50 歳男性.2000 年 6 月より顔面,口腔粘膜,躯幹に水疱,びらんが出現した.病理組織学的所見,免疫組織学的所見により尋常性天疱瘡と診断した.初診時の蛍光抗体間接法による抗表皮細胞間抗体は 320倍,ELISA法による抗Dsg1抗体価は150(index),抗Dsg 3 抗体価は 2,500(index)であった.Predonisolone (以下 PSL)を60mg/日より内服開始し,皮疹は軽快したが,ステロイド漸減時に増悪を繰り返したため,二重膜濾過血漿交換療法を施行した.施行 10 日前の,抗表皮細胞間抗体は 10,240 倍,抗Dsg1 抗体価は 180,抗Dsg 3 抗体価は 3,780 であった.計 20 回施行後,臨床症状は著明に改善し,抗表皮細胞間抗体は 80 倍,抗Dsg1 抗体価は 25,抗Dsg 3 抗体価は 180 に低下した.本症例では,臨床症状と抗Dsg 抗体価がよく相関し,経過より抗Dsg 1 抗体価が 140,抗Dsg 3 抗体価が 2,400 を越えると症状が出現していた.よって,その値が今後の再燃・増悪の予測や治療方針の指標になると考えた.
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