明史, 山崎 直也, 吉野 公二, 並川 健二郎, 西澤 綾, 岩田 浩明
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2014/12/10
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    悪性黒色腫をはじめとする皮膚悪性腫瘍の手術治療は近年縮小傾向にあり,特にリンパ節郭清を決定する際に sentinel node biopsy が各施設で広く行われるようになってきた.その方法として従来は簡便な色素法によるリンパ節の検出が主体であったが,近年色素法に radioisotope 法(以下 RI 法)を併用した方法により,その有用性が報告されている.当院においても2002 年 4 月からRI 法を併用した方法により良好な成績を得ている.この併用法により正確に sentinel node を評価することができ,頭頸部領域原発でリンパ流の複雑な症例や躯幹原発で所属リンパ節が複数の領域にわたる症例,interval node やaberrant node を持つ症例などに対する効果的な手術範囲の決定が可能となってきた.当院における悪性黒色腫に対する色素法と RI 法を併用した方法によるsentinel node biopsy について検討し,その有用性を報告する.
  • 牧野 英一, 林 宏明, 稲沖 真, 藤本 亘
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2014/12/10
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    Eccrine angiomatous hamartoma(EAH)は真皮内エクリン汗腺と血管の増生を主体とする比較的稀な疾患で,1859 年に Lotzbeck により初めて報告された.本邦では 1976 年に sudoriparous angioma の名称で橋本らが記載して以来,現在までに 46 例が報告されている.自験例3 例はそれぞれ74 歳男性の仙骨部の結節,70 歳男性の足底の紫紅色局面,22 歳男性の右下腿の暗紫紅色結節で,いずれも摘出術を施行した.自験例を含めた EAH の本邦報告例49 例の臨床的特徴を検討したところ男女比は 17:32で,平均年齢は20.3歳であった.10 歳未満に発症した症例が 36/49 例(73.5%)と大部分を占めており,単発例が多く 7 割以上を占めていた.好発部位は四肢で全体の 9 割以上を占め,臨床像としては結節/腫瘤が 8 割を占めていた.自覚症状としては圧痛と多汗をそれぞれ6 割の症例にみとめた.さらに本邦報告例49 例を10 歳未満と 10 歳以上の症例に分けて検討したところ,10 歳以上の症例では足底発症例が多く手指発症例が少なく,多毛のみられる頻度が少ない傾向が認められた.
  • 常深 祐一郎, 嶋津 苗胤, 服部 尚子, 白井 明, 外山 啓子, 佐伯 秀久, 小宮根 真弓, 玉置 邦彦
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2014/12/10
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    爪白癬は 60 歳代以降に高い罹患率を示す.今回,趾爪白癬患者を60 歳未満の群と 65 歳以上の群に分け,イトラコナゾール400mg パルス療法の臨床効果と安全性について比較検討した.併用禁忌薬及びカルシウム拮抗薬内服中の患者および肝酵素が基準値の上限の2.5 倍を超える患者を内服不適応とし,各クール前と 3クール終了1 カ月後に血液検査を行った.60 歳未満群は 37 人,平均 39.0±9.3(18~59)歳,65 歳以上群は32 人,平均 70.9±4.4(65~83)歳であった.安全性については全症例を解析対象としたが,混濁比については第 1 趾爪に病変を認めた症例(各群25 人,20 人)において検討することとした.有害事象は 60 歳未満群で2 例(5.4%)(総ビリルビン上昇,薬疹,各1例),65 歳以上群で 2 例(6.3%)(ALP 上昇,LDH 上昇,各1例)で,頻度に有意差はなく,いずれも軽度でイトラコナゾール中止にて無治療で軽快した.混濁比については,開始前は 60歳未満群8.14±2.38,65歳以上群8.27±2.29 で有意差はなかった.パルス療法開始後4,8,12,24,36 週での混濁比の減少は 60 歳未満群0.40±0.82 ,2.64±2.06 ,3.68±2.93 ,4.40±2.92 ,4.80±3.35,65 歳以上群0.30±0.57,1.45±1.28,2.83±1.76,4.83±2.61,5.03±2.77 で,有意差はなかった.以上よりイトラコナゾールパルス療法は,高齢者においても爪白癬の有用な治療法であり,安全に行えると考えられる.
  • 簗場 広一, 伊藤 宗成, 谷戸 克己, 川瀬 正昭, 中川 秀己, 小林 直
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 2 号 p. 201-207
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2014/12/10
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    タキサン製剤投与後に四肢に著明な浮腫とそれに引き続く強皮症様皮膚硬化を示した 2 例を報告した.症例1,37 歳女性.左転移性乳癌に対し docetaxel および paclitaxel を投与した.約半年後より四肢に浮腫が出現し,その後著明な皮膚硬化となった.症例2,66 歳女性.左転移性乳癌に対し docetaxel を投与した.4カ月後より左上肢,両下肢に浮腫が出現し,徐々に皮膚硬化となった.2 症例ともに病理組織学的には真皮の線維化と血管周囲性の単核球浸潤が見られたが,レイノー症状,爪上皮出血点を欠き,抗核抗体および全身性強皮症の疾患標識抗体は陰性であった.
  • 太田 馨, 水野 可魚, 為政 大幾, 岡本 祐之, 幸野 健, 堀尾 武
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2014/12/10
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    症例1:63 歳,女性の右肘関節と症例2:52 歳,男性の右膝関節及び左膝窩部に生じたAcquired Lymphangiectasia(以下 AL と略す)の 2 例を報告した.ともに基礎疾患として関節リウマチを指摘されていた.臨床像では紅色の表面平滑な結節や小丘疹・紅斑を認め,病理組織像では,内腔に赤血球をほとんど認めない脈管の不規則な拡張と周囲のリンパ球浸潤を認めた.症例1 は皮疹の切除,症例2 は浸潤を伴う淡紅色斑と関節鏡視下関節滑膜切所術及び人工関節置換術により結節の再燃は認められていない.合併症,誘因としては手術療法,放射線療法が多いが,関節リウマチ合併例の報告はない.症例報告とともに本疾患と関節リウマチとの関連性について若干の考察を加えた.
  • 中田 朋子, 新見 やよい, 菊地 伊豆実, 落合 廣武, 山形 健治, 青木 見佳子, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 2 号 p. 215-221
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2014/12/10
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    50 歳男性.2000 年 6 月より顔面,口腔粘膜,躯幹に水疱,びらんが出現した.病理組織学的所見,免疫組織学的所見により尋常性天疱瘡と診断した.初診時の蛍光抗体間接法による抗表皮細胞間抗体は 320倍,ELISA法による抗Dsg1抗体価は150(index),抗Dsg 3 抗体価は 2,500(index)であった.Predonisolone (以下 PSL)を60mg/日より内服開始し,皮疹は軽快したが,ステロイド漸減時に増悪を繰り返したため,二重膜濾過血漿交換療法を施行した.施行 10 日前の,抗表皮細胞間抗体は 10,240 倍,抗Dsg1 抗体価は 180,抗Dsg 3 抗体価は 3,780 であった.計 20 回施行後,臨床症状は著明に改善し,抗表皮細胞間抗体は 80 倍,抗Dsg1 抗体価は 25,抗Dsg 3 抗体価は 180 に低下した.本症例では,臨床症状と抗Dsg 抗体価がよく相関し,経過より抗Dsg 1 抗体価が 140,抗Dsg 3 抗体価が 2,400 を越えると症状が出現していた.よって,その値が今後の再燃・増悪の予測や治療方針の指標になると考えた.
学会抄録
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