日本皮膚科学会雑誌
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96 巻, 5 号
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  • 野村 和夫, 今泉 孝, 佐藤 静生, 橋本 功, 帷子 康雄
    1986 年 96 巻 5 号 p. 477-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    先天性表皮水疱症は,単純型,接合部型,優性型,劣性型の4型に大別される.今回我々は,単純型3例,優性型3例,劣性型4例から得られた線維芽細胞培養上清について,FITC標識コラーゲン基質としてコラゲナーゼ活性(CA)測定を行い,以下の結果を得た.1.劣性型2.62±0.48unit/mg protein(mean ±S.D.),単純型2.35±1.01,優性型1.92±0.25と,いずれも正常対照7例の0.83±0.47に比較して有意の上昇をみた.特に劣性型4例のうち3例では無疹部由来線維芽細胞にもかかわらず,平均値で正常対照の約2.5~4倍の活性値上昇を示した.2.劣性型では優性型に比してCAは約1.5倍上昇しているが,有意の差ではなく,現時点ではCA上昇の程度をsporadic caseの生化学的診断へ直ちに応用することは困難である.
  • 亀山 孝一郎, 刀祢 毅, 衛藤 光, 竹崎 伸一郎
    1986 年 96 巻 5 号 p. 483-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    10例の悪性リンパ腫(菌状息肉症6,T細胞性リンパ腫3,B細胞性リンパ腫1)と比較対象として,18例の各種炎症性疾患における表皮角化細胞のHLA-DR抗原の有無を酵素抗体法にて検討した.悪性リンパ腫では全例に,扁平苔癬やSLEでは大部分の症例が陽性を呈した.またγ-interferon(500IU/ml,72時間)を添加し表皮角化細胞を培養し,HLA-DR抗原の表示の誘導をfluorescence-activated cell sorterを用いて解析したところ,4例全例において一部の表皮角化細胞が陽性を呈し,2例においては5~10IU/mlの濃度で表示が開始され,500~2,000IU/mlにて陽性細胞の割合はほぼ最大値に達した.
  • 徳留 康子, 田上 八朗
    1986 年 96 巻 5 号 p. 493-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    皮膚の老化が角層の水分保持機能に与える影響を調べるために高周波伝導度測定装置を用い,夏,秋,冬季における小児と老人の角層水分含有量測定および角層水負荷試験をおこない,両者の季節による角層機能について比較検討した.1.角層水分含有量は夏では両者に差がなく,低下のみられた秋,冬の腹部,顔面では老人の方が小児より高かった.2.吸水能では老人の手背が小児よりも低下していた.3.水分保持機能では全体的に老人の方が優れていたが,とくに顔面でそれが顕著であった.4.これらの結果から角層の水分保持機能が皮膚の老化によりとくに大きな低下を示すことには否定的であり,むしろ環境,日光照射,皮脂分泌などの影響が強いということが明らかとなった.
  • 滝脇 弘嗣, 永井 隆
    1986 年 96 巻 5 号 p. 497-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    ラットの側腹部から種々の厚さで皮膚を採取し,それぞれについて37℃,純酸素1気圧下で皮表からの酸素の拡散および皮内での消費を,真皮側においたPo2電極を用いて検討した.その結果,正常皮膚では試料内に拡散した酸素は,厚さ0.4mmで全て消費された.また角層除去,表皮除去,アモバルビタールナトリウム前処理を施した試料についても測定を行なった結果,いずれも酸素は無処置の試料より深部に浸透し,アモバルビタール前処理で最大で,表皮除去がこれに次ぎ,角層除去と続いた.また簡単な理論モデルを考えることにより,試料全体の平均的な酸素の拡散係数および消費率が酸素の浸透しうる深さに与える影響について記述し,下腿潰瘍の治療に近年試みられている高圧酸素療法局所法の解析への応用に言及した.
  • 平本 力, 井上 俊一郎, 金沢 一也, 山根 康弘, 北島 康雄, 矢尾板 英夫
    1986 年 96 巻 5 号 p. 503-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    皮膚癌検診を,昭和59年7月27,28日,茨城県北茨城市大津平潟地区(人口9764人)で試行した.①回覧による自己スクリーニング,②皮膚科医による一次検診,③通知,④生検などの二次検診の手順で行なった.一次検診受診者は77名で,基底細胞腫1例,老人性角化腫1例,良性皮膚腫瘍およびその他の皮膚疾患のべ80例を診断した.今回の実施結果と,癌の早期発見に対する社会的要求,皮膚癌が早期に発見されていない現状,あるいは集団検診実施に求められる要件などを検討し,皮膚癌検診が必要かつ有用であり,広く実施されるに値することを考察した.
  • 水谷 仁, 清水 正之, 天野 信一, 塚本 能英, 鈴木 宏志
    1986 年 96 巻 5 号 p. 509-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    PSS患者19例の直腸肛門機能を検索し,健常成人24例を対照して比較検討した.直腸静止内圧,肛門管長はPSSと対照間に差が無く,括約作用の指標となる肛門管内圧がPSSにおいて低い傾向をみた.またPSSは直腸の圧感受性の指標となる直腸肛門反射を惹起する直腸内圧は正常であるのに対し,貯留能の指標となる直腸肛門反射惹起容量は明らかに低下を示した.更に直腸の伸展性を示す指標として直腸コンプライアンス(RC)を測定し,PSSでは有意の低下をみた.RCは皮膚硬化範囲,指硬化度に比例して低下する傾向をもつほか,抗Scl-70抗体陽性例では著明に低値を示した.また抗SS-A抗体陽性例及びシェーグレン症候群合併例においても著しいRC低下例をみとめた.食道機能との関係では機能異常例にRCが低い傾向を示したが,食道機能が比較的保たれている症例にもRCの低下が認められた.本法はPSSの内臓病変の感度の高い定量的検査法として,疾患の早期診断や経過観察に有用性が期待出来る.
  • 岸本 三郎, 宮下 文, 在田 継久, 平野 真也, 小石 和夫
    1986 年 96 巻 5 号 p. 515-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    比較的稀な立毛筋母斑の1例を経験し,本例および正常立毛筋に対して細胞骨格を構成する中間径フィラメントのデスミン,ビメンチンやミクロフィラメントのアクチンらの免疫活性をPAP法で検討した.立毛筋母斑を構成する平滑筋束は正常立毛筋と同様にデスミンとアクチンに陽性を示したがビメンチンには陰性であった.一方,血管平滑筋はビメンチンに対する反応性が立毛筋とは異なった.これらのことより立毛筋母斑の平滑筋束は正常立毛筋と同程度に分化・成熟した組織と考えた.さらに,同じ平滑筋群である立毛筋と血管平滑筋の間にも分化程度に差を認めた.病名としては本症は明らかに立毛筋への分化を示しているので立毛筋母斑が適切と考えた.
  • 堀尾 武, 段野 貴一郎, 古川 福実, 岡本 祐之
    1986 年 96 巻 5 号 p. 519-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    成人女子あるいは小児の日光照射部位に好発し,粟粒大の小丘疹を特徴とする6例を報告した.皮疹はmonomorphousで,多発するが融合傾向はない.初夏に発症し,副腎皮質ホルモンの外用によく反応して一夏における再発は少ない.組織学的所見は,表皮の海綿状浮腫,exocytosisおよび真皮上層の血管周囲性小円型細胞浸潤である.人工光源による皮疹の誘発には成功していない.かかる症例を小丘疹性日光疹(micropapular light eruption)と仮称した.
  • 1986 年 96 巻 5 号 p. 523-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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